『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』 イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェントが満を持して完成させたホラーの古典!支離滅裂!摩訶不思議な110分に君は耐えられるか?

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『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』
Dracula 3D



監督 ダリオ・アルジェント

2012年
イタリア・フランス・スペイン(合作)
110分



今日紹介する作品は『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』です。
ダリオ・アルジェント監督といえば『サスペリア』『フェノミナ』など
イタリアンホラーの鬼才であり、レジェンド!
満を持して作り上げたホラーの古典『ドラキュラ』を実写化となったら
観ないわけにはいきません!
しかしながらタイトルに監督名が入っているだけでとてつもなくB級感が。
いい意味でも悪い意味でも『アルジェントらしさ』で押し切る監督なのですが
満を持した割にはとんでもなく見切り発車的ムラが多く
よせばいいのに初の3D作品(英題を見よ!)となっております。
それでもダリオ・アルジェントを愛さずにいられないわけで
いちいち爆笑しながら観ました。

アルジェント的アプローチ満載!吸血鬼は美女が好き!


19世紀末のトランシルバニア。
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パスブルグを訪れた司書のジョナサンは
友人である町長の娘ルーシー(アーシア・アルジェントの紹介によって
街の発展の功労者であるドラキュラ伯爵(トーマス・クレッチマン)の城へ招かれ
膨大な蔵書の目録作りの仕事を任されることになっていた。
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だがそれはジョナサンの妻、ミナ(マルタ・ガスティーニ)を手に入れる為の
吸血鬼ドラキュラの策略であった。
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虎視眈々と彼女を狙うドラキュラであったが
その前に吸血鬼研究者のヴァン・ヘルシング(ルトガー・ハウアー)が立ちはだかる。





いやー。。。
まああらすじを書いてみましたが
文章にするとなかなか古典文学的でいい感じですが
実際に映画で観てみると
本当にどうでもいい話なんですよね(笑)
というのも全然物語が盛り上がらない!

そもそもまともに物語を書くことができる監督ではないのですが
本作『ドラキュラ』も、いつものアルジェント全開で
摩訶不思議&支離滅裂なストーリーと
何をどうしたいのかさっぱり判らない演出が目白押し。
なぜここにこれほど時間をかけるのだ!という無意味な長回しや
嘘でしょ!ってくらいバッサリと編集してしまう手法に
頭がクラクラしっぱなしの110分です。

論理的に語れる監督ではない!理屈じゃないんだ!
彼の奇想天外な発想と芸術性を感じましょう。
近いところだとデヴィッド・リンチもそんな感じですね。
理解しようなんて無駄な努力は捨てましょう。



古典にとらわれすぎたか?不完全燃焼気味の吸血鬼


そもそもドラキュラ伯爵が普通に小奇麗なおっさんなので
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おっさんが人妻を欲しがるだけの物語に見えてしまうという
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なんとも残念な仕上がりなのですが
そこはダリオ・アルジェント。
自己満足の暴力ともいえる独自の世界観で
観る者を驚愕させます。(ポカンと)

大胆なCGを導入したアルジェント御大ですが
これがまた『何年前の手法だよ!』というチープなもので(笑)
ドラキュラ伯爵はさまざまな生き物に変身することができるのですが
なんと巨大な昆虫に化けてくるとは思いませんでした。
この映画を観た皆様は、このシーンで全てを悟ったはずです。
『あー、もう吸血鬼じゃなくてもいいんだ』と。
発想的には非常に斬新ですが、吸血鬼の見せ場を犠牲にしています。
もういいんです。それで。アルジェントならば。
まともな監督じゃないんですから。

とは言え。。。だったらもっと大暴れして欲しかったなーという
不完全燃焼な作品になってしまいました。


さて、残り30分といった時間になり(物語は全然進んでません)
ようやくルトガー・ハウアー登場!
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吸血鬼ハンター、ヴァン・ヘルシング役です!

もういい!
早くドラキュラを退治してくれ!

