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『1999年の夏休み』 押井守が驚いた金子修介監督作品!萩尾望都の『トーマの心臓』を翻案し描かれる鮮やかな青春!そして何気に深津絵里のデビュー作!

eiga111.jpg
1999年の夏休み
Summer Vacation1999

監督 金子修介
1988年
日本
90分


今回紹介する『1999年の夏休み』
萩尾望都の大傑作『トーマの心臓』の世界観を翻案。
金子修介監督の青春映画です。
『トーマの心臓』ではドイツの全寮制学院が舞台でしたが
本作では近未来(時代の特定は無し)を舞台に
少女が少年を演じるという大胆なアレンジ!

東京学芸大学の直接の先輩にあたる押井守が監督に
「決定版みたいなのをこんなに早くつくっちゃってよかったのか?」という
懸念を抱いたという逸話があるのだとか。
邦画の概念を壊したいという野心を感じる作品です。



一緒に死のうよ 子供の時間は一番素晴らしいんだから


白樺の森と美しい湖に囲まれた全寮制の学院。
夏休みで誰もいないはずの学院には
里帰りをしない3人の少年が暮らしていた。
15歳の和彦、16歳の直人、14歳の則夫。
少年たちには、1人の少年の「死」が重くのしかかっていた。
199901.jpg
それは悠という少年。
誰にでも優しく誰からも好かれていた少年だった。
自ら戸惑いながらも和彦への気持ちを伝えたのだが
その思いは和彦に受け入れられることはなかった。
悠は絶望し、湖へ身を投げたのだった。
199902.jpg
やがて3人の前に転校生がやってきた。
少年の名は「薫」
驚く程に「悠」にそっくりな少年。

動揺する和彦、和彦を密かに愛している直人、
3人だけの夏休みに亀裂を感じ始める則夫。

禁断の恋、嫉妬、孤独
様々な思いが複雑に交差していく。




トーマの心臓とは別物と考えた方がいい異色作


いやー。。。
これはなかなか凄い映画です。
萩尾望都の『トーマの心臓』という漫画は
子供の社会で繰り広げられる複雑な人間模様と
友情、嫉妬、愛。自己犠牲を描いた少女漫画の金字塔。
舞台がドイツなのでキリスト教的な内容ではありますが
深いテーマを細かい心理描写で巧みに描いた大傑作です。

本作は『思春期』『夏休み』という
子供の頃の限られた時間で描く事で
青春映画として刹那的なものに仕上がっています。
そして忘れてはならないSFという要素!
1999年の~とはありますが
いつの時代かはっきりしない(地球なのかすら)
一般社会とは完全に独立した世界で展開される物語は
この映画を独特な存在感に仕立て上げています。

ちなみに金子修介監督はアニメーション作品
『うる星やつら』『魔法の天使クリィミーマミ』など監督を努め
『ガメラ 大怪獣空中決戦』で映画芸術誌邦画第1位
翌年『ガメラ2 レギオン襲来』で第17回日本SF大賞を受賞しています。
そういえば『デスノート』の実写化もこの監督でしたね。

押井守は金子監督に『トーマの心臓』を渡し『とりあえず読め』と言ったのだとか。
まさか後々このような作品になるとは。
『決定版みたいなのをこんなに早くつくっちゃってよかったのか?』って
金子監督にしてみたら最高の褒め言葉じゃないでしょうか。



たった四人の出演者!終わらない夏休みを過ごす少年たち


たった4人の出演者というのも面白い!
しかも女の子達に男の子の役を演じさせるという演出は
どこかしらヨーロッパ映画のような透明感があります。

誰かにあてがわれた言葉をそのまま口に出しているような
どこか他人事のようなその台詞まわし。
監督の狙いなのか、それとも本当に全員下手なのか(笑)
もしかして両方なのかもしれませんが
それが本作の不思議な世界観に妙にマッチしているので
最後までスルスルとのめり込んで観てしまいました。


則夫を演じるのは深津絵里
199906.jpg
当時は水原里絵という芸名でした。
彼女のスクリーンデビュー作なんですね。
もー則夫が可愛くて可愛くて。

一番子供っぽい則夫はひとり遊びが好きで
ひたすら一人でドリブルをしたり
199913.jpg
花束を作ったり、人形遊びをしたり
怪我をしたウサギの為に野宿したり。
199909.jpg
必死にオムレツを作るシーンは悶絶もの。

直人を演じる中野みゆき。
199905.jpg
最年長のリーダー格の少年という事もあり
妙に大人っぽい雰囲気です。
知らなかったのですが
彼女って川合俊一の奥さんなんですね!

和彦を演じるのは大寶智子。
199907.jpg
オオタカラって読むんですね。すごい苗字。
『バタアシ金魚』黒澤明監督の『八月の狂詩曲』などの映画出演
テレビドラマや舞台、CM出演も多い女優さんです。
199912.jpg
悠に愛されながらも、それを拒絶。
その為に自殺した悠にショックを受け
自己の殻に閉じこもっています。

悠/薫を演じるのは宮島依里。
199911.jpg
純粋な愛に生きる悠と自由奔放な転校生・薫を見事に演じ分けています。
1990年代後半からは主に声優として活動しているので
映画の吹き替えなどでよく名前を目にします。
このブログで紹介した『(500)日のサマー』では主役を演じています。


『革製のトランク』『手持ちランプ』『大時計』
小道具が光る作品でもあります。
近未来的な世界観と対比させるような時代錯誤なアイテム。
それらに囲まれて夏休みを過ごす少年たちは
世界から取り残された存在のように見えます。
監督のこだわりを感じますね。

しかし気になるのはこのソックスガーター!
199904.jpg
なんというか・・・どういう意図があるのか(笑)
ワケのわからないコンピューターで課題をやったり
森にはシェルターのようなものがあったりと
近未来的な演出とともに凄まじいインパクトを放つガーター。
しかも制服にはサスペンダーだし。色々吊りすぎなんじゃ?


