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『バートン・フィンク』 コーエン兄弟の問題作!1991年度のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、監督賞、男優賞を受賞!※今回はネタバレありです。

eiga102.jpg
バートン・フィンク
Barton Fink

監督 ジョエル・コーエン
脚本 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン

1991年
アメリカ
116分




久々にコーエン兄弟製作映画を紹介します。
とある脚本家が奇妙な事件に巻き込まれていくサスペンス(?)です。

主役の脚本家をジョン・タトゥーロが演じており
なかなかエキセントリックな演技を見せてくれます。
本作は1991年度のカンヌ国際映画祭で
パルム・ドール、監督賞、男優賞
を受賞しました。
さてどんな映画なのでしょうか?


映画界という狂人がはびこる世界に身を投じた脚本家の苦悩


劇作家のバートン・フィンクに映画の脚本執筆の依頼が入る。
bartonfink05.jpg
社会派の最新作で高い評価を得ていたバートンだったが
映画会社の社長は、社会派の作家である彼の話など聞こうともせず
一方的に レスリング映画の脚本執筆を書くように命ずる。

バートンは逗留するホテルの一室でその脚本を書き始めるのだが
レスリング映画を見たこともなく一向に進まない。

イライラの真っ最中、隣室から大きな笑い声が聞こえ
頭にきたバートンはフロントに『注意するように』と電話をする。
笑い声の主はチャーリーという大男だった。
バートンの苦情に怒ったかに思えたが、二人はすぐに打ち解け
いつしかお互いを信頼し合う友人となるのだった。
bartonfink04.jpg
一方、脚本の執筆は全くはかどらない。
社長の命令で『プロデューサーに会え』と言われ
プロデューサーには『脚本家に会え』とたらいまわしにされ
途方にくれるバートン。
そんな中、偶然にも尊敬する小説家に出くわす。
アドバイスを乞うため彼のの宿舎を訪問したのだが
彼が酒に溺れる自堕落な人間だと知る。
そしてそこで出会った彼の秘書で愛人のオードリーに好意を抱く。

社長があらすじだけでも教えろとバートンを追い詰める。
オードリーに助けを求めたバートンは
その晩、彼女とベッドを共にする。
だが翌朝目を覚ました時、彼が目にしたのは
無残に殺害されたオードリーの死体だった。
取り乱したバートンはチャーリーに相談するのだが…



???
何だこの映画は?


終わった瞬間に感じたのがコレ。
さっぱり意味がわかりません!
不条理の連鎖!
現実と非現実の境界線がなく
絶望的なほどに説明不足な脚本!
でも何だろう?この引っかかる感じ…

『理解できない=面白くない』じゃ勿体無い!

心を落ち着けてもう一度鑑賞してみます。
するとちょっとだけ内容が見えてきました。


※注意!※
今回は『ややネタバレあり』です!
謎解きというほどではありませんが
理解しにくい場所を自分なりに考察してみました。
皆さんの考える為のヒントになればいいなぁと。

コーエン兄弟の世界観を構築した代表作!ハリウッド進出作が業界批判?


この映画はバートンの日常を追うように進むのですが
それを素直に真に受けて観てしまうと痛い目にあいます!
途中から突然にサスペンスへと変化し
最終的には不条理の連鎖へと変化していくのですが
本作を鑑賞する為の最大の注意点はこちらです。

・現実と非現実の線引きが明確でない事。
・スランプにもがき苦しむ脚本家の目線であるという事。


目に映るもの全てが現実であると思ったら大間違い。
スランプになった脚本家の精神状態が
『不条理な現象』となって映し出されます。
蚊の飛ぶ音、息苦しさなんてのは序の口。
例えばバートンが体温の上昇を感じ不愉快な状態の時
部屋の壁紙がネットリと剥がれる事で表現しています。
bartonfink09.jpg
これがまた薄気味悪い。

また、突然襲われたスランプ状態を
先の見えないホテルの廊下や
bartonfink01.jpg
真っ暗な排水口へのズームアップで表現しています。
なんとも不気味で不安を煽る描写が印象的なのですが
どれも非現実への入口のように感じられます。
まるで悪夢のよう。

バートンの追い詰められた心理状態と不条理の連鎖
どこまでが現実なのか?全くもって不透明なので
見終わった時の後味の悪さは凄まじいものです(笑)
こういった観る者に対して挑戦的な物語は
デヴィッド・リンチの作品にも似ています。


人の気配がない不気味なホテル。
このホテルでの生活はバートンを精神的に追い詰めます。
ホテルの従業員はこの人
bartonfink07.jpg
スティーブ・ブシェミ!
さすがミスター顔芸!見事に胡散臭い(笑)
しかも何故か地下から登場!

