『ジェイコブス・ラダー』 悪夢と幻覚が暴走!現実と夢を行き来してたどり着いた場所は・・・ティム・ロビンス主演のホラーサスペンス

eiga117.jpg
ジェイコブス・ラダー
Jacob's Ladder




監督 エイドリアン・ライン
脚本 ブルース・ジョエル・ルービン




今回紹介する作品は1990年に製作された
ティム・ロビンス主演のサイコスリラー映画
『ジェイコブス・ラダー』です。
この作品、前々から気になっていた作品です。
このブログを読んでくれた方からのおすすめ作品でもあります。
もう観る前から期待しちゃってます。

これは夢か?現実か?複雑に絡み合う不条理な物語


1971年、ベトナム戦争中のベトナム。
束の間の平和な時間。
ジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンス)は
仲間たちとリラックスしていたのだが
突然敵兵が襲撃してきた。
Jacob01.jpg
壮絶な銃撃戦。仲間は次々と倒れていく。
まさにあっという間の出来事だった。
仲間の生死もわからぬままジャングルに飛び込むジェイコブ。
逃げ切ることはできず何者かに腹部を刺されてしまう。

薄れていく意識の中ジェイコブは地下鉄の車内で目を覚ます。
Jacob02.jpg
いつの間にかウトウトしていたのだ。
彼はベトナム帰還兵としてニューヨークに住んでいた。
不気味な幻を見るなど重い後遺症に悩んでいた。
Jacob03.jpg
現在は前妻と別れ、同僚のジェジーと同棲している。
幸せな日々をおくる二人だったが
ジェイコブの幻覚はエスカレートしていき
夢と現実の区別がつかなくなっていくのだった。
Jacob11.jpg
おぞましいベトナムの光景。
前妻と息子たちと過ごした幸せな毎日。
そして悪魔のような不気味な幻覚の数々。
Jacob18.jpg
ベトナムの戦友が連絡してくる。
彼も同じ症状に悩まされているのだという。
全てはベトナムで始まっている。
ジェイコブは1971年のあの日に何かが起こったのだと確信。
真相を探るべく動き出すジェイコブだったが
彼はさらに恐ろしい幻覚と夢に追い詰められていく。




す・・すげぇーッ!
こりゃー凄い!

ホラーサスペンスという予備知識のみで鑑賞したのですが
この作品はそれだけではないもっと深いものがあります。

サスペンスといってもハッキリとした犯人が存在するわけではなく
ジェイコブは自身の頭の中にある何かと戦っているのです。

なぜ幻覚が見えるのか?
それにはどういう意味があるのか?


現実と夢を交互に見せる手法は鑑賞するものを混乱させ
ジェイコブの精神崩壊を体験しているような気分になります。
それはもう不気味で気色悪い幻覚ばかりで
そのエグさのせいで『この映画無理』って人が多いのではないでしょうか。

暗く重苦しい雰囲気と
時間軸を捻じ曲げた複雑な物語。
『結局何がどうなのよ!』と短絡的に観てしまうと
退屈な映画と思う人もいるのでしょう。。。

嗚呼!勿体ない!

どうか最後まで観てほしい!諦めないで!
この映画は『生』と『死』を真正面から描いているのです。

『怖い』『気持ち悪い』と食わず嫌いな人が多い作品ですが・・・

これは『悲しい』映画なのです。



ティム・ロビンスの演技力に拍手!


なんといってもティム・ロビンス!
Jacob19.jpg

Jacob14.jpg

『ミスティック・リバー』でアカデミー助演男優賞を受賞した名優です。
『ショーシャンクの空に』の・・・と言った方がわかりやすいかな?

鬼気迫る演技!
割とノーマークな俳優だったのですが(失礼)
何かに憑りつかれたように
ギリギリの精神状態を魅せるティム・ロビンスの演技は
素晴らしいとしか言いようがないですね。

脱ぎっぷりもいい!
Jacob12.jpg

ティム・ロビンスってモサーっとした雰囲気ですが
場面によってはスゲー男前に見えるという
不思議な存在感のある俳優ですね。
sashie179.jpg


セクシーで美しい同棲相手ジェジーはエリザベス・ペーニャ。
Jacob04.jpg
ゴージャスではなく芯の強い女性の魅力があります。
正気を失いそうなジェイコブを心配したり
引きこもりの彼を叱咤したりと
うわごとで前妻の名を呼ぶ彼に嫉妬したり。。。
圧倒的に正しく愛する姿は美しいのですが
ジェイコブの不安定な精神をより恐ろしく感じさせます。
驚いたのですが今年10月14日に亡くなってたんですね。。。


息子のゲイブはマコーレー・カルキン。
Jacob13.jpg
同年に公開された『ホーム・アローン』で人気者になりました。
本作ではあまり登場しませんが非常に重要な役です。
少年期の彼には儚げな美しさがありますね。


ルイス役をダニー・アイエロが演じています。
Jacob06.jpg
『ゴッドファーザー PART II』のトニー・ロサト
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のヴィンセント
『レオン』のトニーとマフィアがらみの役が多いのですが
本作ではカイロプラクティックの医師。
Jacob05.jpg
負傷兵として帰国したジェイコブは体に痛みが残り
彼を頼っています。
本作では天使のような不思議な存在です。
以前紹介した『ディナー・ラッシュ』にも出演してましたね。


あー!こいつは!
Jacob16.jpg
『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988年)で
ベタベタ頭の男を演じていた俳優!
そして『ER緊急救命室』ピーター・ベントン!
個人的に思い入れのある地味め俳優(笑)
エリク・ラ・サルって名前だったのね(知らなかった)
見れてちょっと嬉しい!



エンゼル・ハートと比較される本作 『生』『死』の間に



よくアラン・パーカー監督の『エンゼルハート』と比較される映画ですが
ナルホ!観て納得!
主人公が追い詰められていくさま
悪夢と血の匂い
そして衝撃のラストシーン。

調べてみたら製作にアラン・マーシャルの名前があります。
実はエンゼル・ハートでも制作を行っているプロデューサーです。
だから何だって話ですが(笑)共通点があったという。
そういえばアラン・パーカーの『バーディ Birdy』(1984年)も
ベトナムの帰還兵の話。

本作は旧約聖書の『ヤコブの梯子』がモチーフになっています。
※ヤコブを英語で書くとJacobとなります。
『ヤコブの梯子』は
ヤコブが夢に見た天使が上り下りしている天から地まで至る梯子の話です。
確かに本作では聖書に出てくる名前が多いので
聖書に詳しい人が見ると何か違ったものを感じるのかもしれません。

Jacob22.jpg

ちなみにジェイコブは郵便局員ですが哲学者の顔があります。
エロティックなシーンは悪魔の儀式のようでありどこか宗教的。
あらゆるシーン、セリフに『生』と『死』の存在があり
先が予測できない不条理な物語と不気味な映像とが絡み合い
底なし沼に落ちていくような錯覚に。

Jacob21.jpg



この映画はネタバレなしで書きたいので
非常に難しいのですが。。。



ジェイコブが徹底的に追い詰められて
もうダメだと挫けそうになるとき
心がふるえるというか。。。
訳のわからない感動があって
ちょっと泣きそうになりました。
久しぶりにゾクゾクっとくる映画に出会えたなーと思います。











[ 2014/11/29 10:52 ] サスペンス | TB(0) | CM(2)