『スモーク』 映画通が大推薦する名作!粋な大人は嘘と上手に付き合う?

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『スモーク』
Smoke


監督 ウェイン・ワン
脚本 ポール・オースター

1995年
アメリカ・ドイツ・日本(合作映画)
113分



クリスマスが近づくと観たくなる映画
『スモーク』を紹介します。

この映画が本当に大好きで
なんとなく再生してしまいます。

本作はアメリカ、日本、ドイツ合作映画。
原作『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を書き下ろした
アメリカの人気作家、ポール・オースター
本作で脚本を書いています。
ブルックリンにあるタバコ屋が舞台で
何が始まるわけでもなく(まあ多少はありますが)
タバコを買いに集まってくるある連中(曲者揃い)との交流や
ちょっぴり切ない話がのんびりと描かれる
映画通に愛される作品です。

第45回ベルリン国際映画祭審査員特別賞受賞作品。


ブルックリンにある煙草屋の日常。ほろ苦い大人の映画


あらすじ

ブルックリンの街角で小さな煙草屋を営むオーギー。
彼には変わった趣味があった。
それは毎日同じ時刻の同じ場所で
写真を撮影するというものだった。
彼は14年間もこれを続けている。
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煙草屋の常連ポールは作家であるが
数年前に銀行強盗の流れ弾で妻を亡くして以来
仕事が手につかず悩んでいた。
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ある日、ポールが不注意で
自動車に轢かれそうになったところを
ラシードという一人の少年が救った。
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感謝したポールは彼を自分の家に泊めるのだが
ラシードの本名はトーマスであり
理由があり偽名を使って各地を転々としていた。

ブルックリンにある小さな煙草屋を中心に
男の友情、過去の恋人との再会
ある父と息子の再会といった
決して大きな事件ではないエピソードが重なり合い
心に小さな幸せが広がる。
一本のタバコがもたらす安らぎのように。



何度観てもいいなぁ。
なんなんですかね?この映画の良さ。
哀愁、小さな幸せ、心があたたまる友情。
とても味わい深い大人のドラマです。
前々からレビューを書こうと決めていた作品ですが
この不思議な魅力をなかなか文章にするのは難しく
何度か挫折してます(笑)

オギーの店が拠点となりつつも
その客であるポール
ポールと出会った少年ラシード
ラシードが探していたサイラス
軸になる人物がどんどん変わっていくのですが
この一連の流れが本当に見事で
これらのエピソードが見事に絡み合って
一つの映画になっています。
しかもどれもいい話。
大事件じゃなくて、少し切ない話。
ちなみに脚本の中の細かい台詞は
出演者たちによって即興的に書かれたのだとか。
それが絶妙な間となってリアリティがあります。
ちょっとした会話が気持ちいい!

ハーヴェイ・カイテルの代表作!男の哀愁を感じる最高傑作



とにもかくにも
本作のハーヴェイ・カイテルの存在感!
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デ・ニーロと同じくらいのキャリアがあるのに
なかなか大きな作品に恵まれなかったハーヴェイ。
タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』
一気に知名度があがり
いぶし銀の演技で数々の名作に出演しました。
本作は彼の代表作といっていいでしょう。
この映画を観て大ファンになった人も多いのでは?

ウィリアム・ハート演じるポールは小説家。
煙草屋の常連客なのですが
数年前に妻を銀行強盗の流れ弾で失っています。
それ以来スランプなのですが
少年との出会い、オギーとの友情が
彼を少しだけ変えていきます。
原作者ポール・オースターの分身なのでしょうか?
詳しくはわかりませんが
そうだったらいいなーと思いながら観ています。

大人になるという事 = 嘘と上手に付き合う事


この映画の一つのポイントになる要素が
『嘘』です。
そう書くとちょっと悪いイメージがありますが
この映画でいうところの嘘は
真実を少しぼやかすような嘘です。

誰にも言えない秘密を抱えている為
とっさに偽名を使ってしまうラシード
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本当は誰の子かわからないのに
『あなたの娘よ』というルビー
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彼らはマジメに語りますが
どこか曖昧な部分もあります。
しかし本作の登場人物たちは
その『嘘』と上手に付き合っています。
それは彼らにとって『真実であるか?』
それほど重要な問題ではなく
困っている時に頼ってくれる事や
悩みを打ち明けてくれる事のほうが重要なのでしょう。

それぞれ痛みを知っている人間だからこそ
人に言いたくない事を言わせるような野暮な事は無し。
他人との距離の取り方が絶妙で
観ていて本当に気持ちがいい!
自分もこのタバコ屋の常連になって
オギーに相談できたらなぁ(笑)

本作のクライマックスはやはりラストシーン。
クリスマスのエピソードを語るオギー。
嘘か本当かはハッキリしませんが
なんとも不思議な思い出話が聞けます。
トム・ウェイツの大名曲
『Innocent When You Dream』が流れ
モノクロの映像で繰り広げられる
オギーのエピソードは必見。

クリスマスにピッタリの映画だと思いますので
まだ観ていない方は是非。
DVDを持っていない方はこれを機会に買ってみては?
プレゼントにも最高の一本だと思います!



ちなみに本作の続編『ブルー・イン・ザ・フェイス』
『スモーク』を観た方へのご褒美というべき作品!
ブルー・イン・ザ・フェイス [DVD]
これも併せて鑑賞されると、より『スモーク』を満喫できます。
ずーっとDVD化されるのを待っていた作品で
最近ようやく発売されました。よかったー。
ルー・リード
ジム・ジャームッシュ
マドンナ
マイケル・J・フォックス

超豪華なゲスト達が、オギーの煙草屋に訪れます!
こちらも是非!










[ 2013/11/28 21:14 ] ドラマ | TB(0) | CM(8)

『悦楽共犯者』 気持ちいいのは自分だけ!チェコアニメの巨匠が放つ性交なきエロティックアニメ!

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『悦楽共犯者』
Spiklenci slasti


監督  ヤン・シュヴァンクマイエル


1996年
チェコ
87分



チェコアニメの鬼才ヤン・シュヴァンクマイエルの長編映画
『悦楽共犯者』を紹介します。
彼のアート作品はグロテスクなものが多いのですが
彼にしか作り出せない不気味で奇想天外な作品は
一度ハマったら抜け出せない魅力があります。
サド、マゾッホ、ブニュエル、エルンスト
フロイト、ブルーク

『エロティックな趣味人』にささげられているという本作。
どのような映画なのでしょうか?

『性交のない最初のエロティック映画』というコピーが印象的


観終わって納得。たしかに性交なしのエロティック映画。
一応ストーリーらしきものはありますが
基本的には出演している6人を撮影しているだけです。

ある者は自慰の為に使用する機械の制作に情熱を燃やし
ある者は性的興奮を得るためにありとあらゆる準備をし
またある者は誰にも言えない秘められた儀式に没頭します。

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彼らに共通するのは
『興奮への間抜けな努力』
まあ『性的興奮』なのかは微妙な連中もいますので
あえて『興奮』とさせてもらいました。
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いわゆるマイノリティでフェティシズム溢れる趣味を
のぞき見るという映画です。

例えばこれ。
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夜なべしてニワトリを作る男。
一体なんだというのだ…これは…。

6人それぞれ異常な行為に夢中なのですが
彼らにはちょっとした接点があったりして
そう言う意味ではドラマ性もいくらか存在しますが
まあ全くと言っていいほど無意味なもの(笑)

そして何よりこの映画の最大の特徴は
セリフが一切ないという事。
BGMと効果音のみです。

この効果音というのが不愉快極まりないもので
物を食べる時のペチャペチャクチュクチュという音が
やたら強調されており、物をほおばる瞬間に
画面いっぱいに口が映し出されたりと
嫌がらせ的な映像が多いです。
これは監督のシュヴァンクマイエル自身が
幼い頃から『食べる』という行為が嫌いだったという
妙な理由からきているようです。
時に『食べる』という行為は
エロティックな表現として扱われる事もあるのですが
本作では『下品』と感じさせるほど。
なかなかおぞましいものになっています。

そして忘れてはいけないのが
本作は『アニメーション作品』であるという事。
はっきり言ってその事実を忘れてしまうほど
前半にその要素はありません(笑)
ところが突然コマ撮りアニメーションが始まり
その非常にアナログでトホホな動きが笑えます。
さらなるおかしさを作り出しています。

悪趣味
悪ふざけ
グロテスク


このように言ってしまえば身も蓋もないんですが
この映画には何とも言えないおかしさがあり
非常に下らない事を徹底的に魅せてくれるという
ある意味挑戦的なアート作品です。
一体どのような意図があって
こんな映画を作ったのかはわかりませんが
結論から言うと『気持ちいいのは自分だけ』って事なのでしょう。
最後まで馬鹿馬鹿しく大いに笑わせてもらいました。
まあ観る人によっては全く意味のない作品です(笑)
観たい人だけで楽しむべき映画です。

割とグロ&過激な作品なので予告は省略します。
YOUTUBEでも観れるっぽいのですが
できれば大きな画面で観てくださいね。
気持ち悪いけど(笑)


[ 2013/11/25 00:05 ] アニメ | TB(0) | CM(0)

『BIUTIFUL(ビューティフル)』 突然宣告された『余命2ヶ月』 限られた時間の中、家族に何を残せるのか?

