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『ブレードランナー2049』 【SF映画の金字塔】35年振りの続編!目の前に広がる2049新世界!お帰りなさいデッカード!はじめましてK!

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『ブレードランナー2049』
Blade Runner 2049


監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作総指揮 リドリー・スコット

2017年
アメリカ
163分



公開前からこんなにワクワクして待っていた映画って久々!
SFの金字塔『ブレードランナー』が実に35年ぶりに帰ってきた!

前作の監督リドリー・スコットは製作総指揮にまわり
本作はドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンをとります。
昨年『メッセージ』(残念ながらまだ観てない!)で注目された監督。

前評判やら予告などの情報を全てシャットアウトしつつ生活しまして
最高のコンディションで意気揚々と劇場へと向かいました。




心と記憶を持つレプリカント 人間との境界線はさらに曖昧に



前作の後の世界の説明と冒頭のあらすじ

タイレル社はレプリカントに4年の寿命年限を設定していたが
その後制限のないレプリカント『ネクサス8型』を開発。
しかしそれをきっかけに『人間至上主義運動』が勃発。
人間によるレプリカント狩りという暴動が頻発。
ネクサス8型は逃げ惑う。

アメリカ西海岸で核爆発が引き起こされ
電気通信と電磁気記録に壊滅的被害が出た『大停電』が発生。
時同じくしてレプリカントは法律で製造禁止となりタイレル社は倒産。

2036年、科学者ウォレスは旧タイレル社の資産を手に入れ
レプリカント禁止法を廃止させる。
より従順で寿命制御も可能なレプリカントネクサス9型を製造。

そして2049年
BladeRunner2049 _6
地球の気象異常と生態系崩壊はますます悪化。
初夏でも雪が降り続くロサンゼルス。

新型レプリカント『K』(ライアン・ゴズリング)は
『ブレードランナー』として旧型レプリカントを処刑する職務に就き
家ではウォレス社製の家庭用AI(ホログラム)である
ジョイ(アナ・デ・アルマス)と恋人として過ごす日々を送っていた。

Kはロサンゼルス郊外で逃亡レプリカントを処刑。
アジトを調べると、庭の木の根元から箱を発見する。
中身は遺骨で、検死の結果帝王切開の合併症で約30年前に死亡した
女性型レプリカントであることが判明する。





素晴らしいーーーッッ!
期待を裏切らない名作!


前作のブレードランナーを見ている人なら
絶対に観て欲しい・・・
いや観ない理由がない作品です!
今回、何が素晴らしいって
ライアン・ゴズリング演じるレプリカント『K』!
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誰からも愛されない悲しきレプリカントの孤独な生き様。。
心から『頑張れ!』と応援したよ!(笑)

観終わってからよくよく考えてみると
前作から大きく変わったのは『主人公像』なのかも。

前作のデッカード(ハリソン・フォード)
何というか感情がよくわからないタイプの人物で
職務に対して真面目なのか不真面目なのかも不明で
行動にもムラがあったり(わりと過剰な行動が多い)
観ているコチラに感情移入させないタイプ。
それどころかいつのまにか
敵役のロイ・バッティ(ルドガー・ハウアー)
どっぷり感情移入してしまうという不思議な作品(笑)
人間として生きたいと願う4年寿命のレプリカントは
寿命間近となりギラギラとした輝きを放つ。
ルドガー・ハウアーの鬼気迫る演技はもはや伝説の域。


しかし本作のレプリカント『K』ですが
彼はデッカード、ロイ・バッティ両方の要素を兼ね備えています。

レプリカントを処刑するブレードランナーとして働き
誰からも愛されることなく職務をこなす孤独な日々。
これはまさしくデッカード。

人間と同じように認められたいという願い。
自分の存在理由を模索する姿はロイ・バッティと重なります。
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一緒に暮らすホログラムの彼女『ジョイ』との会話は癒しですが
所詮、プログラムによってご機嫌をとるAIです。
心を満たすことはありません。

前作のデッカードより
Kの方が人間的というのも不思議ですが
これにより主人公に対する感情移入がよりスムーズになり
本作の大成功につながっています。

人工的に植えつけられた記憶。
幼い頃の思い出。
これは作り物だと理解しつつも抗えない姿。。
どこまで可哀想なんだと(笑)
ラストシーンまで彼に持って行かれっぱなし!
まんまと泣かされました。。。




新しい試みと構築された新世界 単なる続編では終わらない



世界中から注目を浴び
批評家からも高評価のレヴューを得ていたにもかかわらず
本作が全米で封切られた最初の週末の興行収入は
事前の予想を大きく下回ったのだとか。

まずは2時間43分という上映時間。
たしかに長い!(笑)
派手なアクションが少ないSFもの。
どちらかといえばサスペンスものですからね。
25歳以下の客層は寂しい数字なのだとか。
たしかに会場年齢層高かったな。。。

