『オペラ座 / 血の喝采』 呪われた舞台劇!ド変態殺人鬼に襲われ続ける舞台女優!出口のない血みどろの迷作!狂った巨匠、ダリオ・アルジェント監督作品!

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『オペラ座 / 血の喝采』
Opera


1987年
イタリア
107分(完全版)

監督・脚本 ダリオ・アルジェント



久しぶりの更新になります。
私事ですが第一子が誕生し、只今子育て奮闘中でありまして
なかなか落ち着いてPCの前に座る事もできず。。。
しかしながらアクセス数を見ると
意外にもたくさんの方がこのブログを見られているようで
1ヶ月に1回くらいは更新したいなーと思います。

さてさて。
今回紹介する映画はこちらです。
『オペラ座 / 血の喝采』
人の親になって一発目に紹介するのにふさわしい
意味不明の大迷作であります。
嗚呼・・親として大丈夫なのか私は・・・

監督はダリオ・アルジェント。
知る人ぞ知るイタリアの狂った巨匠であります。
代表作『サスペリア』は過去に紹介していますが
本作もアイデアの暴走と支離滅裂なストーリーは健在!
『映画として面白いのか?』という次元では語り尽くせない
感覚が麻痺してくる大迷惑な作品です。大好物です。



呪われた舞台劇 ホラー?サスペンス?黙ってついてこい!


不幸を招くと伝えられる舞台劇「マクベス」。
舞台演出家は、かつてのマクベスを超えるべく
本物のカラスを使ったりと今までにない斬新なアイデアを
前面に盛り込んだ舞台を目指していた。
しかし主演女優はまともに歌うこともできないステージに嫌気がさし
リハーサルの途中に激怒して帰ってしまうのだった。
しかしそこで悲劇はおこる。
劇場を出た通りで交通事故にあってしまう。

舞台出演が絶望的になった女優の代わりに
プリマに大抜擢されたベティは戸惑いを隠せない。
マクベスのプリマを演じるには若すぎるし
キャリアもない私で客は納得してくれるのだろうか?
それに『マクベス』である。
不幸を招くという噂がどうしても気がかり。
しかし『これはチャンスだ』という周囲の説得に折れて
出演を決意するのだった。
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不安と緊張の中、初舞台の当日。
見事にマクベス夫人を演じたベティには賞賛の嵐。
舞台は予想以上の大成功となる。
有頂天になるベティであったが
『マクベス』の呪いは静かに始まっていた。





まあザックリあらすじを書くとこんな感じ。
あくまで冒頭部分の説明って感じですが。

さて。。。どうしたものか。
これは傑作なのか?それとも駄作なのか?
判断が非常に難しい(本当は簡単)作品なのです。

良くも悪くもダリオ・アルジェント節がフルスロットル。
彼の目線の鋭さ、神経質な美意識、粘着質な演出など
見所だらけと言ってもいい内容なのですが・・・
それを帳消し、いやそれ以上に台無しにしているのが
『全然面白くない』というある意味スペシャルな脚本です。

いや面白くないのではない
『物語は二の次』『支離滅裂』『伝える努力なし』
まるで悪い夢でも見ているような意味不明さ。
ようするに何がなんだかサッパリわからない作品なのです。

そもそもダリオ・アルジェントに物語を期待してはいません。
理屈や論理という概念の欠落が彼の魅力の一つ。
芸術作品として思考を止めて観る事が大切。

しかし本作が猟奇殺人モノのサスペンスという
微妙に『わかりやすいテーマ』であるというのが曲者。
いつのまにか理解しようとしてしまう自分がいるのですが
完全に時間の無駄遣いです。彼の狂気の沼にはまるだけです。

圧倒的説明不足
支離滅裂な展開
唐突すぎる進行


サスペンスとしての謎解き要素なんて皆無。
気を許すと血みどろの残酷描写の連鎖!

その全てがノーモーションで繰り広げられるので
(そもそもあったのかも微妙な)物語がラビリンスに突入。
嗚呼!少しでも理解しようとした私が愚かでした!


衣装デザイナーさん
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商売道具のハサミでギャー


駄作?いやちょっと待て!考えるな…感じろ!