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『BIUTIFUL』
ビューティフル



監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

2010年
メキシコ
148分



前々から気になっていた作品をようやく鑑賞しました。
メキシコ映画『BIUTIFUL ビューティフル』を紹介します。

監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
『アモーレス・ペロス』『21グラム』『バベル』といった
複雑な時間軸の中で展開されながらも
絡まった糸をたぐり寄せるように
物語がすすむにつれて全貌が明らかになるという
一筋縄ではいかない作品がファンに支持されています。

ところが本作『BIUTIFUL ビューティフル』
一人の男性をカメラが追い続けるド直球な作品。
ちなみにPG12指定です。

カンヌ国際映画祭  主演男優賞受賞
アカデミー賞    主演男優賞/外国語映画賞ノミネート
英国アカデミー賞  主演男優賞/外国語映画賞ノミネート
ゴールデングローブ賞 外国語映画賞ノミネート

医師から宣告された『余命2ヶ月』 残された時間で何ができるか


あらすじ

ウスバルは幼い姉弟を育てながら
アフリカや中国からの貧しい移民たちに
非合法の仕事の斡旋をしている。
移民には不法滞在の者が多く
警察に目をつけられているが
ウスバルは儲けから賄賂を渡すなどして
彼らを警察から守っていた。
ある日、医者からガンの宣告を受ける。
余命2ヵ月。
家族のため、仕事の世話をしている人たちのために
何かしてやれることはないかと必死に行動するが
現実は厳しく何事も上手くいかない。
体力は徐々に落ちていく・・・




素晴らしい。
観終わった直後は、あまりに救いのない物語に絶句。
なのに心に残る淡い余韻。
それが気になって次の日にもう一度観たのですが
一つ一つのシーンに重みが増して何度かが…。
忘れられない映画となりました。
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ウスバル役のハビエル・バルデムが素晴らしすぎる!
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彼と言ったらコーエン兄弟の『ノーカントリー』
殺し屋アントン・シガー!
只者じゃないとは思っていましたが
本作での彼の演技は鬼気迫るものでした。
突然宣告された『余命2ヶ月』を背負い
この世に残していく人々に何ができるか?を考えながらも
迫り来る人生の終わりに怯える姿。
そして子供たちへの愛。
本作の彼の演技を世界中のメディア、評論家が絶賛。
ショーン・ペンジュリア・ロバーツも賞賛しました。
特にショーン・ペンは映画を観終わった後
15分間も席を立てなかったとか。


別居中の妻マランブラを演じる
マリセル・アルバレスの演技も凄かった。
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アル中で薬物にも手を出し
躁鬱を繰り返す双極性障害で育児ができず
離れて暮らしていますが、これが本当に酷い。
『平気で嘘をつく』
『男遊びをやめられない』
『子供に手を上げる』

彼女は病気と向き合わない為
病状が改善することもなく
関わる人を傷だらけにしておきながら
自分が一番可哀想だと嘆くという最悪の状態。
ウスバルは自分の死後、彼女に子供を託す事を願いますが
何も改善していない彼女に絶望します。

そして驚かされるのが一般人の起用。
本作で重要な役割を担う
娘のアナ、子供の世話を頼むイへ
そしてイへの旦那のエクゥメは現地に住む素人!
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素人を使うのがイニャリトゥ監督の主義なのかもしれませんが
とんでもなく素晴らしい存在感。


ウスバルが残したもの


バルセロナは華やかな観光地といったイメージがありますが
本作で描かれているバルセロナは
その華やかさとはかけ離れた
薄汚れたスラム街です。
街には不法滞在の外国人が溢れ
彼らは違法な商品を露天で売り、麻薬にも関与しています。
ウスバル本人もバルセロナでは差別されている対象であり
安い賃金で働く移民たちの稼ぎをピンはねして
警察には賄賂を渡す事で生計を立てています。
こういったバックグラウンドを感じ取る事が大切。
これを無視しては映画の意味が変わってしまいます。

そんなウスバルが医師から『余命2ヵ月』と宣告され
限られた時間の中、二人の子供たちに何かを遺してあげたいと
自分の死に怯えながらも必死に生きる姿を描く作品です。

しかし先程も書きましたが
バルセロナの闇で暮らす人間にとっては
生きていくのがやっと。
せめて少しでも金をと必死に働きますが
体はどんどん言う事を聞かなくなります。
また、犯罪に手を染め、頼れる者がいないウスバルが
少しでも善意をもって生きていこうと考えたところで
邪魔をする人間があらわれ、何一つ上手くいきません。

この映画のタイトル『BIUTIFUL』
ビューティフルのスペル間違い。

娘が父にビューティフルのスペルを聞きます。
すると父は『発音の通りだ B…I…U…T…』
間違ったスペルを教えてしまいます。
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この事からウスバルが
まともな教育を受けていない事がわかります。
そのような父親が残り60日ほどで
子供たちにしてやれる事は少ないでしょう。
しかし生きている間、もがき苦しみながら
思い通りにならない人生に絶望しつつも
生きる事に執着し、最後まで苦悩し続けます。
死に際まで『何ができるのか?』を考え続ける姿は
胸が潰れるほど切ないです。


本当はもっと色々書きたいのですが。。。
本作はなるべくネタバレなしで。


この映画を観た人に是非聞いてみたいのが
『ウスバルは子供たちに何を残せたのか?』
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きっとそれぞれ違う意見や感想があるでしょう。
この映画は絶望だけを描いているわけではありません。
非常に重たい作品ですが、機会があったら是非。





[ 2013/11/24 11:26 ] ドラマ | TB(0) | CM(0)

『女王蜂』 ついに4作目!市川・石坂・横溝の最強チーム!口紅にミステリー

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『女王蜂』
じょおうばち


監督 市川崑

1978年
日本
139分



金田一シリーズ第四弾!
『女王蜂』を紹介します!

以前も書きましたが
何故かこのブログ
『金田一耕助』で検索される方が多く
『市川崑』『横溝正史』の検索でもヒットするようです。
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こうなってくると下手なこと書けないなーと
若干プレッシャーになりつつも喜んでいます(笑)

この映画では原作から大きく変更されており
舞台が東京から京都になり
伊豆半島から七里の場所にある月琴島
伊豆山中の月琴の里に変更されています。

過去の作品の犯人役が総出演
豪華なキャスティング
中井貴惠のデビュー作
カネボウ化粧品とのタイアップ
など
色々と話題が多かった作品です。
ところが当時の市川監督は実写映画『火の鳥』の撮影もあり
松林宗恵が協力監督として撮影して完成させたのだとか。
それでこのクオリティを保てるんだから
恐ろしいシリーズです。

さて、ファンの間では賛否両論ある『女王蜂』
様々な意見、考察、感想、批評があるようですが
一体どのような作品なのか?


シリーズ中、最も『愛』を感じさせる作品


あらすじ

昭和7年。
大道寺銀三と日下部仁志の二人の学生が
大道寺琴絵という女性と出会う。
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日下部は大道寺琴絵を愛し、やがて琴絵は妊娠するが
日下部は母に結婚を猛反対され、崖の上から転落死。

それから4年後の昭和11年。
銀三は子供を承知の上で琴絵にプロポーズする。

そして昭和27年。
美しく育った智子に、三人の求婚者が現われる。
そのうちの一人・遊佐三郎が
大時計の歯車に体を引き裂かれるという事件が起こる。
第一発見者は智子だった。



過去の作品に比べると
それほど過激な物語ではないので
やはり地味な印象になりますが
話のテンポが早く、見せ場も多いので
最初からグイグイ引き込まれます。
特にオープニングからタイトルまでの疾走感!
一気に持っていかれる力強さがあります。

本作は横溝作品の中でも異質な作品なので
かなり上手にまとめた映画なのでは?と思います。
今までの残酷な連続殺人と推理という構図ではなく
人間関係の複雑さや愛憎劇が丁寧に描かれているので
(これもまた横溝正史の魅力)
少し物足りなさを感じてしまうのでしょう。
本作は過去の作品と比べずに観る事をおすすめします。

また、ド素人中井貴恵を許せるか許せないかってのが
本シリーズファンの中であるみたいですが
個人的には全然大丈夫だと思います。
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セリフが棒読みだろうが、その存在感はなかなかのもので
箱入り娘って感じでいいんじゃないでしょうか。

それよりも仲代達矢が回想シーンで
学生を演じている方が
よっぽど衝撃映像!
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これをオーケーテイクにする監督は
やっぱりぶっ飛んでるなーと思います。

また、市川監督ならではの映像遊びも満載!
とくにこれ!
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デ・パルマもビックリの6分割!
要所要所で気合の入った映像が見られるのも
本作の魅力の一つ。


超豪華!これが最後という意気込みを感じるメンバー


出演者の豪華さはシリーズ中でもトップクラス!
神尾 秀子に岸恵子
東小路 隆子に高峰三枝子
蔦代を司葉子って。。。
過去の犯人勢揃い!

実はこの三人、今回が初共演。
市川監督から出演オファーがあった時には
脚本すら無かったという話です。
それでも出演しちゃうわけですから
いかに市川監督が信頼されていたかがわかりますね。
それぞれシリーズ2回目の出演となる女優陣ですが
それに対し初出演となる仲代達也が
『新人の仲代です』と挨拶したのだとか(笑)

交通事故で亡くなった佐田啓二の娘
中井貴恵がヒロイン役に抜擢され
佐田啓二と共演経験のある岸、高峰、司の三名は
亡き父の思い出を貴恵に話したのだとか。
父を亡くしたのが6歳の頃という事もあり
彼女にとっては貴重な経験になったでしょう。

本作こそ金田一シリーズのラストと噂されており
そういう意味でも超豪華なメンバーが揃っています。
まあ実際には次の作品も制作されるのですが(笑)

また、萩尾みどりの儚げな美しさも素晴らしく
人気者だった美男子、沖雅也も出演しています。

もちろん本シリーズ常連組である
加藤武、大滝秀治
小林昭二、常田富士男
草笛光子、坂口良子
も出演!
こういったメンツは
見ているだけで幸せな気持ちになります(笑)

すっとぼけ担当の
伴淳三郎三木のり平もいい味出してます!

