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『ヴァージン・スーサイズ』 ソフィア・コッポラの初監督作品!

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『ヴァージン・スーサイズ』
The Virgin Suicides

監督 ソフィア・コッポラ
2000年
アメリカ
97分


『ヴァージン・スーサイズ』

テレーズ、メアリー、ボニー、ラックス、セシリアという
美しい5人の姉妹の物語なのですが
直球な青春映画ではなく
ちょっと変化球な作品。

ソフィア・コッポラの初監督作品


原作『The Virgin Suicides』はアメリカの作家、
ジェフリー・ユージェニデスが1993年に発表した小説。
放題は『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』です。

ソフィア・コッポラは個人的に好きな監督なのですが
好きな理由の一つは音楽センス!
彼女の作品はいつも音楽が注目されます。
例えば『ロスト・イン・トランスレーション』では
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを使ったりと
いかにもロック好き(サブカル寄り)なのが伺えます。
ちなみにソニック・ユースとは個人的な親交があるのだとか。
たしかに仲良さそうな感じがしますね!(雰囲気)
実は今作、ソニック・ユースのサーストン・ムーアが
彼女に原作の本を渡した事がきっかけだそうで
彼が映画化を知った時
『彼女が映画化するほど気に入るとは思わなかった』と思ったとか。

四女ラックスを演じたキルスティン・ダンスト
2006年公開の『マリー・アントワネット』で再びソフィア・コッポラとタッグを組み
マリー・アントワネットを演じています。

学園一のモテ男トリップを演じるのはジョシュ・ハートネット(若い!)
sashie070.jpg
なかなかのルックスで笑わせてくれます。
『パール・ハーバー』『ブラックホーク・ダウン』『ブラック・ダリア』
と話題作に出演して人気者になりました。
ちなみにシン・シティではザ・マンという殺し屋で出演しています。

女の子の心の闇は誰にも見つけられない


近所の男の子達の憧れの的である五人姉妹は
神秘的であり、魔性の女であり、幽霊のようであり
摩訶不思議な存在として描かれています。
まるで男の子の幻想がもたらした
浮世離れした存在のような雰囲気があります。

実際の女の子の心には闇があり
それは誰にも知られないひっそりとした領域に隠されていて
男の子はもちろん、大人たちにも見つける事はできないのです。

この作品は末娘のセシリアの自殺未遂から始まります。
バスタブに浮かぶセシリアの顔が映し出されます。
彼女は聖母マリアの絵を持って手首を切ったのです。
発見が早かった為、彼女は一命をとりとめます。
病室でドクターは彼女に問いかけます。

『何故こんなマネを?人生のつらさも知らん若さで』

セシリアはこう答えます

『先生は13歳の女の子じゃないもの』

この映画の鍵と言っていいこのセリフ。
『ヴァージン・スーサイズ』は
大人たちが知らない女の子の心の闇と
静かに崩壊していく家族を描いています。
それはセリフやナレーションだけではなく
微妙な表情や、ポップだけど空虚な映像
淡々とした音楽が続く事で表現されています。
その独特の空気感はソフィア・コッポラならでは。


ややネタバレあり。彼女たちに何がおこったのか?


セシリアはとても繊細な女の子でした。
厳しいだけで子供を理解しようとしない母親
そんな母親に遠慮している頼りない父親
男の子の前では下品なほどイイ子ぶる姉たちと
知的障害者の男の子を歌わせてゲラゲラ笑う男の子たち。
どこにも自分の居場所がないセシリアは
家族や友達からも浮いています。

セシリアは家の前にある大きなニレの木が好きでした。
しかしそのニレの木は病気で切られる事が決定していました。
関係あるのかはわかりませんが
この世の最初の女性はニレの木から作られたという神話があります。
汚染され、切られる運命のニレの木に対して
何かしらシンパシーを感じていたのかもしれません。

映画は途中から四女のラックスを中心に話が進んでいきます。
ラックスは学園で一番のモテ男のトリップと恋をしますが
突然に終わりをむかえます。

やがて彼女は誰彼かまわず男の子たちを連れ込み
近所に見せつけるように屋根の上で情事にふけるようになります。
それは別れたボーイフレンドへのあてつけか
理解しようとしない両親への反抗なのか。
彼女の中で少しずつ何かが壊れ始めているのがわかります。

ラックスだけでなく他の姉妹たちも
セシリアが何故自殺をしようとしていたのか
徐々に理解し始めているようでした。
やがて家族の関係は修復不可能となり
衝撃の結末をむかえます。

ボタンの掛け違いのように崩壊していく家族


真面目な数学教師である父親ですが
この家では誰も父親の言葉に耳をかたむけません。
娘の自殺未遂をきっかけに、家族との距離を縮めようと努力しますが
すでに父親の威厳はなく
やがて観葉植物に話しかけるようになり
自分の世界に閉じこもっていきます。
彼もまた可哀想な人物です。

それとは対照的に非常に厳格な母の存在。
もともと厳しい母でしたが、ある事件をきっかけに
娘たちへの態度はエスカレートしていきます。
アレはダメ、コレはダメと縛り付け
お仕置きとして大切なレコードを奪い
泣き叫ぶ娘を尻目に暖炉で燃やしてしまいます。
※キッスとエアロスミスなのが笑えます
ついには学校を休ませて家庭に閉じ込め
友人にも会わせない。
完全に外界から遮断します。

それはまるで美しい鳥を籠に閉じ込めて
餌と水を取り替えるだけのような育て方。

しかしこれは母の愛情からくる行動でした。
悪い虫がつかないように、怪我のないように。
ですが『娘たちを傷つけたくない』という強すぎる気持ちの裏には
『自分が傷つきたくない』というエゴが見えます。

母は娘たちの気持ちを知ろうともしません。
『傷つきやすいから守らなければ』
『間違った行動させぬよう大人が見張らなくては』

その理屈のみで育てられる娘たちは
皮肉にも心を蝕んでいきます。

娘たちは、その仕打ちが愛の形だと理解しているからこそ
『反抗』は母を悲しませる事だと知っています。
また、どんなに憎んだとしてもそれは罪悪感に変わり
やがて自分を責める結果となります。
逃げ場のない状況で絶望していきます。

どこかで掛け違えたボタンに気がつく人間はいませんでした。
それ以前に簡単に解決できないものが
この家庭にはあったのかもしれません。

おとぎ話のような後味 ソフィア・コッポラのセンス


本作に限らずソフィア・コッポラ監督は
女の子たちを可愛らしく撮る事にこだわっています。
美しい姉妹がふざけあったり、アイスクリームを食べたり
お揃いのドレスを着てワクワクしながら出かける姿。
部屋でゴロゴロしているだけでも可愛らしい!
sashie069.jpg
しかしこの姉妹
血の通った人間というより
可愛くて不思議なものの象徴として存在しています。

エンドロールが流れる頃には
それが遠い昔に起こった事のような気持ちになり
実際何があったのかを見失ってしまう
おとぎ話のような雰囲気があります。
実際この映画の全ての登場人物は
『いったい何が起こったのか?』を理解できていません。

セミの鳴き声が聞こえなくなった事に気がついて
そこでやっと夏の終わりを知るような
過ぎ去ってしまった季節に少しだけ後悔が残るような
ソフィア・コッポラのセンスが光る不思議な映画です。









[ 2013/08/21 15:14 ] 青春 | TB(0) | CM(0)

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