スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

『D坂の殺人事件』 R-15!江戸川乱歩の名作を実相寺昭雄が映画化!

eiga078.jpg
『D坂の殺人事件』
ディーざかのさつじんじけん


監督  実相寺昭雄

1998年
日本
90分


原作は1924年(大正13年)に発表された
江戸川乱歩の本格探偵小説です。
本作は『D坂の殺人事件』をベースに
『心理試験』『屋根裏の散歩者』のエピソードを合わせた
いいトコロ取りな脚本になっています。
これを実相寺昭雄が独特な表現方法で
見事に江戸川乱歩の世界を映像化しました。

ちなみにR-15公開作品です。
これがもう…どエライ世界。


エロス+サイコ 妖しくもつれる人間関係


簡単なあらすじ

昭和2年、東京市本郷区団子坂。
古本屋『粋古洞』の女将である時子は
伝説の責め絵師・大江春泥の『不知火』という
非常に価値の高い絵を持っており
その贋作(偽物)を蕗屋清一郎という画家に依頼した。

dzaka02.jpg
蕗屋は、見事に「不知火」の雁作を二つ完成させる。
そして本物は燃やすというのが彼の流儀だった。

dzaka05.jpg

そうとは知らず、時子は出来映えに満足し
続けて春泥の「明烏」を拵えるよう、蕗屋に依頼する。

しかしこの度の雁作作りには困難を強いられ
カフェの女給であるマユミをモデルに使うも
どうしても納得のいくものが描けない。
dzaka07.jpg
苦肉の策で彼は自ら女郎の衣裳を身にまとい
鏡に映る自分を描く事で「明烏」を完成させた。

dzaka08.jpg

時子は『明烏』の完成を喜んだ。
しかし蕗屋は驚愕の事実を知る。
実は大江春泥が描いたモデルは時子本人だったのだ。
蕗屋は思い悩み、そして思い切った行動に出る。



といったのが事件の流れなのですが
この映画の重要な要素は『淫美』です。

責め絵とは女が縛られ吊るされている姿を描く絵。
まあ早い話が『SM』の世界です。
一般的にはマイノリティな性癖なのですが
これを何の迷いもなく小説の題材とし
さも当たり前の自由恋愛のように語るのは
江戸川乱歩ならではの技法。
そしてこれが実相寺監督の手にかかると
ひとつのアート作品のように感じられ
乱歩の世界をもう一つ踏み込んだような作品に。
特に女性の淫美な姿は芸術的と言えます。
個人的にはそんな趣味はないのですが(笑)


嶋田久作が演じる全く新しい明智小五郎


これまで演じられた明智といえば
二枚目俳優が多く起用されていました。
記憶に新しいところでは
『RAMPO』本木雅弘
『乱歩地獄』浅野忠信
『K-20 怪人二十面相・伝』仲村トオル。

しかしここにきて嶋田久作です!
sashie142.jpg
完全なる新解釈である明智小五郎のスタイル!
聞いた時は『え?犯人じゃなくて?』って思いました(笑)
しかしいざ映画が始まると
彼の底が知れない不気味さは
この映画にピッタリ!
今までの明智像とはちょっと違い
正義感よりも好奇心が強くて
謎解きに対して無邪気な印象があります。
口数の少なさや、紳士的な立ち振る舞いは
内面が見えない恐ろしさがあり
かつての演者よりも圧倒的に知性が際立っています。
そして何よりもミステリアスな風貌(笑)
こんな斬新なキャスティングがあったのかぁと
目からウロコでした。
dzaka13.jpg
すっげー頭良さそう。


本作で明智と対決するのは
蕗屋清一郎という贋作絵師です。
これを演じるのが真田広之。
dzaka03.jpg
贋作とは偽物の事で、非常に精巧なコピー。
表向きは古美術の修復家として生活していますが
裏ではこの贋作をつくる事を生業にしています。
中性的な役どころなので
真田広之では少しゴツイかなぁと思いましたが
なかなか迫真の演技!
この役を楽しんで演じているのがわかります。

そしてなにより、淫靡な世界を彩る女たち!
実相寺監督が見出した女優たちが凄いんです。

まずは古本屋の主である時子を演じる
吉行由実の妖しい魅力!
責め絵のモデルであった過去を証明する写真の美しさは
真田広之演じる蕗屋清一郎が衝撃を受けるのも頷けます。
彼女はピンク映画で女優デビュー後、実相寺と出会い
現在もテレビドラマ・映画、また監督業など
幅広く活躍しています。

カフェの女給であり、責め絵モデルでもあるマユミは
大家 由祐子です。
キッズ・リターン、HANA-BI、菊次郎の夏
Dolls、座頭市
などの北野武の監督作品にも多々出演。
後に実相寺監督の『乱歩地獄 / 鏡地獄』にも出演している
いわゆる玄人受けする女優といったところでしょうか。

それから蕎麦屋の女房であるキセ子を演じる小川はるみ!
もうなんといいますか、いかにもな感じなんです(笑)
dzaka15.jpg
本当にこんな女っているのかなってくらい変態!
現在はシャンソンの道に進まれてるみたいですね。
彼女も『鏡地獄』に出演しています。
よくもまあこういうイイ塩梅の女優を見つけるものだと
実相寺監督のセンスを感じます。

さらに極めつけが明智の助手である小林少年!
dzaka14.jpg
なんと三輪ひとみという女優が演じています。
まさか女優が演じるなんて…。凄い事思いつくなぁ。
この後、初主演映画『発狂する唇』一躍有名になり
和製ホラークイーンといったカルト的な人気者になりました。
なんという大胆なキャスティング!