なんといっても大道寺 銀造の仲代達矢!
よくもまあここまで集めたなって感じです。
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久しぶりに観るとまた違った印象があります。
個人的にはラストシーンがお気に入り。
本シリーズの中でも屈指の名ラストシーンです。
あたたかい余韻がいつまでも残ります。

本作はとても切ない話。
金田一シリーズの中で最も『愛』を感じさせる作品です。
久しぶりに観ましたが
こんなに面白かったっけ?と驚きました。









金田一耕助シリーズ(市川崑)
 ・悪魔の手毬唄
 ・獄門島
 ・女王蜂
 ・病院坂の首縊りの家
[ 2013/11/21 23:37 ] ミステリー | TB(0) | CM(2)

『少年は残酷な弓を射る』 世界中の評論家から高い評価を得た傑作!圧倒的に残酷な物語

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『少年は残酷な弓を射る』
We Need to Talk About Kevin


監督  リン・ラムジー


2011年
イギリス
112分



ちょっと早いんですが、今年を振り返ってみて
一番繰り返して観た映画を紹介します。
『少年は残酷な弓を射る』です。
5~6回は観たような気がします。
しかも毎回レンタル(笑)買えよ!って話ですね。

イギリスの女性作家に贈られる
文学賞であるオレンジ賞を受賞した
ライオネル・シュライヴァーの小説を映画化。
これが本当に良くできた映画。
母の視点から息子を描くドラマなのですが
恐怖映画とは違う、怖さがあり
最後におとずれるショッキングな展開に圧倒され
同時に『親子』って何なのかを考えさせられます。


母の愛を拒絶する息子。彼はモンスターとなり母を追い詰める


あらすじ

世界を旅行する作家のエヴァは
自由を愛し、仕事にも誇りを持った女性。
旅先で知り合ったフランクリンと一夜をともにし
エヴァは妊娠してしまう。
今までの自由とキャリアをあきらめなければならないエヴァは
妊娠を心から喜んではいなかった。

生まれてきた息子ケヴィンは決して母に心を開かず
母に対して嫌がらせを繰り返し
時には精神的に追い詰めるような怪物に成長する。
やがて、美少年へと成長したケヴィンだったが
エヴァの全てを破壊してしまう恐ろしい事件を引き起こす。



凄い映画。
最後まで続く緊張感!
エヴァを演じるティルダ・スウィントン
これまでのキャリアで最高の演技!
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彼女は製作総指揮も担っています。

ケヴィンを演じるエズラ・ミラーの鬼気迫る怪演!
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圧倒的な存在感!怖い!

ここ最近観た映画の中でダントツの作品。
でもこの映画を『つまらない』という人が多くて(笑)
もう少しだけ深く掘り下げるだけで
本作に対する気持ちが変わると思うんです。

あらすじを読んでもらえばわかるように
息子が母を苦しめるだけの話と感じる人も多く
重苦しく救いのない物語に耐えられない人もいるでしょう。
しかしこの映画、それだけではないような気がします。



最後までエヴァの目線で語られる物語


エヴァは妊娠を喜んではいませんでした。
しかし父親のフランクリンは大喜び。
この時点で二人の間には見えないがあります。
大きくなるお腹にも愛情を持てず
生まれた時ですら心から喜べていません。
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エヴァが抱くとケヴィンは泣き止まず
フランクリンが抱くと泣き止む。
エヴァが機嫌をとろうとしても無視。
パパにはニコニコと抱きつきます。
これが非常に残酷な描写で繰り返されます。

このパパも問題ありで
ケヴィンを溺愛しているので
エヴァがどんなに悩んでいても
『男の子ってそういうものだから』
全く取り合ってくれません。
ケヴィンに疑いを向けるエヴァに
カウンセリング受けろとまで。
二人は離婚直前の状態になります。

ケヴィンは毎日のように嫌がらせを繰り返し
ノイローゼのエヴァを見て喜んでいるようにも見えます。
その嫌がらせは背筋が凍るほど憎悪に満ちています。

 これは歪んだ愛のカタチなのか?
 それとも感情のない悪魔のような存在なのか?


精神的に追い詰められていた矢先に
が生まれます。
これが天使のように可愛らしい子で
エヴァは母の喜びを初めて感じたと言ってもいいでしょう。
妹の存在はケヴィンにとっては驚異だったのかもしれません。
ケヴィンの行動はどんどんエスカレートしていきます。
そもそもエヴァが何をしたというのか?
息子に拒まれる原因なんて一つもありません。
唯一考えられるのが『望んでいた子ではなかった』という事実。
それでも必死に母親になろうとするエヴァですが
ケヴィンは絶対に心を開きません。
そしてどんどんエヴァは孤立していくのです。

 それは母を独占したいという欲望だったのか?
 それとも心から母を憎んでいたのか?


どちらであれケヴィンがモンスターであるという
事実は変わりませんが
エヴァの目線では語られる物語では
ケヴィンの気持ちや行動の意味がハッキリしません。
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この映画のテーマは『母親という生き方』


本作で一番感動的なのは
母である事を諦めないエヴァ。

どんなに追い詰められても
どんなに孤独になっても
どんなに恨まれても
彼女は母である事を諦めません。
この辺にこの映画の真のテーマがあるような気がします。

悪魔のような息子であろうが
食事を用意し、洗濯物を綺麗にたたみ
部屋を掃除している姿は
胸が締めつけられます。



愛を拒絶される母と悪魔のような息子
この二人には似ている部分もあります。

例えばこれ。

噛んだ爪を並べるケヴィンと、卵の殻を皿の隅に並べるエヴァ。
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無意識の行動に共通点があるのが面白い。

また子供が間違って開けないように鍵をしている戸棚と
ケヴィンが通販で買った自転車の鍵。
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不思議と似たものを欲しがっているのかもしれません。

また二人が車に乗った時の後ろ姿。
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どことなく似ている二人。
この二人が親子である事を印象づける上手い演出ですね。


徹底して映し出される『赤』


本作は『赤』を印象的に使っています。
トマト祭りから始まり
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自宅にぶちまけられたペンキ
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パンにベッタリ塗られたジャム
他にもあちこちに鮮やかな赤が見られ
それはまるでのようであり
ラストシーンでの惨劇を予告するかのよう。

そして本作で幾度となく映し出されるのが
エヴァがペンキだらけの家を掃除するシーン。
体中真っ赤になりながらも
必死にペンキを落としていきます。
そして真っ赤に染まった手を洗うシーンは
息子が犯す罪への贖罪にも見えます。

この『赤』を使った演出は本当に見事で
映画の緊張感を高める事に成功しています。


ラストシーンで二人が交わす言葉。
非常に曖昧なセリフなんですが
とても印象的なシーンです。
『母である事』
『母親という生き方』
の意味を
深く考えさせられる映画でした。
もし観る機会がありましたら、是非2回観てください。
絶対に2度目の方が面白い!






[ 2013/11/20 14:59 ] クライム | TB(1) | CM(2)

『8人の女たち』 犯人はこの中にいる!なのに何故踊る?女だらけのミステリー

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『8人の女たち』
Huit Femmes


監督 フランソワ・オゾン

2002年2月6日
フランス
111分


フランスの作家ロベール・トマ作の戯曲を映画化した
『8人の女たち』を紹介します。
密室での殺人事件がおこるミステリーなのですが
8人の女優が歌って踊るミュージカルになっています。
監督はフランソワ・オゾン。
ヒッチコックが好きという事もあり
見ごたえのある密室ミステリーに仕上がっています。
また出演した8人の女優達に対して
ベルリン国際映画祭銀熊賞が贈られました。


みんなに愛されていたはずのパパが殺された!犯人はこの中に!


簡単なあらすじ

1950年代のフランス。
クリスマスを祝うために
雪に閉ざされた大邸宅に家族が集まった。
再会を喜び合う家族であったが
主であるマルセルの姿がない。
メイドのルイーズがマルセルの部屋へ朝食を持っていくと
彼はナイフで背中を刺され死んでいるのだった。
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外から何者かが侵入した形跡はなく
電話線は切られ、外部との連絡ができない状況。
『犯人はこの8人の中にいる』
クリスマスムードは一変し
それぞれを疑い始める女たち。
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彼女たち全員に疑わしき動機があった。



この映画は公開当時に観たのですが
久しぶりに観ても色あせない面白さがあります。
なんと言っても美しい女性たちの共演!

■ギャビー カトリーヌ・ドヌーヴ
マルセルの妻。ゴージャスでグラマラスなレディです。
二人の娘がおり、夫の遺産相続人。
夫にはほとんど愛情がないようで
夫の共同経営者と不倫関係にあるらしい。
夫が殺された日に愛人と逃避行する予定でした。

■オーギュスティーヌ イザベル・ユペール
ギャビーの妹。
実の父の死から立ち直れていない為に
夢見る娘がそのまま大人になり
神経質で欲求不満な独身女性になってしまった彼女。
心臓が弱いと騒ぎ立てるが、真相は不明です。
男には興味がないような事を言っているが
実はマルセルに恋心を持っていました。
こっそり恋愛本を読んだりしている。

■マミー ダニエル・ダリュー
ギャビーとオーギュスティーヌの母。
足が悪いので車椅子に座っているが、実は歩けます。
お金にがめつい所もありますが、基本的にはのんびり屋。
彼女は過去に重大な罪を犯しています。

■シュゾン ヴィルジニー・ルドワイヤン
ギャビーの娘。長女。大学生。
明るく可愛く素直な性格。
清純なイメージだが実は妊娠しており
事件の前日、父に相談しています。
その事を知った母は激怒しますが
彼女には更なる大きな秘密があります。

■カトリーヌ ヴィルジニー・ルドワイヤン
ギャビーの娘。次女。17才。
お転婆で推理小説が大好きな女の子。
当然8人の中で一番若いのですが
何げにしっかりもので今回の事件を解決すべく
まるで探偵のように大人の女性たちに質問します。
何も知らない女の子だと思っていたら…

■シャネル フィルミーヌ・リシャール
黒人のおデブな乳母。
シュゾンとカトリーヌを育てた彼女は
家族の一員として邸宅で暮らしています。
同性愛者ですが、みんなには秘密。
ところがバレてしまい、家族全員に引かれてしまいます。
事件の真相に近づきすぎたシャネルは
何者かに銃で狙われ、それ以降何も言い出せなくなります。

■ピエレット ファニー・アルダン
マルセルの実の妹。派手でギラギラした女性。
元ストリッパーで男運がないようです。
マルセルにお小遣いをもらっていたようで
ギャビーに嫌われています。
誰かから『マルセルが殺された』と連絡があり
邸宅にやってきました。
ギャビーが恋の逃避行を企んでいた相手は
ピエレットが愛していた男性。
マルセルにせびったお金をその男性に貢いでいました。
バイセクシャルでシャネルともイイ仲。

■ルイーズ エマニュエル・ベアール
最近働き始めた美しいメイド。
男を誘惑する才能は天才的で
いわゆる魔性の女であり、マルセルとも5年間もの間
愛人関係にあった事を告白する。
事件が起こって家族が慌てふためく中
徐々に横柄な態度をとるようになります。
ちなみに一番のお気に入りキャラです。
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悪そうな顔してるんですよ(笑)


このように8人それぞれ腹に一物を抱えた人物ばかり。
いったい誰がマルセルを殺したのか?
その理由とは?