なんか散々な事書いているように思えるかもしれませんが
本作、ダリオ・アルジェントの魅力満載の
見所の多い(多すぎると言ってもいい)作品なのです。

なんと言っても映画が始まってからの5分間!
舞台女優マーラがカラスの演出に激怒して
劇場を去っていくまでの無駄のないスピード感!
カメラがマーラの視点からのアングルで長回し!
ダリオ・アルジェント!今回は一味違うんじゃねーか?と
一瞬だけ期待してしまうパーフェクトな5分間!
そしてそれが気のせいだったと知るのに
それほど時間はかかりません(笑)さすが巨匠…。

そうです。本作の最大の魅力は『カメラワーク』。
何かしらの『目』を通しての画というのが徹底されています。
劇場を飛び交うカラスの目線であったり
殺人鬼がベティを追い詰めるネットリと絡みつくような目線。
緊迫感のある非常に優れた効果を生み出しており
ハッとさせられる名場面が多い作品です。

多少ネタバレを含んで話しますと
この作品に出てくる殺人鬼というのは
ベティを縛り付け、まぶたに針をくっつけて
瞬きができない状況で、殺人を見せつけるという
そりゃーもー悪趣味な惨劇を繰り返す
殺しに関してはちょっとうるさそうな
なかなか真面目な男です。



主演のクリスティナ・マルシラック
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目が!目が!



つまり『見たくないものを強制的に見せつける』という事に
快楽を得る、とてもキチンとした変態。
(惨劇中、必ずメタル調の曲が流れるという演出あり)

見たくないものを見せてやる!

なんとシンプルな嫌がらせ!(笑)

アルジェントの『見ろ!見るんだ!』というパワーは凄まじく
『あらゆる目線』が物語を組み立てています。
まあ組み立てようとしている姿勢が伝わるだけで
全然目標に達成していないのがアルジェントらしさですが(笑)
今回は徹底的にコレをやる!という勢いが伝わってきます。

ネタバレついでにもう一つ書きますと
アルジェント作品ではお馴染みのダリア・ニコロディ
ドアスコープを覗き込んだ瞬間に銃弾を撃ち込まれるという
なかなか手の込んだシーン(そんなに大切なシーンなの?)が
ものすごいテンションで描かれておりまして
B級映画を愛する者としては非常に興奮しました。


犯人いるかなぁー?
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この後ズドン


まあ全然意味のわからない展開の中で繰り広げられますので
効果としてはトホホな感じではありますが。。。
見事な死にっぷりです。



もうダメだ・・・もう殺される・・・逃げ道はない・・・



おねえさん 私が助けてあげる・・・
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ってお前は誰だよ!(説明なく現れた女の子)



えー・・・このように絶体絶命のピンチを
ベティはスルスルと生き残っていくので
全くと言っていいほど緊張はしません。
が、そんなことはどうでもいいのです。
やりたい事が優先!
ある程度の犠牲(物語・つじつま)は必要!

そんな事、許されていいのでしょうか。(いいんです。たぶん。)

ラストシーンがまた凄い。もうポカーンです。。。

しかし!
ダリオ・アルジェントに質問したら負け!
みんなが欲しがるメッセージやカタルシスなんて
そもそも持ち合わせていません。
『はぁ~???納得いかねぇーなー!』
あなたが握りこぶしをかまえた時に
そこにはもうアルジェントはいません。
あなたは喧嘩する相手を間違えています。


『オペラ座 / 血の喝采』『不完全の美学』という
常人には理解できない境地に到達している作品。
これは狙ったものではなく『偶然そうなった』のだと。
『夢中になって作ったからあまり覚えていないわぁ』的な
ある種B級映画としてパーフェクトな仕上がりです。
こうなってくると傑作なのか駄作なのかはどうでもいいのです。
そもそも監督は何も考えていませんから。

でもなんでだろう?
時間が経つと観たくなる不思議な魅力があります。
そしていつだって同じくらい疲れる(笑)
好きになったのが運の尽き。









[ 2017/05/06 14:01 ] ホラー | TB(0) | CM(2)