でもこれって前作『ブレードランナー』と一緒。
ハリソン・フォード主演のSF新作と聞いて
スターウォーズのような作品を期待して
観に行ったファン達から
総スカンを喰らったと聞きます。

しかし超絶に構築された近未来の世界観と
知れば知るほど深みにはまっていく魅力的な物語
レプリカント達の強烈なキャラクター
土砂降りの雨の中で輝くギラギラしたネオン
じっくりと時間をかけてファンを増やし
今ではカルト映画・SFの金字塔と呼ばれる程の人気作に。

この作品の影響力は凄まじいもので
『ブレードランナー』以降
未来の描き方が完全に変わってしまったと言っても
過言ではありません。

さて、話を新作に戻しましょう。
本作『ブレードランナー2049』は
前作の影響を丸出しにした作品ではなく
あくまでベーシックな世界観の延長上に
独自の美学を構築した作品といえます。
続編にふさわしい新しいブレードランナーの世界。
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例えば前作の印象的な『雨』の描写。
もちろんオマージュ的なシーンは多々あるのですが
本作では、より静寂を増した『雪』へと変化。
さらに核爆発後のラスベガスを『真っ赤な砂漠』に。
地球だとは思えないほどの風景です。。。
どちらも本当に美しいのです。1カットが芸術作品。
特に奇をてらった演出ではありませんが
この気候の変化は本作の物語をより深いものにしています。




出演者についても少し。

ホログラム彼女のジョイの可愛さは反則(笑)
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まさに究極の電影少女。
この子の健気さも痛々しく悲しい。

一生触れ合うことができないと思っていたKと
唯一繋がれる方法を見せてくれますが
ハッとさせられるほど美しく切ないラブシーンです。



デッカードの老いぼれ感!!
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大丈夫かよ!と心配になるほどでしたが
心配ご無用!
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めっちゃくちゃ強い!!
パンチが重い!体重全部のせるタイプのパンチ!
Kが『話を聞いてくれ』と言っても撃つわ殴るわ(笑)
ある意味昔と全然変わっていませんでした。

『デッカード=レプリカント説』というのがありましたが

例 1
 デッカードの記憶に出てくるユニコーン
 ユニコーン=架空の生き物
 架空の生き物の記憶=人工の記憶


本作でもそれは不透明な描き方をしていますね。
個人的にはあんな強いジジイいてたまるかって感じです(笑)



前作のレイチェル(ショーン・ヤング)が
スクリーンにあの当時のままの姿で現れた時の衝撃!
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これは背格好が同じ人に演技してもらい
過去の映像を駆使して作成したものらしいです。
もうそんな事ができる世の中なのか。。。



本作のラスボス的存在はこのラヴさん
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カワイイ名前とは裏腹に冷酷な殺人マシーンです。
誰よりも社長に褒められたいという女子力高めな一面もアリ。
まー・・・強い。本当に強い。すげー怖い。





極力ネタバレなしで書いたつもりですが
最後に一言。

過去・記憶に突き動かされて生きてきたKですが
過酷な旅のラストに『人間として本当に大切なこと』を悟ります。

『過去・記憶なんてものは所詮幻のようなものである』
『人としての価値は自分の行動で決まる』


彼の勇気ある行動と決断に感動しない人はいないでしょう。
もう涙なしでは。。

ラストシーンの美しさ。
どうかご自身の目で確認してください。









[ 2017/11/29 15:27 ] SF | TB(0) | CM(0)

『ゴッホ~最期の手紙~』 圧倒的色彩!動く油絵!これは体験型ミュージアム!ゴッホの目で観る世界はこんなにもエネルギッシュ

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『ゴッホ~最期の手紙~』

Loving Vincent


監督 ドロタ・コビエラ ヒュー・ウェルチマン

2017年
イギリス・ポーランド合作
96分



いよいよ冬!寒い!
外に出るのがどうにも苦痛。。。
しかし面白そうな映画が増えてくる時期でもあります。
気になって気になってしょうがなかった映画をようやく鑑賞しました。
『ゴッホ~最期の手紙~』
なんと全編が動く油絵で構成された前人未到の力作!
その数なんと約6万5000枚!
参加アーティスト総勢125人!
絵画ゴッホの世界を見事にアニメーション化した作品です。
これは鑑賞・・・というより体験しなくては!



鬼才ゴッホの死。彼の本当の死因は?ゴッホの素顔に迫る



郵便配達人ジョゼフ・ルーランは息子アルマンにある1通の手紙を託す。
それは父の友人でありつい最近自殺した画家ゴッホが
彼の弟テオに宛てたものだった。
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死者からの手紙を託されたアルマンは乗り気ではなかった。
自殺したゴッホの世間での評判はさんざんなもので
『変わり者』『気難しい男』『狂人』というものだったからだ。
しかしジョゼフは『私ならお前が最期に書いた手紙があるのなら読みたい』という。
その言葉に胸を打たれたアルマンは手紙をテオに届けることを約束し旅立つ。

テオの消息を追ってまもなく、すでに彼はこの世を去っていることを知る。
早くも目的を見失うアルマンだったが、一つの疑問が頭をよぎる。

ゴッホの死の本当の原因は何だったのか?