『あんたがやったんじゃないの?』
『そういうあんたはどうなのよ!』

だんだん本性があらわになっていく姿は
妙にリアリティがあります。女って怖い!
徐々に明らかになっていく真相。
最後まで目が離せません。


愛するマルセルが何者かに殺された!なのに歌って踊る!


この映画の見所といったら
それぞれの女優さんが歌って踊る事でしょう。
なんの脈略もなく唐突に歌いだすので
初めて観た時は笑ってしまいました。
これって必要?と疑問に感じながら観ていましたが
女の罵り合いが続くエグい物語の中
リフレッシュタイムになっているのが面白い!
後半には『早く誰か歌わないかな?』と思うように(笑)

カトリーヌ・ドヌーヴも重量級になりましたが
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お尻をふって歌って踊ってる姿はなんとも可愛らしい!

各メンバーに見せ場があるのですが
ルイーズが何げに激しい!
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何回も観ちゃいました。

ミュージカルと言っても
大げさなバラードなんかひとつもなく
フランスのポップカルチャーを感じさせる
とても聴きやすいものばかり。
色鮮やかでポップな衣装を身にまとい
まるでお人形のように踊る彼女たちが
究極の夢物語を魅せてくれます。
フランソワ・オゾン監督はゲイと公言しているらしく
うっとりしながら撮影したんだろうなと思うと
この完成された世界観に納得できます。


そしてこの映画、衝撃の結末が待っています。
ええー!マジでー!ってなると思います(笑)
ちょっと変わったテイストの映画。
結構好きです。








[ 2013/11/18 00:05 ] ミュージカル | TB(0) | CM(2)

『プロジェクトA』 ジャッキーチェン最高傑作!映画史に名を刻んだ大傑作!

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『プロジェクトA』
Project A


監督  ジャッキー・チェン

1983年
香港
106分



ジャッキー最高!な世代なので
この映画を紹介しないわけにはいきません!

成龍 JACKYCHAN 主演作品
『A 計 画 !』

本作は『ヤング・マスター』以降
過去のイメージを脱ぎ捨てるため
『脱カンフー映画』宣言をした後
満を持して発表された本格的アクション映画です。

ジャッキー・チェンといえば
『蛇拳』『酔拳』といったカンフー映画をはじめ
『ポリス・ストーリー/香港国際警察』などの
ポリスアクション映画が人気ですが
ジャッキーの最高傑作は?と聞かれたら
迷う事なくプロジェクトAと即答します。

物語の構成、無駄のない展開
出演者それぞれの名場面
サモハン・キン・ポー、ユン・ピョウとの豪華共演


『娯楽』『アクション』を究極に融合した神作品。
本人でさえこれを超えることはできないのではないか?と思うほど。
今でも石丸博也(吹替)のセリフのほとんどが
頭にインプットされてます。

数日で撮り終えるという事もザラな
超高速撮影で有名な香港映画界ですが
本作は半年以上かけてじっくりと撮影。
結果、香港映画史上最高の興行成績を記録し
ジャッキー・チェンの人気を不動のものにしました。


とんでもない面白さの本作。一体何が凄いのか?


■主演、監督、武術指導、脚本の全てがジャッキー!
この映画に対する本気度を表す一人四役!
カメラをのぞき、スタートを合図して
一歩間違えば大怪我のアクション!
もちろんスタントなし!
こんなに大忙しの主演俳優は見たことありません!

このセリフ!
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ジャッキー映画史上、最強の名セリフ!
ジャッキーの悪を許せない強い気持ちと
世渡りが下手でいつも上司に怒られる不器用さ
感情が爆発して大暴れした後にいうセリフです。
もう鳥肌モノのかっこよさ!
俳優としても大きな成長を見せた作品です。


■今まで見た事がない小道具を使ったアクション
ジャッキーの素晴らしさの一つとして挙げられる
街にあるもの全てを武器にする事ができるという
とんでもないオールマイティっぷり。
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椅子だろうが、自転車だろうが、食べ物だろうが
もうなんだってジャッキーの手にかかれば立派な武器!
肉体凶器ブルー・スリーとの決定的な違いと言えます。


■カンフーの動きだけではない、忍者のようなジャンプや疾走
ジャッキーといえば人間とは思えない驚異の身体能力!
垂直の壁を駆け登るやら滑り降りるやら
どんなに高い所だろうが臆することなく飛び回る姿は
見ているこちらが『そこまでやるか!』と興奮しまくり!
カンフーで培ったアクションだけでなく
忍者のように身軽な身のこなしや
マーシャル・アーツ的な動きも取り入れ
『世界一動ける男』である事を証明した作品です。


■ゴールデントリオが魅せる!圧倒的な格闘シーン

ジャッキー・チェン
サモ・ハン・キンポー
ユン・ピョウ


公開前からこの名前の並びを見ただけで
日本中が興奮しました。
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この三人がガッチリ出演している数少ない映画なので
ファンにとっては忘れられない映画の一つになっています。
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世界最強の幼馴染であるゴールデントリオ。
寸分の狂いもないギリギリのアクションは
呼吸をするのも忘れるほど!
もはや芸術!


■これでもかと詰め込まれた笑いのエッセンス
事あるごとに全裸になりたがるジャッキーですが
本作でも手桶だけ持ったヌードを披露(笑)
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本作でも一番の爆笑ポイントです。
また、サモ・ハン・キンポーのコメディセンスは抜群で
もう見ているだけで笑えるという恵まれた存在感!
100%笑っちゃうシーンがいくつもあります。
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また脇役の仕事も素晴らしい!
いちいち笑わせてくれるので映画が本当に短く感じます。
また、エンドロールにNGシーンを観せるという手法は
後のジャッキー映画で定番となり
ファンの間では楽しみの一つになっています。


■カラダを張った伝説の『時計台落下』
本作を語る際、絶対に避けて通れない伝説のシーンです。
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スタントなしで三回も落下した事は有名。
ジャッキーはこの撮影で首を骨折!
しかも回復を待って、再度同じシーンの撮影を行ったのだとか。
まさにアクション映画の怪物です。


・・・っと、ざっと書きましたが
一言で表現するとしたら
何度観ても面白い!という事!
これこそ映画の神様に選ばれし作品!


是非買って欲しいブルーレイ!ジャッキー映画のバイブル!



ブルーレイの仕様が素晴らしい!
日本公開バージョン(吹替版)が収録されており
石丸博也、水島裕、野島昭生
見事にゴールデントリオを演じています!

ちなみにジャッキーが歌う本作の主題歌
東方的威風は国際公開版に使用されたもので、
なんと香港公開版には収録されていません。
日本語吹き替え音声じゃないと聴く事ができないんです。
正直言ってあの歌がないと物足りないです(笑)
是非、日本語吹替版で鑑賞しましょう!

まだ観た事がないなんて人は
猛ダッシュで観なければいけない映画の一つ。
この映画にはジャッキー・チェンの全てが詰まっています。
これだけは持っておきたいマストアイテム。








[ 2013/11/17 11:22 ] アクション | TB(0) | CM(2)

『悪魔のシスター』 初期デ・パルマの怪奇サスペンス!すでに完成された世界観!

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『悪魔のシスター』
SISTERS


監督  ブライアン・デ・パルマ

1973年
アメリカ
92分


ブライアン・デ・パルマ初期の問題作
悪魔のシスターを紹介します。
ジャンルはホラーになるようですが
観た印象としてはサスペンス。
ただ、題材が『シャム双生児』なので
怪奇映画と言った方がピンとくるかも。
ヒッチコック信者の彼ならでは
『サイコ』『裏窓』といった名作への愛が溢れる
なかなかの力作です!
この映画をきっかけに
デ・パルマは注目されるようになります。


原因、動機、全てが謎の殺人事件 犯人に隠された恐ろしい過去


簡単なあらすじ

テレビのクイズ番組に出演したのがきっかけで
ファションモデルのダニエル(マーゴット・キダー)と
黒人青年フィリップ(ライスル・ウィルソン)は
お互いに強く惹かれるものを感じ
夜更けまで酒を飲みながら語り合っていた。
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そこへ見知らぬ男が現われて
ダニエルに早く帰宅するよう忠告した。
この男はダニエルの前夫(ビル・フィンレー)で
しつこく彼女につきまとっているらしい。
脅えるダニエルを気づかい、彼女の家まで送ったフィリップは
彼女に誘われるまま、その夜を共にする。
翌朝、ダニエルが誕生日である事を知ったフィリップは
ケーキを買って部屋に戻ったのだが
ダニエルはいきなり鋭いナイフをかざして襲いかかる。
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フィリップは息絶えたが、その殺害現場を
女流記者グレース(ジェニファー・ソールト)は
向かいのマンションから目撃。すぐに警察に通報して
自らもダニエルのマンションに駆けつけたが
惨劇の跡は何もなかった。
警察はグレースの見間違いだと捜査を終了。
しかしグレースは、私立探偵と組んで事件解明に乗り出す。
捜査がすすむにつれてダニエルには双子の妹ドミニクが存在し
かつては双方の身体がつながったシャム双生児だったことを知る。


デ・パルマ気合入ってる!
正直言って全然期待してませんでした(笑)
ヒッチコック作品への愛と
彼ならではの画面遊び
おどろおどろしいストーリー!
まさにデ・パルマ作品!
もう完成しちゃってる感じがします。


謎の女性・ダニエルを演じるのは
スーパーマン (1978年)のヒロインである
ロイス・レーンを演じたマーゴット・キダー。
こういう薄気味悪い映画で
独特な存在感を出せる女優さんは貴重ですね。
彼女の狂気を感じさせる演技は
ある意味一番の見所と言っていいかも。


目撃者であり、真実を探る女流記者を演じるのは
ジェニファー・ソルトです。
正義に燃える姿は勇ましいのですが
やや空回り気味で、彼女の行動すべてが
裏目裏目に物語が進みます。
うそだろ!ってくらいドジだったりするので
イライラするかもしれません(笑)

決定的な証拠品のケーキを発見!
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急いで警察に見せなきゃ!

・・・って コケる。
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何やってんだよ!