心からそう願い、彼の活躍に期待していたのですが。。。

お前本当に吸血鬼退治したことあるの?ってくらい使えない!
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つーか初戦で十字架忘れるかね!君ィィ!
カバンに入ってたじゃん!
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そこらへんに落ちてた棒を重ねて
『十字架だ!』って…
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ほら怒られた!(ちなみにアルジェントの娘です)効かねーって!
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っざっけんな!とばかりに、まさかの前蹴り(笑)


あーこれも定番
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銀の銃弾ね。。。
やっぱ吸血鬼退治の定番アイテムですから
(ちなみに留守の鍛冶屋で勝手に作ってます)

ん?
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何かをすり潰してるけど・・・
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ひょっとしてニンニクですか?
本当に効くんですか?
っていうかこの時代にメスシリンダーあったの?
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あーもう作りながら食べちゃってるし。


この映画で一番頑張っていたのは
脇役タニアです。

2011年『妹の誘惑』という映画で注目された
ミリアム・ジョヴァネッリが演じているのですが
それはもう素晴らしい存在感!
というか話がグダグダすぎてタニアしか観てなかった(笑)
初っぱなから大胆な濡れ場で登場し
あっという間にドラキュラの餌食になります。
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ヴァンパイアになってからドラキュラ伯爵と同棲中。
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節操がないスケベな女の子って雰囲気がいいですね。
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イケメン大好き。近い!
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近いよ!(笑)
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脱ぎたがる!

タニアはルトガー・ハウアーにも真っ向勝負!
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偶然十字架を持っていたルトガー・ハウアーに負けます。
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秒殺。。。
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タニア。。。面白かったよタニア。。。




なんだかんだ書いてきましたが
観終わった感想としましては
『観ておいてよかった!』です(笑)

ダリオ・アルジェントという鬼畜監督が
古典文学ホラーを描くとこうなりました!という
アルジェントらしさ溢れる迷作といった感じでしょうか。

70歳を過ぎても、創作意欲の衰えないアルジェント。
ぶっちぎりで現役宣言している作品です。
アルジェントファンには超絶おすすめですが
初心者には。。。です。

そういえば大名作『サスペリア』『サスペリアPART2』の記事書いてませんね!
ドラキュラなんて書いている場合じゃなかった!





[ 2014/10/27 21:05 ] ホラー | TB(0) | CM(0)

『本陣殺人事件』 古谷一行でお馴染み!血塗られた結婚式の怪事件!ミステリードラマの大傑作、横溝正史シリーズ

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本陣殺人事件
ほんじんさつじんじけん



監督  蔵原惟繕
主演  古谷一行
原作  横溝正史


日本
1977年
55分×3話


今回紹介する作品は映画ではなく1977年に放送されたテレビドラマ。
『横溝正史シリーズI・本陣殺人事件』です。

『本陣殺人事件』は、横溝正史の長編推理小説です。
横溝が書く金田一耕助シリーズの記念すべき第1作であり
名探偵・金田一耕助のデビュー作!
この作品はTBS系列で1977年5月7日から5月21日まで
毎週土曜日に放送されたもので
全3話が1本のDVDに収められ発売されています。

原作の本陣殺人事件を読んだ時の衝撃たるや凄まじいもので
異常な殺人動機、巧妙で神経質なトリックにシビれまくったのですが
映像として観るのは今回が初めてです。


金田一耕助デビュー!結婚式の夜に起こった密室殺人事件


昭和23年 冬。
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岡山県の旧本陣の末裔・一柳家の屋敷で
長男・賢蔵と久保克子の結婚式が執り行われていた。
探偵・金田一耕助は新婦の身内がわりという名目で
不慣れな結婚式に出席していた。
式は何事もなく終了したのだが、その夜、悲劇が起こる。
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深夜、屋敷内に悲鳴と、激しい琴の音が響き渡った。
新郎新婦の寝室である離れへ駆けつけると
夫婦が布団の上で血塗れになって絶命していた。
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庭の中央には日本刀が突き刺さっており
周囲には足跡一つ残っていなかった。
室内に置かれた金屏風には3本指の指紋が残されていたが
完璧な密室であり犯人の逃げた痕跡が一切なかった。
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警察による捜査の結果、前日に怪しい3本指の男がいたという
目撃情報が集まりはじめる。
はたしてその3本指の男は何者なのか?
どのような方法で殺人は行われたのか?
そしてその動機とは?
金田一耕助は徐々に真相へと近づいていく。




原作に忠実といえば忠実なのですが
いくつか設定が変えられています。

例えば原作では昭和12年なんですが本作では23年になっています。
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また原作では新婦の父親代わりとして出席した叔父の久保銀造が
その異常な殺人事件を目にし、金田一耕助を呼ぶのですが
本作では最初から婚礼の席に出ていて殺人事件に巻き込まれるという。
つまり最初から現場にいた方が話が早いんじゃねーかという
なんとも大胆な時間短縮(笑)

しかし、こればっかりは許せないというか
何故そんな事しちゃったの!と絶望的になった設定変更があります。

磯川警部が出てこない!