透明感あふれる映像と音楽
大胆な演出で描いた青春映画のカルト的秀作です。
死んだはずの少年が再び現れ・・・ってのも
なんとなくホラーテイストで夏っぽい。
是非に観ていただきたい作品です。








[ 2014/07/06 17:37 ] ファンタジー | TB(0) | CM(10)

へー、この映画は知りませんでした。
しかもトーマの心臓をもとにしてるなんて。
女性に男の子演じさせてるのはいいかもですね。
少女漫画の美少年たちは男の子が演じると違和感あって(笑
深津絵里若いー。中野みゆき懐かしー(^O^)
[ 2014/07/06 22:19 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

暗ヲさんコメントありがとうございます!

> へー、この映画は知りませんでした。
> しかもトーマの心臓をもとにしてるなんて。

そうなんですよ!実は僕も知らなくて。
嫁さんが観たいってレンタルしてきた作品なんですが
これが実に興味深い内容で、ブログで紹介しました。

> 女性に男の子演じさせてるのはいいかもですね。
> 少女漫画の美少年たちは男の子が演じると違和感あって(笑

そうなんですよねー。たしかに。
少女漫画の世界って人間では表現できない領域というか
女性でしか出せない世界が存在しますよね。

> 深津絵里若いー。中野みゆき懐かしー(^O^)

そりゃ若いっすよねー(笑)
深津絵里はこの頃から見事な存在感があります。
中野みゆきさんは顔は覚えていた程度で。
機会があったら是非観てみてください!
暗ヲさんの意見も聞いてみたいなー。
[ 2014/07/07 00:38 ] [ 編集 ]

これ確か台詞はアフレコで、三人は声優さんが当ててるんですよね。一人は本人だったと思います。その辺がちゃんと思い出せなくて検索していてここに来ました。
だから監督の狙いの分が大きいのではないかと思います。
[ 2017/10/30 07:49 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます!

> これ確か台詞はアフレコで、三人は声優さんが当ててるんですよね。一人は本人だったと思います。その辺がちゃんと思い出せなくて検索していてここに来ました。
> だから監督の狙いの分が大きいのではないかと思います。

それはすごく面白い試みですねー!久しく見ていないから調べてみようかな。


[ 2017/11/21 11:08 ] [ 編集 ]

金子修介です。紹介頂きたいへん有難いのですが、萩尾望都先生との約束で、この映画は「トーマの心臓」より翻案されたもので、原作や原案とかでは無いという事を私が伝える事になっておりますので、標題などを修正して頂けないでしょうか。
[ 2018/07/18 13:38 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 金子修介です。

ええ!ご本人様ですか!
このような陳腐なブログへの書き込み大変恐縮です!

> この映画は「トーマの心臓」より翻案されたもので、原作や原案とかでは無いという事を私が伝える事になっておりますので、標題などを修正して頂けないでしょうか。

さっそく修正いたしました。
ご迷惑をおかけしました。
[ 2018/07/19 00:36 ] [ 編集 ]

本日イヴェント参加してきました。第三の少年の名前とか、オーディションのとき依里ちゃんがポニテだったとかタップを披露したとか秘話満載。そしてこのブログにまさかの監督降臨(笑)
[ 2018/07/20 01:24 ] [ 編集 ]

コメントありがとうございます

広沢様 コメントありがとうございます!

> 本日イヴェント参加してきました。

『1999年の夏休み』がデジタルリマスターされたんですね!
トークイベントでしょうか?貴重な話たくさん聞けたんでしょうね~
羨ましい!

> 第三の少年の名前とか、オーディションのとき依里ちゃんがポニテだったとかタップを披露したとか秘話満載。

すごい!そんな秘話があったとはー!
リマスターは懐かしいだけじゃなくて新たな発見がありそうですねー!

> そしてこのブログにまさかの監督降臨(笑)

いやぁ・・・もう恐縮しちゃって(笑)
貴重な体験となりました(笑)
[ 2018/07/20 20:59 ] [ 編集 ]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
[ 2018/07/28 21:52 ] [ 編集 ]

Re: 映画観に行ったよ

広沢様 コメントありがとうございます!

やはり!映画館に行ったんですね~!羨ましい!

> 何度も観たけどここ十数年は観てなかったと思います。何度観ても深い余韻を残してくれます。

私は恥ずかしながら最近初めて観たので
美しい映像と不思議なストーリーに魅了されました。
自分が遠い過去に置き忘れた掛け替えのないモノ(何かも覚えていない)を
思い出させるような作品ですね。

> 冊子に依里ちゃんと監督のサインをいただきました。

すごい!レアですねー!それは興奮しますね~!
[ 2018/08/08 19:05 ] [ 編集 ]

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