尾行中。
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あーあーもう近い近い。

そんなに近いと・・・
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ほら捕まった。こんなのばっか。


個人的に本作のMVPは
探偵のチャールズ・ダニング!
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見た目からしてダメそうな奴なので
あっけなく殺されるんじゃないかと思っていたら
誰よりも早く真相に気がつくという
思いがけない敏腕っぷり!
期待してなかった分、驚いた(笑)
しかし最後にはしっかりとオチが。
この映画の中で唯一の笑える男です。


カルト映画?一般人を遠ざけるタブーでショッキングな物語


この映画はカルトな雰囲気があります。
オープニングからして胎児の写真を多用し
『フリークス』『奇形』という言葉が飛び交い
シャム双生児の写真、体が不自由な人々が映し出される
ある意味ショッキングな内容。
決して一般ウケするものではありません。
しかしながらネットリした怪奇モノではなく
実にあっさりと物語がすすむので
人間関係を深く掘り下げる事を省いている事が
ちょっと物足りなさにつながっています。
それでも90分ほどの作品としては
かなり思い切った内容。

そしてなにより後味の悪さ!
歯切れのいい結末を好む人は
もー!なんなんだよ!って思うかも。
デ・パルマ作品は後味悪いものが多く
本作も『えええ!終わり???』って感じです。
ある意味原点といえる映画。

デ・パルマが好きであれば
一度は観ておくべき作品です!
さらにこの映画の面白さを知るには
ヒッチコック作品を観るといいですね。
色々なシーンでオマージュを感じます。






[ 2013/11/13 13:39 ] サスペンス | TB(0) | CM(4)

『パレルモ・シューティング』 巨匠ヴェンダース監督作品!生きる意味を問いかける傑作!

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『パレルモ・シューティング』
Palermo Shooting


監督  ヴィム・ヴェンダース

2008年
ドイツ
108分



ヴィム・ヴェンダース監督作品
パレルモ・シューティングを紹介します。
ヴェンダースと言えばロードムービーの巨匠。
代表作『パリ、テキサス』は永遠の名作です。
そこからヴェンダース作品はメッセージ性が強くなり
哲学的で難解な作品が増えていきました。
ちょっと苦手意識を持っている方もいるようですが
本作は過去の作品とちょっとテイストが異なり
もう少し親しみやすい内容になっています。
とは言ってもテーマは『生』と『死』
なかなか興味深い作品でした。

『死』と向かい合う事で生きる意味に気付く物語


簡単なあらすじ

フィンは写真家。
写真をデジタル処理する事で
現実ではありえない世界を作り出すスタイルは
芸術的評価が高く、世界から注目されていた。
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昼も夜もなく、携帯電話鳴りっぱなしの日々で
彼はほとんど眠ることができなかった。
そしていつも『死』にまつわる短い夢を見る。
フィンは自分が生きている意味を見失い
『死にたいのに死ねない』ジレンマの中
忙しい日々に身をゆだねているだけだった。


ある夜、フィンが車を運転しながら
風景を撮影していたのだが
運転しそこない、危うく大事故となるところだった。
その時、フィンはある男の顔を目撃していた。


ミラの撮影の為、パレルモにやってきたフィン。
撮影後もひとりパレルモに残り、休暇をとっていた。
そこでフィンはあの男を再び目撃する。
男は矢でフィンを狙っていた。
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幾度となく命を狙われるフィンは
『死』への恐怖が深まっていく。


そんなある日、フィンは魅力的な女性フラヴィアに出会う。
彼女もまた過去の出来事から『死』に取り憑かれていた。
やがて二人は同じ時間を過ごす事で
失いかけていた何かを取り戻しつつあった。





いやー面白かった!
ヴェンダースの故郷である
デュッセルドルフから物語は始まり
古き良きヨーロッパ街
パレルモが舞台になるこの作品。
ロードムービーのようでありながら
『生』と『死』を扱った哲学的な物語。
しかし小難しい説教臭さはなく
どこか親しみやすい軽さがあります。
そしてなんともロマンチック。
過去の作品のフレーバーが満載の
嬉しくなる映画です。


出演者の紹介 ※ルー・リードがいるよ!


フィンを演じるカンピーノ
ディー・トーテン・ホーゼンのボーカリスト。
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最近のアルバム8作はすべてドイツでナンバー1を獲得!
ドイツを代表するバンドと言っていい存在です。
1999年、ヴィム・ヴェンダースが
ホーゼンのPVを撮影したのをきっかけに
友情が始まったそうです。
きっかけになった作品がこちら。

Die Toten Hosen 『Warum werde ich nicht satt』

なんか変なPVですよね(笑)面白い!
カンピーノは俳優としてのキャリアもあり
数々の映画やテレビドラマに出演しています。
『時計じかけのオレンジ』の舞台では高い評価を得ました。


フィンを付け狙う謎の男はデニス・ホッパーです。
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ヴェンダースの『アメリカの友人』から30年ぶりの出演。
彼の役は、ずばりです。
生まれる事が『入口』であれば
死は『出口』
それなのに何故人々は私を恐れるのかと
死は悩んでいます。斬新な設定!
デニス・ホッパーはこの撮影の2年後
惜しまれながらこの世を去りました。
彼のラストメッセージといえる渾身の演技は必見です。
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うーん。さすがの存在感!


ミステリアスな美女フラヴィアを演じるのは
イタリアの女優ジョヴァンナ・メッツォジョルノ。
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『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』で主演。
イタリアの独裁者ムッソリーニの妻を演じました。
その演技は世界中で評価され、多くの賞を受賞しました。
フラヴィアは昔、恋人を事故で亡くし
死という呪縛から逃れられず生きる悲しい女性。
同じ悩みを抱えるフィンの存在が
失われた空白の時間を徐々に埋める
大切なものになっていきます。


ミラ・ジョヴォヴィッチが本人役で登場!
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妊娠中の大きなお腹にも関わらず
カメラを向けられポージングする彼女は
『生』の象徴として眩いほどに輝いています。
ヴェンダース作品では『ミリオンダラー・ホテル』以来の出演。
本人役ってのもあってか、リラックスした雰囲気
『エッヘッヘッヘ!』という豪快な笑い方は最高!


ほんのちょっとだけルー・リードが出演!
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ヴェンダースを音楽面で協力してきたルー・リード。
本人役(しかも幻影)という不思議な映像が笑えます。
彼のセリフがまた・・・(涙)
つい最近この世を去ったルー・リード。
彼の言葉の重さが、この映画をグッと引き締めています。


本作の重要なファクター『音楽』


気持ちを高めるため
またその逆で落ち着けるため
雑念を振り払い無心になるため
一人の世界を取り戻すため
主人公のフィンはイヤホンで音楽を聴きます。
まるで音楽が彼を導いているようにも見えます。

たとえアーティストがこの世を去ったとしても
曲があるかぎり音楽として存在できる。
音楽には死と生を超えた力があります。

この映画の2年後に亡くなったデニス・ホッパー
つい最近この世を去ったアーティスト
ルー・リードが映画の中で生き続けている事も
この作品の語らんとするテーマを
さらに深く感じさせます。

ちなみに映画音楽は、伝説的なドイツのグループ、
カンのリーダーイルミン・シュミットが担当。
カン(Can)は、68年西ドイツで結成されたバンド。
パンク、ニュー・ウェイヴ
オルタナティヴ・ロック
エレクトロニック・ミュージック
ポスト・ロックなどに大きな影響を与えました。
また、ニック・ケイヴをはじめ
ヴィム・ヴェンダースならではの
メンバーが楽曲を提供していますので
映画を観る際、『音楽』にも注目してください!



エンドロールがおしゃれ。
劇中でフィンが撮影した写真が見れます。
これが凄くいい。
深い余韻となっていつまでも心に残ります。

この映画はラブストーリーではありませんが
『生』と『死』というテーマを追求することで
『愛』という目に見えないものを強く感させるという
不思議な作品になっています。
ヴィム・ヴェンダースさんスゲェっす。










[ 2013/11/10 14:54 ] ロードムービー | TB(0) | CM(0)

『エクスペンダブルズ』 スタローンからのラブレター!最強の男達による最強の映画!

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『エクスペンダブルズ』
The Expendables


監督  シルヴェスター・スタローン

2010年
アメリカ
103分



大物俳優を二人使っての撮影は大変難しいそうです。
我が強い俳優二人の要望を聞き入れながら
その都度脚本や演出を直し
結局はどちらが主役かという事になり
監督や撮影スタッフが疲労困憊するのだとか。

ところがたまに奇跡が起こります。
ロードムービーの傑作『スケアクロウ』
ジーン・ハックマン&アル・パチーノなんかは典型的な例。
両者の良さが調和し、相乗効果が生まれた傑作です。
これを勝手にカツカレーの法則と呼んでいます。

さて、今回紹介する映画はこちら
エクスベンダブルズ!

スタローンが集めたメンバーをざっと見ると

ジェイソン・ステイサム
ジェット・リー
ドルフ・ラングレン
ミッキー・ローク
ブルース・ウィリス
アーノルド・シュワルツェネッガー
って…

だーかーらー!
なんでこんな事になったの!
どうすんの?
どうすんのよ!こんなに集めちゃって!

四番バッターばかりを集めた
一昔前の巨人軍?
いやちょっと違うぞ…
なんだろうこの感じ?
何かに似ている…

個性が強いものが集まり
それぞれが我が強く、調和しようとしない
それでいて豪華絢爛!

そうか!

おせち料理だ!


トゥーマッチなのに決め手がないおせち料理。
探せばいるかもしれませんが
『週一でおせち食いたい』って人は見た事がありません。
おそらく『白米がすすむ物がない』というのが原因。
こんなに豪華なのにも関わらずです。
かつてCMで『おせちもイイけどカレーもね』などと
超ド定番献立であるカレーにすら地位を脅かされた
可哀想なおせち料理。あんなに豪華なのに!