彼の生前の足跡を辿り、ゴッホを知る人々に出会うたびに見えてくるゴッホの素顔。
この手紙を本当に受け取るべき人間は誰なのか?




すげーーーーーー!
まあなにが素晴らしいって映像の素晴らしさ!
こんなの見たことありません!
『絵が動く=アニメーション』という次元をはるかに越える
圧倒的な視覚への暴力!目が回る!
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ぐるぐるぐるぐる・・・・


本作は、俳優が演じた実写映像をもとに描かれた
約6万5000枚の油絵をアニメーション化した作品ですが
その絵の一枚一枚の熱量がすごい!
美術館でトリップしてしまったかのような
サイケデリックな色彩がうねりまくる!


アルマンが旅をするシーンは全て極彩色の油絵ですが
ゴッホが生きていた頃のエピソードはモノクロの水彩画です。
これもまた息を呑む美しさ。。。
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命が燃えるようにギラギラした油絵と対をなす
心の闇をそっと照らすロウソクの光のような水彩画。
物語がすーっと胸に染み渡ります。


ゴッホの作品を美術館に見に行ったことがありますが
今後はシラフで作品を見れないのではないか(笑)
ゴッホの作品を見ていると、彼は目に見えた風景や人物を描くのではなく
そこにある『光』を生け捕りにする為に戦っているのではないか?
と感じる事があります。
本作の『動くゴッホの絵』は、まさに『光を生け捕りにする』というゴッホの情熱を
125人のアーティスト達が再現・・・いや超越した作品。
ゴッホが生きていたらどんな気持ちで見るんだろう。。。


飛び道具映画なんかじゃない!本作の素晴らしさは『脚本』にあり



この作品の素晴らしさは絵だけじゃない!
最後まで飽きさせない物語。
一つの映画としての完成度の高さ。
96分というわりとタイトな時間できちんと魅せてくれます。
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主人公アルマンは旅で出会う村人の証言が食い違っていくなかで
最初はそれほど興味をしめさなかったゴッホに対し
『同情』にも似た感情が芽生え
そしてそれが『共感』となり
ゴッホが自分の友人のように感じるようになり
ついには自分の人生と重なって見える瞬間があります。

『彼は本当に自殺だったのか?』

『他殺だとしたら一体誰が?何のために?』

人々の『ゴッホ像』を追いかけるたびに深まる謎。
非常にミステリアスなストーリーです。
村人は彼についての思い出を語りますが
誰も正直に話してくれません。
自分の中にあるゴッホを語るのです。

本人が『自分で腹を撃った』と言った。
たとえ他殺だったとして、それが一体なんだ?
彼は死ぬことで救われたのだから。

ゴッホはもういないのだ。
悲しむ人もいる。忘れる人もいる。憎んでいる人もいる。
死んだ相手になにを望めばいい?


他殺で人生が救われるなんてあるわけがない。
真相を知らなくては!とムキになるアルマンですが
死ぬまでにおきた数々のエピソードを聞いていくうちに
『真相』が全てではないと思うようになります。
ここらへんの描き方は上手いなーと思いました。



『彼はいい人だったわ』というアドリアーヌ。
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しかしその後会う人々は『狂人』だという・・・



嗚呼ゴッホ!君はどうしてそんなにも生き方が下手なんだ!
こんな哀れな最期で君は本当にいいのか??
観終わるころにはすっかりヤラれています(笑)

是非とも吹き替えで見て欲しい!字幕を目で追う暇なし!



この作品、初見は吹き替え版がおすすめ!
おそらく映像の圧倒的な情報量にやっつけられます。
つまり字幕を目で追いかける暇がないんです(笑)

主役のアルマンは山田孝之
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もうパーフェクトと言っていい吹き替え!
本当に上手い俳優さんだなーと思います。


ジョゼフにイッセー尾形
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わりと軽めな演技でしたが
ジョゼフの憎めない感じがよく出ていたなーと思います。


ゴッホが三宅健太 (この煙の動きがマジですごい)
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この声優、ハリー・ポッターのヴォルデモートの人じゃね?と思ったら
なんと別人なんですね!
ヴォルデモートは江原正士(トム・ハンクスとかでお馴染み)
三宅健太はジョジョのアブドゥル役の人でした。
この二人、声が似すぎだと思います(笑)

他にも声優陣には伊藤かな恵、落合福嗣(!)なんて名前もありますが
どれも映像や物語を邪魔しない演技だったので
後半の混沌としたストーリー展開を考えると吹き替え版がベストかと。


これは映画の新しい形。
これは体験型ミュージアム。
ゴッホの目で観る世界はこんなにもエネルギッシュ。
ブルーレイ出たら絶対買います。













[ 2017/11/22 18:47 ] ミステリー | TB(0) | CM(0)