ボケ老人のようなエレベーターボーイ(?)
インチキプロデューサー、自己中心的な社長
酒に溺れる自堕落な小説家などなど
バートンを混乱させる人物が数多く登場します。

バートンを訪ねてくる二人の刑事も歪んでいます。
bartonfink02.jpg
バートンがユダヤ人だという事がわかるやいなや
態度が豹変し、バートンを罵倒し
名刺を床に投げ捨てるといった露骨な人種差別。
こういった狂人めいた描写はコーエン兄弟っぽさでもあります。

映画業界の奇妙な世界に足を踏み入れた脚本家にとっては
目に映るもの全てが不条理のように感じられるのかもしれません。
つまりホテルに足を踏み入れた瞬間
彼は異次元に取り込まれてしまったとも考えられます。
しかし業界批判のようにも思える大胆な内容ですね。

時代背景が1941年のアメリカ
太平洋戦争と第二次世界大戦の直前であるというもの重要。

登場人物達の心のどこかに『戦争』があり
他人の声に耳をかす余裕が無いようにも見えます。
これから待ち受ける混乱を前にして
傑作を書き上げる為にスランプと戦う脚本家というのは
非常に馬鹿げていて滑稽なものに見えるのでしょう。
sashie167.jpg


隣に住む大男チャーリー・メドウズとは一体何者なのか?


この映画で一番の難題であり、物語を左右するチャーリーの存在。
bartonfink06.jpg
巨漢の俳優ジョン・グッドマンが演じています。
いくらでも深読みできる内容ではありますが
まずは二通りの見方をしてみます。

1. チャーリー・メドウズはバートンの心が映し出した分身である。

初めて会った時から意気投合し
バートンにとってなくてはならない存在となるチャーリー。
バートンが頭で作り出した幻想だとすれば
『都合のいい隣人』として納得がいきます。
そうなると殺人を犯したのはバートンという事になります。
何故殺人を犯す必要があったのか?
そもそも殺人事件さえも彼の妄想だとしたら?


2. 殺人鬼のチャーリーは実在する。

脚本家であるバートンと殺人鬼チャーリー。
二人は一般人には理解しがたい思考回路を持つ似た者同士。
初対面から意気投合した事は説明がつきます。
彼が存在するとなると部屋の女を殺したのはチャーリーという事に。
バートンはチャーリーの為に身内の家を紹介しますが
その後、電話が通じないという事実からいって
おそらくチャーリーは殺してしまったと考えられます。
殺人鬼の手口は『頭を切り落とし持ち去る』というもの。
となるとチャーリーがバートンに預けた箱の中身は・・・?

気になる箱の中身


チャーリーはバートンに『預かっていてくれ』と
奇妙な小包を置いていきます。
見るからに怪しげ。
頭を持ち去る殺人鬼の話と箱のサイズを見る限り
『切り落とされた頭』が入っていると思われますが
バートンは中身を確認しません。
部屋で死んでいた女の頭なのか?
それともチャーリーが訪ねたと語るバートンの身内の頭か?
それは謎のままです。

幻想の世界の中で巻き起こる不条理にもがき苦しみ
バートンが死に物狂いでようやく絞り出した脚本。
彼にとって確かな手応えを感じる『傑作』でした。
書きあがった晩に踊り狂う姿は
いかに彼がハイになっているかがわかります。

しかし映画会社の社長には『駄作』の烙印を押されます。
おまけにバートンは首輪をつけられた犬のように
社長にコキ使われる運命が待っている事を知ります。
おそらく『現実』はこの世界です。

そこで再び箱に戻ります。
バートンはその中身がわかっていたのかもしれません。
その箱に入っているものを見る事は『現実』を認める事に繋がり
彼はそれが恐ろしくて中身を確認する事も捨てる事もできない。

その箱を持って浜辺を歩くバートン。
美しい海と美しい女性。
bartonfink03.png
彼が泊まっていたホテルに飾られていた絵とまったく同じもの。
現実とは思えない幻想的なシーンでこの映画は幕を閉じます。

あれ?

もしかしたら…

全ては夢なの?

ここからは僕の妄想。

 浜辺で箱の中身を確認するバートン。
 箱の中身はなんとバートン本人の頭が入っていた。
 汗だくで目覚めたバートンは白紙の脚本に呆然とする。


なーんてちょっと陳腐かな?
ありきたりな『夢オチ』になってしまいますけど。。。
それにしても色々な想像を掻き立てる
印象的なラストシーンです。
『現し世は夢、夜の夢こそ真』という
江戸川乱歩の言葉を思い出しました。


本作は世界中の批評家たちから大絶賛されました。
(大ヒットとまではいかなかったようですが)
観る者によって様々な深読みが可能な作品。
興味がある方は是非!







[ 2014/03/29 14:06 ] サスペンス | TB(0) | CM(2)

すばらしいレビューをありがとうございます!!
おもいっきり観たくなりました。
追って観させていただきますねー。
[ 2014/03/30 03:16 ] [ 編集 ]

Re: タイトルなし

つかりこさんいつもコメントありがとうございます!

> すばらしいレビューをありがとうございます!!
> おもいっきり観たくなりました。
> 追って観させていただきますねー。

いえいえそんなそんな!なんか恥ずかしい!
とても励みになります。嬉しいな。
[ 2014/03/30 08:26 ] [ 編集 ]

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