伊勢海老のポジションはスタローンとして
伊達巻は、伊達男ジェイソン・ステイサム。
栗金団は、かつて甘いマスクで名を馳せたミッキー・ローク。
ドルフ・ラングレンはどうしようか。
彼の当たり役はロッキー4のドラゴ。
ドラゴといったらロシア。
ロシアといったら…まあロシア産の数の子あたりにして
黒豆ジェット・リーあたりか。
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いやそんな事よりも映画でした。

あらすじとかはもういいでしょう。
そういう次元の作品ではありません。
筋肉と筋肉がぶつかり合い
ギネス級の銃弾が飛び交い
幾度となく大爆破な映画です。

決して馬鹿にしているわけではありません!
スタローンって脚本の才能があると思うんです。
シンプルだけどツボを知っているというか
ダラダラした話を書いたりしないんです。
真っ直ぐな気持ちで名作『ロッキー』を書ける人は
スタローンしかいないでしょう。


ギャオ!
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ブルース・ウィリスとスタローン!

そして…

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シュワがキター!
長年の夢が実現した瞬間!


二人の会話が最高!
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シュワ 『ディナーでもどうだ?』
スタロ 『いつだ?』
シュワ 『1000年後』
スタロ 『急だな』

・・・・・

たまんねーーー!!(涙)

誰がこんな映画を作れる?

スタローンしかいねー!


スタローンの助手席にジェット・リー!
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新鮮!もう新鮮!

バイクにまたがるスタローンに刺青を彫る
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ミッキーローク!

誰がこんな映画を作れる?

スタローンしかいねー!


鑑賞するまでは大味なアクション映画だと思ってましたが
観ているとワクワクが止まらない!
なぜ?どうして?

そして自分の認識の甘さに気がつきました。
これはただのアクション映画ではありません。
エクスペンダブルズという
全く新しいジャンルなんです!


そうか!そういう事だったのか!
今のところ、この地球上で
エクスペンダブルズというジャンルは
『エクスペンダブルズ』
『エクスペンダブルズ2』

そして公開を噂されている
『エクペンダブルズ3』のみ!
つまり敵なし!


ジャン・クロード・バンダム
メル・ギブソン
ハリソン・フォード
アントニオ・バンデラス
ウェズリー・スナイプス

が追加されちゃってるんだから。
もう誰も止められません!

噂されているニコラス・ケイジ
ミラ・ジョヴォヴィッチ
ジャッキー・チェン
は参加するのか???


みんなでビール飲んでピザ食って
ゲラゲラ笑いながら大騒ぎして観たいなぁー。

みんなが観てみたい!っていう夢のような映画。
実現したらどんな作品になるんだろう?っていう好奇心。
スタローンは全てわかってたんですね。
当たり前ですが、スタローン本人が
世界中の誰よりもスタローンを知っているわけです。
ちょっと感動的。
レビューなんて意味ありません。
スタローンの愛を受け止める覚悟
この映画に必要なのはそれだけです!

そういえば言い忘れてましたが
おせち料理好きです。

こちら一作目。


二作目。もう止まらん。






[ 2013/11/07 00:00 ] アクション | TB(0) | CM(0)

『ムーンライズ・キングダム』 幼い二人が駆け落ち?豪華俳優が勢ぞろいの箱庭ムービー!

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『ムーンライズ・キングダム』
Moonrise Kingdom

監督  ウェス・アンダーソン
脚本  ウェス・アンダーソン ロマン・コッポラ

2012年
アメリカ
94分


ムーンライズ・キングダムを紹介します。
いいタイトルですねー!
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』など
中毒性の強い個性的な映画で人気の
ウェス・アンダーソンが監督。
キツネが主人公のアニメ
『ファンタスティックMr.FOX』でも話題になりました。
脚本にはさりげなくロマン・コッポラの名前が!



幼い二人が駆け落ち???箱庭ムービーの決定版!


簡単なあらすじ

1960年代ニューイングランド島。
孤児ということに劣等感を感じながら
ボーイスカウト活動をしていたサムには友達がいない。
ある日、カットなると鏡を殴りつけるような
エキセントリックな少女スージーに恋をする。
やがて二人は文通を始め、駆け落ちを計画する。
二人は美しい海岸にキャンプしながら
愛を確かめ合いながら自由気ままに過ごしていた。
一方、村では二人が消えた事で大騒ぎ。
保安官、スージーの両親、ボーイスカウトたちが捜索を始める。



なんて可愛らしい物語!
予想以上に面白かった!
まるで絵本を読んでいるかのような
箱庭ムービー。
ムーミンでいうところのムーミン谷
ドクタースランプのペンギン村みたいな感じ。

本作はアンサンブル映画。
つまり群集劇というやつで
同じ時間、同じ場所に集まった
複数の人物の行動などを
同時進行的に一度に描く作品です。

平和で呑気な島でおこった
幼い二人の恋の逃避行
大慌ての大人たちという内容で
様々な登場人物のドタバタを描いています。
あらすじは『小さな恋のメロディ』みたいですが
『チャーリーとチョコレート工場』
『アリスインワーンダーランド』
『シザーハンズ』
といった
ティム・バートンのファンタジーっぽさもあります。
それはウェス・アンダーソン監督にも共通する
完璧主義なアートディレクションがそうさせてるのかも。

なんといっても映像が美しい!
こだわってる衣裳、絵本のようなロケーション
1シーン1シーンがまるで絵画のようです。
60年代っぽい色使いが気持ちよく
出演者の衣装も可愛い!
森や海もとても綺麗です。

そしてちょっと不思議なのがカメラワーク。
ほとんどのシーンで登場人物を真正面から撮っています。
子供が書いた絵日記のように『人物』をセンターに置き
カメラ目線で話しているのがちょっと面白いです。

こういう映画って好き嫌いはっきりしそうですが
ティム・バートンのファンタジーが好きなら
絶対にハマっちゃいそう。


幼い二人の笑っちゃうくらい真っ直ぐな恋愛


サム・シャカスキー(ジャレッド・ギルマン)
スージー・ビショップ(カーラ・ヘイワード)

この二人の可愛いこと!

サムは養子としてある家で暮らしていますが
その里親にも愛想をつかされるほどの面倒な少年。
協調性がなく、何を考えてるかわからない変な子です。
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スージーは自分を抑えるのが苦手で
すぐにカッとなり、友達もいません。
魔法の本とレコードが大好き。

そんな二人が出会った瞬間に電撃が走り
次の瞬間には文通という(笑)
そうなったらもう誰も二人を止められません。
駆け落ちはするわ勝手に結婚しちゃうわ。
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まあ結婚といっても子供ですから
法的にはまったく意味がないのですが。

大人たちは振り回されっぱなしですが
なんと言うか誰も悪者がおらず
楽しい追いかけっこをしてるように見えて
なんともあったかい気持ちになる作品です。

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豪華すぎる出演者たち 主役級の俳優が勢ぞろい!


一番驚かされたのが小さな島の住人たち!
ため息が出るほどの豪華キャスティング!

まずはこちら
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シャープ警部のブルース・ウィリス!
ブルース・ウィリスっていい映画を選んでますねー。
今回はポリスっていうハマり役です。

それから大好きなビル・マーレイ!
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スーザンのパパです。もう存在感が凄い(笑)
何もしてなくも面白いって凄い。

そんな二人が普通に喋ってる!
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間にいるのは『ファーゴ』『バーバー』でお馴染み
フランシス・マクドーマンド!
スーザンのママです。ご…豪華!


ちょっと頼りないボーイスカウト隊長が
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エドワート・ノートン!マジかよ!
こういうちょっとナヨっとした演技もいい!

福祉局員の女性がティルダ・スウィントン!
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凄く綺麗な女優さんで前から気になる人物でした。
『少年は残酷な弓を射る』では薄幸な母を演じていました。
これもいつかレビュー書きたいなー。

ボーイスカウトのお偉いさん
ピアース司令官を演じるのは
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ハーヴェイ・カイテル!
まだブチ込んでくるのかよ!
こんなの普通のおじさんでもいいのに(笑)
ハーヴェイ・カイテルだから笑えるってものありますが。


本作は『PG12』という年齢制限があります


レイティングシステムって知ってますか?
映画の内容によって年齢制限があったりするアレです。
現在日本では4つの区分があり
映画倫理委員会(映倫)が審査を行っています。

『G』
全ての年齢層が鑑賞可能な指定。
General Audience(すべての観客)という意味。

『PG12』
これはちょっと特殊な区分で、12歳未満の鑑賞には
成人保護者の助言や指導が適当とされる指定のこと。
Parental Guidance(親の指導・助言)の頭文字です。
性・暴力・残酷・麻薬など
小学生が真似をする可能性のある内容が対象です。
本作『ムーンライズ・キングダム』がこれにあたります。

『R15+』
15歳未満の入場・鑑賞を禁止する指定のこと。
いわゆるR指定というやつです。
RとはRestricted(観覧制限)の頭文字。
地上波放送の場合は深夜に放送したり
不適切なシーンがカットされたりします。

『R18+』
18歳未満の入場・鑑賞を禁止する指定のこと。
過激な性描写や、反社会的な内容の映画です。
地上波放送はほぼ不可能と言われています。


本作で問題になったシーンはどこだろう?と考えました。

幼い二人がキスを練習したり
スーザンが胸を触らせたりするシーン

たしかにちょっと問題ありかなとも思いましたが
いやらしさがなく微笑ましいレベルです。
幼いっていうのがタブー感を強めてるのかも。

動物を殺すシーン
これは直接殺す映像があるわけじゃなく
死んでる動物が映される感じ。作り物だけど。
動物愛護団体は怒っちゃうのかな。

少女がハサミで少年の脇腹を刺す
これも決定的瞬間は無し。
刺しちゃったという事実だけです。
刺された少年すげー元気だし。

この映画の魅力は美しい絵本のような世界と
二人の子供が巻き起こすドタバタと
あちこちに散りばめられたブラックユーモア。
このブラックな部分を下らないなぁと笑えるか
問題ありと捉えるかでしょう。

そもそもこの映画
12歳くらいの子が観てもピンとこない
大人の為の映画だと思います。

クスクス笑える幸せな作品です!







[ 2013/11/06 13:34 ] ヒューマン | TB(0) | CM(0)

『ランナウェイズ』 全てが型破りだったガールズバンド!ジョーン・ジェットの覚悟に涙!

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『ランナウェイズ』
The Runaways


監督 フローリア・シジスモンディ
原作 シェリー・カーリー
製作総指揮 ジョーン・ジェット

2010年
アメリカ
109分



本日はロックンロールムービーをご紹介!
1970年代後半に活動したガールズロックバンド
ザ・ランナウェイズの伝記映画です。
この映画、友人から借りたまま観たい観たいと思いつつ
後回しになっていました。。。今までごめん!