謎解きは二の次 江戸川乱歩ならではのアングラな世界


この映画の面白さは横溝正史『謎解き』とは違い
その事件の異常性や特異性を観せる作品になっています。

横溝作品はプロットやトリックにこだわります。
事件に関与する人間関係の複雑さを執拗に書きます。
そしてそれを解決する金田一耕助という飄々とした男が
事件の全貌を導き出す面白さがあります。

それに比べ、乱歩の作品はいわゆる本格派な作品よりも
幻想・怪奇小説の方が人気があります。
『人間椅子』『鏡地獄』といった作品がそれにあたります。
本作『D坂の殺人事件』は本格派の探偵ものではありますが
その事件の特異性は乱歩独特の世界。
事件はいたってシンプルですが
その動機、取り巻く環境は異常であり
エロ・グロの要素は惜しみなく披露されています。

この映画、『え!それで終わり?』ってくらい
笑っちゃうくらいシンプルに事件が解決します。
いくら明智小五郎が切れ者とはいえ
『あ、犯人わかった』というレベルなので
もう少し見せ場があってもいいのに!って思いますが
これはこれで斬新といえば斬新(笑)
そもそも難事件でもないんですよね。
至って普通の殺人事件。
しかしそれに至るプロセスが鳥肌モノです。


遊び心溢れる演出 紙の模型とノイズサウンド


この映画で一番のお気に入りが
紙で作られたD坂の模型。
dzaka01.jpg
オープニングで制作中の映像が流れるのですが
これが凄くいいんです。
子供の頃こういうの好きだったなーと
懐かしい気持ちになりました。
物語の合間に映し出される模型が
一瞬ホッとさせます。

あとはBGMでしょうか。
本作の音楽を担当したのは
大御所・池辺晋一郎。
黒澤明監督作品『影武者』
今村昌平監督作品『うなぎ』
同じ実相寺の作品では『姑獲鳥の夏』など
数々の名作で音楽を担当しています。

本作での音楽がとんでもなく不気味。
もうノイズミュージックと言っていいほどで
耳をつんざくアバンギャルドなサウンドは
映画の特異性をさらに強調するものとなっています。
岸部一徳、六平直政、寺田農、東野英心
これ以上ないほど濃厚な出演者が揃う本作なので
これくらいインパクトのある音でも画が全然負けません。
嶋田久作が岸部一徳と対面で話すシーンなんて
怪物同士の会談のよう!かっこよすぎ!
dzaka12.jpg
二人とも声が渋すぎる!



日本映画じゃないと作れない雰囲気がある本作。
こういう厄介な作品に出会えると嬉しくなります。
一般ウケする作品ではありませんが
乱歩に興味がある方
またはお涙頂戴な邦画に飽きた方には
タバスコのような刺激的な作品となっています。
子供は絶対に観ちゃダメ!







[ 2013/11/03 09:36 ] ミステリー | TB(0) | CM(2)

子供のころD坂の殺人事件を読んで初めてサドやマゾという言葉を知りました(笑い
それはともかく、実相寺の映像は乱歩の世界にぴったりですね。
もっくんのピアスした明智も怪しくてよかったんですが、実相寺のキャスティングした嶋田久作はそれを遥かにうわまわってたと思います。
[ 2013/11/03 13:09 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

暗ヲさんこんにちは!いつも読んでくれてありがとうございます!

> 子供のころD坂の殺人事件を読んで初めてサドやマゾという言葉を知りました(笑い

江戸川乱歩って子供は見ちゃいけないタブー感が強い作風ですよね!
しかし子供の頃に読んだなんて暗ヲさん凄いな~。
よくトラウマになりませんでしたね(笑)

> それはともかく、実相寺の映像は乱歩の世界にぴったりですね。

そうなんですよね!なんかピタっとハマった感じが凄いんです。
映像の美しさはもちろんですが、キャスティングも見事!

> もっくんのピアスした明智も怪しくてよかったんですが
実相寺のキャスティングした嶋田久作はそれを遥かにうわまわってたと思います。

たしかにそうですねー。モッくんも乱歩っぽい雰囲気はありますけど
本作がモッくんだったらちょっと違う感じがしますよねー。
[ 2013/11/03 14:15 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://moviestar1.blog.fc2.com/tb.php/78-ad4bc5f1















上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。