原作では金田一とその後何度もコンビを組むことになる
磯川警部との出会いが書かれているのですが・・・

そのポジションには何故か『日和警部』という間抜けな男が。
また。。。名前がひよりって。。。

原作ファンにとって『磯川警部』って名前は凄まじく重要な名前で
※もちろん『等々力』や『立花』も
金田一シリーズを放送するならここだけはこだわって欲しかったなぁ。

ちなみに日和警部を演じるのは長門勇
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見るからに無神経で事件の真相から大幅にずれている男。
市川崑の金田一シリーズに出てくる
『等々力警部(加藤武)』に近い感じですね。
かと言って決して長門勇は悪くない!
いやむしろすげー頑張っています(笑)

・・・っとまあ変更は色々あるものの
原作を読んで想像していた映像にかなり近く
その点は満足しています。
なにより金田一の雰囲気がいいですね!
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古谷一行の金田一!悪くないぞ!


観ていて面白いなーと思ったのが
登場人物に対し物をかぶせてくる映像。
例えばこれ。書庫で話すシーンですが
本棚から覗きこむような映像ですね。
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本作はこういう映像がとにかく多いのです。

囲炉裏でお茶を飲んでいても自在鉤(じざいかぎ)があったり
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警察本部での会議では天井のライトが画面を大きく隠しています。
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水車番に聞き込みをする時も水車がグルグル回っています。
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この違和感というか居心地の悪さが
密室殺人事件の異常さと妙に合っていて
監督のこだわりといいますか独特の美学を感じます。


密室 巧妙なトリック そして人間という生き物の恐ろしさ


さて、簡単に事件の内容を整理してみましょう。

屋敷の離れで寝ていた新郎新婦。
建物には鍵がかけられ、完全なる密室。

室内にあった屏風には3本指の血痕があり、琴の弦は切れていた。

凶器であると考えられる日本刀は庭の真ん中に刺さっていた。
しかし庭には足跡など犯人がいた痕跡は一切なし。



凶器の位置、現場の状況からいって殺人事件である事は明白。
しかしどうやって犯人は逃げたのか?



一柳糸子を演じるのは淡島千景
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いやー美しいですねー。
夫を亡くしてから一柳の家を守ってきた当主です。
上品で厳格な性格なのですが
なぜか分家の人間と不倫関係にあります。


一柳賢蔵を演じるのは佐藤慶です。
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名悪役!渋い俳優さんでしたねー。
賢蔵は一柳家の跡取りであり結婚式の新婦。
潔癖な人物として描かれています。
自分が死亡した際、弟の三郎に金が渡るように保険を掛けていました。


一柳家の三男、一柳三郎を演じるのは荻島真一です。
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サスペンスものによく出演されていた俳優さんですね。
三郎は生粋の推理小説マニアであり
何故か金田一に対してライバル視している様子。


末っ子の一柳鈴子を演じるのは西崎みどりです。
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『必殺シリーズ』の主題歌を歌っていましたね。
鈴子は知的障害をもつ女性であり、猫を愛する娘です。
最近、飼い猫が死んでしまい落ち込んでいます。
琴が上手で難解な楽曲も見事に弾きます。


一柳家の人間にはそれぞれ闇の部分があり
『呪われている』という表現が使われていますが
殺人事件につながるほど重要なものが見えてきません。

そんな時に、新婦の克子(真木洋子)の過去の秘密が明らかになります。
真面目で純粋だと思われていた克子ですが
彼女がかつて遊び人と交際していた事がわかります。

3本指の男、克子の元カレ
警察はこの二人を容疑者として考えているようですが
金田一はどうも納得いかない様子。

そう、この事件は密室で起こっているのです。

この際、誰が犯人だろうが
密室のトリックを解決できなければ
事件の真相にたどり着くことはできないと
金田一は考えているのです。
密室トリックを見抜いていく金田一の活躍!
本当にワクワクします!
市川崑&石坂浩二でも観たかったなー。



観終わった感想としましては
満足!
市川崑の金田一とは一味違う魅力がありますね。
このシリーズ、時間があったら観てみようかなと思っています。





[ 2014/10/05 23:23 ] ミステリー | TB(0) | CM(2)