この映画の原作はランナウェイズのヴォーカルである
シェリー・カーリー本人が書いた自伝『ネオン・エンジェル』です。
製作総指揮には同バンドのギタリスト、ジョーン・ジェットの名が!
この二人が携わっているという事なので
映画のリアリティがグンとアップしています。
まあ多少は脚色してるでしょうが
概ねこんな感じだったのかなという。


日本を襲った悩殺爆弾!ランナウェイズの伝記映画


簡単なあらすじ

1975年ロスアンゼルス
15歳のシェリーはアル中の父と奔放な母に嫌気がさし
夜遊びに出かける毎日。いつかこの家を出たいと願っていた。


同じ頃、ジョーンはロックスターになることを夢見ていた。
当時ロックは男のものと相場が決まっていた時代。
男勝りの彼女は街でも異質な存在だった。
ある日ジョーンはヤリ手プロデューサーのキムと出会う。
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そこでドラマーのサンディを紹介され
二人でセッションを行うようになる。


やがてキムはインパクトのあるボーカルが必要だと感じ
不良のたまり場でシェリーを見つける。
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ひと目で気に入ったキムは彼女をバンドに誘い
ランナウェイズが結成されるのであった。


彼女は10代の女の子だけのバンドを結成する。
バンドはツアーを経て成長し、レコード会社と契約。
日本へのツアーも決定した。
来日した彼女たちを待ち受けていたのは
ビートルズ級の歓迎。
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遠い国ではすでに大スターになっていたのだ。


バンドは順調かと思われたのだが
メンバー同士で衝突を繰り返すようになる。
このバンドには未来はなかった。



ザ・ランナウェイズは、1970年代に活躍した
アメリカのガールズ・バンドです。
当時、ガールズバンドで成功しているアーティストは少なく
アメリカ本国ではさほど人気が出なかったのですが
日本では爆発的な人気がありました。
なんと平均年齢は16歳!
シェリーのほぼ下着姿という過激な衣装は
かなり衝撃的なものだったと思われます。
この映画の軸となるのは
1977年の来日公演。
日本ではビートルズ級の大騒ぎで
その様子がこの映画でも見る事ができます。

とにかく驚かされたのがクリステン・スチュワート!
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ジョーン・ジェットそのものじゃないですか!

オープニングの革ジャンを買うシーンが鳥肌モノ。。
ビニール袋に詰め込んだ小銭をレジに持っていく姿!
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彼女のロック人生がスタートする瞬間だと思うと泣けてくる!
そしてそれを羽織って街を駆け出す時に流れる
スージー・クワトロのワイルド・ワン!
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ヤバイ!始まって5分なのに、この興奮!

クリステン・スチュワートは『パニック・ルーム』
ハリウッド注目の子役となった後、
2008年にはステファニー・メイヤー原作のベストセラー小説
『トワイライト』に主演のベラ・スワン役で出演し
一気に世界中に名前を知られるようになりました。


シェリー・カーリーを演じるのはダコタ・ファニング。
ショーン・ペンの娘役で出演した映画
『アイ・アム・サム』での演技が高く評価され
各種新人賞を総なめにした女優さんです。
あの頃の可愛らしいイメージとは真逆の
セックス&ドラッグ&ロックンロールな女を熱演!
特に来日公演の様子はマイクアクションまでソックリ!
しかし15歳とはいえ、育ったもんですね。。。


彼女たちに目をつけた
ヤリ手プロデューサー、キム・フォーリー
マイケル・シャノンが演じています。
本作でのテンションの高さは凄まじく
『お前らは汚れでいけ!牙をむけ!』
『唸れ!喘げ!』
『奴らの背中に爪痕をつけてやれ!』
と大騒ぎ(笑)
見るからに変態なのですが
なかなか理にかなった事を言うので油断できません。
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ロックで有名になるには中途半端はイカン!という
極端な例を見せてくれます。


大げさな演出抜き ランナウェイズとは一体なんだったのか?


この映画の素晴らしさは
お涙頂戴の感動的なエピソードがなく
バンドの誕生から崩壊までを淡々と描いているところ。
これって本当に重要な事なんです。
このバンドに思い入れのある人は
時代背景は勿論のこと、あらかた事情を知っているわけで
下手に脚色してしまうと興ざめしてしまうもの。
余計なヒューマンドラマを省いて
ツアーをリアルに描いたのは大正解だったと思います。

下着同然の姿で舞台に立とうとするシェリーを
ジョーンが少しだけ寂しそうに見る顔が印象的。
ジョーンは女であるという事をアピールするより
ロックンロールスターとして世間に認められたかったのです。
だからあえて露出も少ない衣装を着ています。

ロックスターになりたくてバンドを始めたジョーンと
家に居たくなかっただけのシェリー
二人の気持ちがすれ違っていく姿は胸が苦しくなります。
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だからこそロックスターになったジョーンが感動的であり
バンドを去ったシェリーにも幸せへの兆しを感じる事ができます。


爆音で観たい!本作はロックの名曲がズラリ!


本作といったらライブシーンのカッコよさ!
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もうランナウェイズそのもので(本物より上手いけど)
ド迫力の演奏を見せてくれます!
『チチチチチ、チェリー・ボム!』でお馴染みの
『Cherry Bomb』はもちろんの事
『California Paradise』
『You Drive Me Wild』
などなど
ランナウェイズの名曲がたっぷり聴く事ができます!

それだけじゃなく
『The Wild One』  スージー・クアトロ
『It's a Man's Man's Man's World』  MC5
『Rebel Rebel』  デヴィッド・ボウイ
『Pretty Vacant』  セックス・ピストルズ
『I Wanna Be Your Dog』  ザ・ストゥージズ
『Don't Abuse Me』  ジョーン・ジェット


こういった70年代を盛り上げたロックの名曲が
めまぐるしく流れるので
もう観ているだけで楽しくなっちゃいます!
ロックファン達と爆音で観たら盛り上がりそう!
映画では34曲もの名曲が使われているのですが
サントラでは14曲に厳選したロックアルバムになっています。
映画でロックに目覚めた方は是非お買い求めを!
この当時のロックは最高!たまらん!


全体的に漂うドライな感じは
湿っぽくなりがちなエピソードをサラッと観せてくれます。
飾りっけのないこういう映画好きです。
ロックが好きな方は必見のロックムービー!
未体験の人には入門編にもってこいの作品です!









[ 2013/11/04 18:35 ] 音楽 | TB(0) | CM(0)

『キャンディマン』 隠れた名作ホラー!鏡の前でその名前を5回唱えてはいけない!

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『キャンディマン』
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監督 バーナード・ローズ
原作 製作総指揮 クライヴ・バーカー

1992年
アメリカ
99分



知る人ぞ知る隠れた名作ホラー
キャンディマンを紹介します。
クライヴ・バーカー原作の短編小説
『禁じられた場所』を映画化したものです。
バーカー自身が製作総指揮を担当しています。
さて、キャンディマンはどんな映画なのでしょうか?


鏡の前で『キャンディマン』と5回唱えると…?


簡単なあらすじ

都市伝説を研究していたへレンは
『キャンディマン』という殺人鬼の存在を知る。
鏡に向かってその名を5回唱えると
突然背後からキャンディマンが現れ
かぎの手で体を引き裂くという恐ろしい言い伝え。


ヘレンはその都市伝説の真相を究明すべく
事件現場を捜索する。
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しかし真相に近づきすぎたヘレンは
キャンディマンに出会ってしまい
彼によって連続殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。



まあ簡単に言うとエルム街の悪夢的なお話で
都市伝説の殺人鬼がヒロインを恐怖のどん底に叩き落とすという
どこにでもあるような都市伝説モノのホラーかと思いきや
他のB級ホラーとはちょっと雰囲気の違う
ギュギュっと締まった傑作!


キャンディマンって名前から
どんなポップな怪物が出てくるのか楽しみにしていたら
こんなのが出てきました。



ドーン!!!!!
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普通のおっさんかよ!


って事で都市伝説の男
キャンディマンを演じるのはトニー・トッド。
『ファイナル・デスティネーション』シリーズの常連で
SFやホラー系の作品にも数多くゲスト出演する俳優です。

キャンディマンをわかりやすく例えると地縛霊といいますか
この世に未練を残して死んだ魂のような存在です。
いくら成仏できなかったとは言え
カギでメッタ刺しする必要はないと思うのですが(笑)
今までのホラー映画にはないスタイリッシュな殺人鬼。
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感情ゼロの殺人マシーン的な怪物ではなく
どことなく高貴で品があります。
だってシュッとした体型でロングコートだもの。
しかも右手にはフック船長的なカギが刺さってます。
なんでキャンディマンって名前なのか?は語られません。
どうやら次回作で判明するようです。
・・・教えろよ!


ヒロインのヘレンヴァージニア・マドセン
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数々のB級映画のヒロインで活躍してた女優さんです。
美人だしスタイルもいいけど、ちょっとダサいという
ホラー映画にはもってこいのタイプ(笑)
2004年の『サイドウェイ』ではその演技が評価され
アカデミー助演女優賞にもノミネートされました。

本作での彼女は非常に魅力的で
その存在感ある演技は目を見張るものが有り
ヌードシーンでの体当たりの演技も女優根性を感じます。
彼女が主演である事で映画のグレードが大幅に上がっています。
ちなみに本作でサターン賞
※SF・ファンタジー・ホラーの名誉ある賞
主演女優賞を受賞しました。

ちなみに彼女の兄貴は
『レザボア・ドッグス』のMr.ブロンドでお馴染み
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マイケル・マドセン!
ええー!全然似てないじゃん!って思いません?


キャンディマンの壮絶な過去 ヘレンを襲う理由


彼は19世紀の才能ある画家でした。
彼が描く肖像画は評判を呼び
次々と仕事が舞い込み大忙しの日々。
ある日、領主が娘の肖像画を依頼してきたのですが
その娘と恋に落ち、妊娠させてしまいました。
激怒した領主は彼を惨殺!

