『ワンダーラスト』 マドンナ記念すべき映画監督デビュー作!荒々しくも瑞々しい青春映画!ダサくて笑えてカッコイイ若者たち!

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ワンダーラスト
FILTH AND WISDOM


監督 脚本 製作総指揮 マドンナ

2008年
イギリス
84分


今回紹介する映画は『ワンダーラスト』です。
監督は世界の頂点に君臨するポップスター、マドンナ!
これまで女優として数々の映画に出演してきた彼女。
※ゴールデンラズベリー賞 (最悪映画賞) の常連ですが…
初の監督作品は、なんとド直球な可愛らしい青春映画!
『え?マドンナ監督作品?』
『あ~なんかそんな話しあったねぇ』
といった具合に
日本ではそれほど大きな話題になっていない作品ですが(失礼)
いやいやなかなか面白い映画ですよこれ!
マドンナ自身の経験や人生哲学が反映された本作は
初披露された第58回ベルリン国際映画祭でも大きな話題になりました。

『理想と現実』夢見る若者がジレンマの中、情けなくも懸命に生きる!


ロンドンに住む三人の若者。
AK(ユージン・ハッツ)はミュージシャンを夢見ながらも、現実にはSMの調教師。
バレエダンサーを目指すホリー(ホリー・ウェストン)は
毎日金がないことを嘆きながらもストリッパーで小遣い稼ぎ。
アフリカの貧しい子供たちを救うことを夢見るジュリエット(ヴィッキー・マクルーア)は
薬局でバイトしながら薬をくすねる万引き常習犯。

それぞれ形は違えどお金を稼ぐ手段として不本意な仕事をしながら
いつかなうかわからない夢を追いかけていた。

同じ建物の下に住むフリン教授(リチャード・E・グラント)は
かつて詩人として名声を得ていたが、視力を失って以来
創作意欲を失い、外出もせずひっそりと暮らしている。
AKは時々フリンを心配し、買い物をしたり部屋を片づけたりしている。

ある日、彼の書斎に『ワンダーラスト・キング』と題された彼の著書を見つける。

何の気なしにその本を持って帰ったAKだったが
その素晴らしさに触発され、創作意欲が湧いてくるのだった。

それぞれの人生が交錯しあい、『夢』を叶えるヒントが見えてくる。




面白かったー!
マドンナ監督いいじゃん!

ジム・ジャームッシュの作品をもっとお馬鹿にしたような
ポップでチャーミングな青春群像劇!


多国籍でそれぞれの価値観が入り乱れているロンドンの雰囲気が良い!
AKはウクライナ移民のチンピラ気質ですが
実に哲学的な語り口で物語を引っ張るストーリーテーラー。
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彼を演じるユージン・ハッツは、
ジプシー・パンク・バンド『ゴーゴル・ボルデロ』のフロントマン。
マドンナは彼に一目ぼれ状態で映画出演を依頼したのだとか。
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バンドの演奏シーンやばい!めちゃカッコイイ!


ジュリエットは家庭に問題を抱え(多くは語られないが)
根は真面目!でも万引きをやめられません。
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こういう女性っているよなー。
真っ直ぐだけど矛盾してる感じ。


ホリーは自分の夢とはかけ離れたストリッパーとなり
アイデンティティを見失っています。
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そしてすごく可愛い。
さすがマドンナ!女の魅せ方を知ってるわー。


盲目の作家フリン教授もいいですねー。
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心に闇がある感じ。
人を諭す事はできても自分をコントロールする事ができない。


他にも変人が多数出演!
ジュリエットが務める薬局の店長は
彼女のコートの匂いを嗅ぎ、恍惚の表情をうかべる変態インド人だし
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またSMクラブの客も曲者揃い!
突拍子もないキャラクターばかりですが
それぞれの個性がきちんと活かされていて、魅力的に描かれています。


他人には言えないような事を抱えつつも
いつか成功する事、救われる事を望んでいる人間という
誰もが思い当たる『二面性』がテーマなのですが
決してダークな内容ではな『ポジティブな生き方のすすめ』といった感じの
人間味あふれるポップな内容。かといってコメディに逃げることもなく。
いや本当によくできた青春群像劇ですよこれ。

『夢』を信じ続けるという強い生き方は決して楽ではないと思うのですが
情けなくもバカバカしく、ひたすらにカッコ悪い現実も
まんざら捨てたもんじゃないなーというリアルな感じは
この映画の大きな魅力になっています。
これが結構意外というか、ここまで人間描写に力を入れた
小技の効いた映画作れるのかっていう(笑)
青春、葛藤、恋愛、家族愛、苦悩、挫折
一見堕落していきそうな人物ばかりなのですが
案外みんなしぶとい(笑)人間てそんなものなのかなーと。


マドンナの力強くも真っ当な『人間だもの』的人生論!賢く生きろ!


そういえばポスターには『これがマドンナの堕落論。』と書かれていましたが
堕落すら肯定する超ポジティブマインドという感じ(笑)

挫折を避けた成功はない!
救われたいなら地獄をみな!
でも死んだら俺は天国に行く!
本当のことしか言わないからだ!
どんなみっともない生き方だろうが人に恥じる必要なんてない!


そりゃマドンナですから。
自分を完全肯定する超ド級のポジティブさ溢れる映画になっています。
いやーしかし『マドンナ=青春映画』なんて想像もつきませんでした(笑)


邦題の『ワンダーラスト』は『驚異の欲望』という意味ですが
※劇中のフリン教授の著書タイトル『ワンダーラストキング』から
原題は『FILTH AND WISDOM』です。
直訳すると『堕落と知恵』というちょいカタい感じ。
哲学書のようなタイトルですよね(笑)
本作は自伝的映画と言われていますが、正確にはマドンナの人生哲学ですね。
若き日のマドンナ的なキャラクターは存在せず(ややホリーが近いけど)
出演するキャラクターそれぞれにマドンナの思いが込められています。


『人前で胸を見せるなんてサイテーよ!』とトイレで泣くホリー
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『お姫様のつもり?』と冷たく叱る先輩フランシーヌですが
『何を見せるかじゃない 何を隠すかよ』
『人のマネじゃなく自分らしく』
と励まします。

またフリン教授は彼女に
『脱ぐのは義務じゃない 君が選んだことだ』

『成功への道は屈辱への道 早く受け入れた分ラクな旅になる』
という
真っ直ぐな言葉でアドバイスします。
これは悩める全ての人々へのメッセージであり
まるで若い頃のマドンナ自身に語りかけているようにも見え、感動的。
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ちなみにこの直後、ホリーは吹っ切れたのかストリッパーとして大きく成長!
なぜかブリトニー・スピアーズの名曲でダンス!(笑)
※ブリトニーはマドンナの親友。格安で曲を使わせてくれたのだとか


全てを ゼロから 創り出せ!

当たり前の言葉を大きな声で言える強さ
大いに悩んで大いに学べ!
ラストシーンの爽快さも素晴らしい!
スカッとする作品でした。








[ 2015/05/02 07:29 ] 青春 | TB(0) | CM(0)