上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ]
スポンサー広告 |
TB(-) |
CM(-)
『ゴッホ~最期の手紙~』
Loving Vincent
監督 ドロタ・コビエラ ヒュー・ウェルチマン
2017年
イギリス・ポーランド合作
96分
いよいよ冬!寒い!外に出るのがどうにも苦痛。。。
しかし面白そうな映画が増えてくる時期でもあります。
気になって気になってしょうがなかった映画をようやく鑑賞しました。
『ゴッホ~最期の手紙~』なんと全編が
動く油絵で構成された前人未到の力作!
その数なんと
約6万5000枚!参加アーティスト総勢125人!絵画ゴッホの世界を見事にアニメーション化した作品です。
これは鑑賞・・・というより体験しなくては!
鬼才ゴッホの死。彼の本当の死因は?ゴッホの素顔に迫る
郵便配達人ジョゼフ・ルーランは息子アルマンにある1通の手紙を託す。
それは父の友人でありつい最近自殺した画家ゴッホが
彼の弟テオに宛てたものだった。

死者からの手紙を託されたアルマンは乗り気ではなかった。
自殺したゴッホの世間での評判はさんざんなもので
『変わり者』『気難しい男』『狂人』というものだったからだ。
しかしジョゼフは『私ならお前が最期に書いた手紙があるのなら読みたい』という。
その言葉に胸を打たれたアルマンは手紙をテオに届けることを約束し旅立つ。
テオの消息を追ってまもなく、すでに彼はこの世を去っていることを知る。
早くも目的を見失うアルマンだったが、一つの疑問が頭をよぎる。
ゴッホの死の本当の原因は何だったのか?
彼の生前の足跡を辿り、ゴッホを知る人々に出会うたびに見えてくるゴッホの素顔。
この手紙を本当に受け取るべき人間は誰なのか? すげーーーーーー!まあなにが素晴らしいって映像の素晴らしさ!
こんなの見たことありません!
『絵が動く=アニメーション』という次元をはるかに越える
圧倒的な視覚への暴力!目が回る!

ぐるぐるぐるぐる・・・・
本作は、俳優が演じた実写映像をもとに描かれた
約6万5000枚の油絵をアニメーション化した作品ですが
その絵の一枚一枚の熱量がすごい!
美術館でトリップしてしまったかのような
サイケデリックな色彩がうねりまくる!
アルマンが旅をするシーンは全て極彩色の油絵ですが
ゴッホが生きていた頃のエピソードは
モノクロの水彩画です。
これもまた息を呑む美しさ。。。

命が燃えるようにギラギラした油絵と対をなす
心の闇をそっと照らすロウソクの光のような水彩画。
物語がすーっと胸に染み渡ります。
ゴッホの作品を美術館に見に行ったことがありますが
今後はシラフで作品を見れないのではないか(笑)
ゴッホの作品を見ていると、彼は目に見えた風景や人物を描くのではなく
そこにある『光』を生け捕りにする為に戦っているのではないか?
と感じる事があります。
本作の『動くゴッホの絵』は、まさに『光を生け捕りにする』というゴッホの情熱を
125人のアーティスト達が再現・・・いや超越した作品。
ゴッホが生きていたらどんな気持ちで見るんだろう。。。
飛び道具映画なんかじゃない!本作の素晴らしさは『脚本』にあり
この作品の素晴らしさは絵だけじゃない!
最後まで飽きさせない物語。
一つの映画としての完成度の高さ。
96分というわりとタイトな時間できちんと魅せてくれます。

主人公アルマンは旅で出会う村人の証言が食い違っていくなかで
最初はそれほど興味をしめさなかったゴッホに対し
『同情』にも似た感情が芽生え
そしてそれが
『共感』となり
ゴッホが自分の友人のように感じるようになり
ついには自分の人生と重なって見える瞬間があります。
『彼は本当に自殺だったのか?』『他殺だとしたら一体誰が?何のために?』人々の『ゴッホ像』を追いかけるたびに深まる謎。
非常にミステリアスなストーリーです。
村人は彼についての思い出を語りますが
誰も正直に話してくれません。
自分の中にあるゴッホを語るのです。
本人が『自分で腹を撃った』と言った。
たとえ他殺だったとして、それが一体なんだ?
彼は死ぬことで救われたのだから。
ゴッホはもういないのだ。
悲しむ人もいる。忘れる人もいる。憎んでいる人もいる。
死んだ相手になにを望めばいい?他殺で人生が救われるなんてあるわけがない。
真相を知らなくては!とムキになるアルマンですが
死ぬまでにおきた数々のエピソードを聞いていくうちに
『真相』が全てではないと思うようになります。
ここらへんの描き方は上手いなーと思いました。
『彼はいい人だったわ』というアドリアーヌ。

しかしその後会う人々は『狂人』だという・・・
嗚呼ゴッホ!君はどうしてそんなにも生き方が下手なんだ!
こんな哀れな最期で君は本当にいいのか??
観終わるころにはすっかりヤラれています(笑)
是非とも吹き替えで見て欲しい!字幕を目で追う暇なし!
この作品、初見は吹き替え版がおすすめ!
おそらく映像の圧倒的な情報量にやっつけられます。
つまり字幕を目で追いかける暇がないんです(笑)
主役のアルマンは
山田孝之
もうパーフェクトと言っていい吹き替え!
本当に上手い俳優さんだなーと思います。
ジョゼフに
イッセー尾形
わりと軽めな演技でしたが
ジョゼフの憎めない感じがよく出ていたなーと思います。
ゴッホが
三宅健太 (この煙の動きがマジですごい)

この声優、ハリー・ポッターのヴォルデモートの人じゃね?と思ったら
なんと別人なんですね!
ヴォルデモートは江原正士(トム・ハンクスとかでお馴染み)
三宅健太はジョジョのアブドゥル役の人でした。
この二人、声が似すぎだと思います(笑)
他にも声優陣には伊藤かな恵、落合福嗣(!)なんて名前もありますが
どれも映像や物語を邪魔しない演技だったので
後半の混沌としたストーリー展開を考えると吹き替え版がベストかと。
これは映画の新しい形。
これは体験型ミュージアム。
ゴッホの目で観る世界はこんなにもエネルギッシュ。
ブルーレイ出たら絶対買います。