その殺害方法が酷い!
古いノコギリで右手を切断した後
カラダに蜂蜜を塗り、に襲わせたのです。
そりゃ成仏できっこないですよね・・・
とは言え、なぜ関係ない人々を襲わなきゃならないのか?
彼は都市伝説の中で生きているのです。
人々に恐れられている間は存在する事ができますが
もしも忘れられてしまったら彼は消滅してしまうのです。

ヘレンは都市伝説の原因や真相を調べていました。
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友人が帰りたがってるのにヘレンは本気モード

キャンディマン伝説がだという論文を出されてしまったら
そりゃキャンディマンにとっては死活問題なわけです。
ヘレンを目の敵にしてるのはその為です。
また、過去の恋人に似ていたというのも一つの理由。
なんというか・・・悲しい奴なわけです。

一人また一人と殺人を重ねるキャンディマンと
目を覚ますと血の海で倒れているヘレン。
身に覚えのない容疑をかけられ逮捕されますが
潔白だと訴えても誰も耳をかしません。
彼女にしかキャンディマンは見えないのですから…。
直接的な描写はありませんが
ヘレンは憑依され殺人鬼になったのかもしれません。
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この状況で『私は潔白!』って言っても無理があります。
ここら辺の心理的に追い込まれていく姿は怖い!

愛する旦那ですら、彼女を疑っています。
つーかこの旦那
嫁が逮捕されてるってのに浮気してる最低野郎。
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やっとの思いで帰宅したら修羅場!

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そりゃ泣くわ。。。

キャンディマンは彼女から全てを奪い
俺の世界へ来いと誘います。
そうです。キャンディマンはさみしがり(笑)
彼の悲しい過去は、このあたりからジワジワ効いてきます。

この映画の魅力はひねりの効いたストーリー。
いわゆる殺人鬼VSヒロインという単純なものではなく
ヒロインがキャンディマンの世界に
徐々に引き込まれてしまうというちょっと変わった設定は
他のホラーではあまり例がなく、なかなか新鮮。
マニアにウケる理由がわかります。

衝撃的なクライマックスが待っています。
ビジュアル的にもかなりのインパクト。
そしてオチがなかなか面白い!
スプラッター映画とは一線を画する
独特な美学を感じる隠れた傑作です!








[ 2013/11/04 01:48 ] ホラー | TB(0) | CM(0)

『D坂の殺人事件』 R-15!江戸川乱歩の名作を実相寺昭雄が映画化!

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『D坂の殺人事件』
ディーざかのさつじんじけん


監督  実相寺昭雄

1998年
日本
90分


原作は1924年(大正13年)に発表された
江戸川乱歩の本格探偵小説です。
本作は『D坂の殺人事件』をベースに
『心理試験』『屋根裏の散歩者』のエピソードを合わせた
いいトコロ取りな脚本になっています。
これを実相寺昭雄が独特な表現方法で
見事に江戸川乱歩の世界を映像化しました。

ちなみにR-15公開作品です。
これがもう…どエライ世界。


エロス+サイコ 妖しくもつれる人間関係


簡単なあらすじ

昭和2年、東京市本郷区団子坂。
古本屋『粋古洞』の女将である時子は
伝説の責め絵師・大江春泥の『不知火』という
非常に価値の高い絵を持っており
その贋作(偽物)を蕗屋清一郎という画家に依頼した。

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蕗屋は、見事に「不知火」の雁作を二つ完成させる。
そして本物は燃やすというのが彼の流儀だった。

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そうとは知らず、時子は出来映えに満足し
続けて春泥の「明烏」を拵えるよう、蕗屋に依頼する。

しかしこの度の雁作作りには困難を強いられ
カフェの女給であるマユミをモデルに使うも
どうしても納得のいくものが描けない。
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苦肉の策で彼は自ら女郎の衣裳を身にまとい
鏡に映る自分を描く事で「明烏」を完成させた。

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時子は『明烏』の完成を喜んだ。
しかし蕗屋は驚愕の事実を知る。
実は大江春泥が描いたモデルは時子本人だったのだ。
蕗屋は思い悩み、そして思い切った行動に出る。



といったのが事件の流れなのですが
この映画の重要な要素は『淫美』です。

責め絵とは女が縛られ吊るされている姿を描く絵。
まあ早い話が『SM』の世界です。
一般的にはマイノリティな性癖なのですが
これを何の迷いもなく小説の題材とし
さも当たり前の自由恋愛のように語るのは
江戸川乱歩ならではの技法。
そしてこれが実相寺監督の手にかかると
ひとつのアート作品のように感じられ
乱歩の世界をもう一つ踏み込んだような作品に。
特に女性の淫美な姿は芸術的と言えます。
個人的にはそんな趣味はないのですが(笑)


嶋田久作が演じる全く新しい明智小五郎


これまで演じられた明智といえば
二枚目俳優が多く起用されていました。
記憶に新しいところでは
『RAMPO』本木雅弘
『乱歩地獄』浅野忠信
『K-20 怪人二十面相・伝』仲村トオル。

しかしここにきて嶋田久作です!
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完全なる新解釈である明智小五郎のスタイル!
聞いた時は『え?犯人じゃなくて?』って思いました(笑)
しかしいざ映画が始まると
彼の底が知れない不気味さは
この映画にピッタリ!
今までの明智像とはちょっと違い
正義感よりも好奇心が強くて
謎解きに対して無邪気な印象があります。
口数の少なさや、紳士的な立ち振る舞いは
内面が見えない恐ろしさがあり
かつての演者よりも圧倒的に知性が際立っています。
そして何よりもミステリアスな風貌(笑)
こんな斬新なキャスティングがあったのかぁと
目からウロコでした。
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すっげー頭良さそう。


本作で明智と対決するのは
蕗屋清一郎という贋作絵師です。
これを演じるのが真田広之。
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贋作とは偽物の事で、非常に精巧なコピー。
表向きは古美術の修復家として生活していますが
裏ではこの贋作をつくる事を生業にしています。
中性的な役どころなので
真田広之では少しゴツイかなぁと思いましたが
なかなか迫真の演技!
この役を楽しんで演じているのがわかります。

そしてなにより、淫靡な世界を彩る女たち!
実相寺監督が見出した女優たちが凄いんです。

まずは古本屋の主である時子を演じる
吉行由実の妖しい魅力!
責め絵のモデルであった過去を証明する写真の美しさは
真田広之演じる蕗屋清一郎が衝撃を受けるのも頷けます。
彼女はピンク映画で女優デビュー後、実相寺と出会い
現在もテレビドラマ・映画、また監督業など
幅広く活躍しています。

カフェの女給であり、責め絵モデルでもあるマユミは
大家 由祐子です。
キッズ・リターン、HANA-BI、菊次郎の夏
Dolls、座頭市
などの北野武の監督作品にも多々出演。
後に実相寺監督の『乱歩地獄 / 鏡地獄』にも出演している
いわゆる玄人受けする女優といったところでしょうか。

それから蕎麦屋の女房であるキセ子を演じる小川はるみ!
もうなんといいますか、いかにもな感じなんです(笑)
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本当にこんな女っているのかなってくらい変態!
現在はシャンソンの道に進まれてるみたいですね。
彼女も『鏡地獄』に出演しています。
よくもまあこういうイイ塩梅の女優を見つけるものだと
実相寺監督のセンスを感じます。

さらに極めつけが明智の助手である小林少年!
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なんと三輪ひとみという女優が演じています。
まさか女優が演じるなんて…。凄い事思いつくなぁ。
この後、初主演映画『発狂する唇』一躍有名になり
和製ホラークイーンといったカルト的な人気者になりました。
なんという大胆なキャスティング!


謎解きは二の次 江戸川乱歩ならではのアングラな世界


この映画の面白さは横溝正史『謎解き』とは違い
その事件の異常性や特異性を観せる作品になっています。

横溝作品はプロットやトリックにこだわります。
事件に関与する人間関係の複雑さを執拗に書きます。
そしてそれを解決する金田一耕助という飄々とした男が
事件の全貌を導き出す面白さがあります。

それに比べ、乱歩の作品はいわゆる本格派な作品よりも
幻想・怪奇小説の方が人気があります。
『人間椅子』『鏡地獄』といった作品がそれにあたります。
本作『D坂の殺人事件』は本格派の探偵ものではありますが
その事件の特異性は乱歩独特の世界。
事件はいたってシンプルですが
その動機、取り巻く環境は異常であり
エロ・グロの要素は惜しみなく披露されています。

この映画、『え!それで終わり?』ってくらい
笑っちゃうくらいシンプルに事件が解決します。
いくら明智小五郎が切れ者とはいえ
『あ、犯人わかった』というレベルなので
もう少し見せ場があってもいいのに!って思いますが
これはこれで斬新といえば斬新(笑)
そもそも難事件でもないんですよね。
至って普通の殺人事件。
しかしそれに至るプロセスが鳥肌モノです。


遊び心溢れる演出 紙の模型とノイズサウンド


この映画で一番のお気に入りが
紙で作られたD坂の模型。
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オープニングで制作中の映像が流れるのですが
これが凄くいいんです。
子供の頃こういうの好きだったなーと
懐かしい気持ちになりました。
物語の合間に映し出される模型が
一瞬ホッとさせます。

あとはBGMでしょうか。
本作の音楽を担当したのは
大御所・池辺晋一郎。
黒澤明監督作品『影武者』
今村昌平監督作品『うなぎ』
同じ実相寺の作品では『姑獲鳥の夏』など
数々の名作で音楽を担当しています。

本作での音楽がとんでもなく不気味。
もうノイズミュージックと言っていいほどで
耳をつんざくアバンギャルドなサウンドは
映画の特異性をさらに強調するものとなっています。
岸部一徳、六平直政、寺田農、東野英心
これ以上ないほど濃厚な出演者が揃う本作なので
これくらいインパクトのある音でも画が全然負けません。
嶋田久作が岸部一徳と対面で話すシーンなんて
怪物同士の会談のよう!かっこよすぎ!
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二人とも声が渋すぎる!



日本映画じゃないと作れない雰囲気がある本作。
こういう厄介な作品に出会えると嬉しくなります。
一般ウケする作品ではありませんが
乱歩に興味がある方
またはお涙頂戴な邦画に飽きた方には
タバスコのような刺激的な作品となっています。
子供は絶対に観ちゃダメ!







[ 2013/11/03 09:36 ] ミステリー | TB(0) | CM(2)