『ドニー・ダーコ』 ジョジョファンにおすすめ!難解なプロットは時空を超える!

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『ドニー・ダーコ』
Donnie Darko


監督 リチャード・ケリー
製作総指揮 ドリュー・バリモア

2001年
アメリカ
113分



いつの間にか行事として定着しつつあるハロウィン。
子供たちが仮装して家々をまわり
お菓子をもらって歩くというアレです。

その際、決まり文句がありますが
『お菓子をくれなきゃいたずらするぞ!』
コチラが正解であって
『お菓子あげるからイタズラさせて!』
コチラは変質者っぽくなるので注意が必要。

10月後半になると仮装している人を見かけます。
本人は楽しいかもしれませんが
視野に入るとちょっと恥ずかしいです。

…で、なんでハロウィンの事を書いているかと言いますと
『ハロウィン関係の映画のレビューを書けば?』という
アドバイス?お願い?がありまして
ホラーの『ハロウィン』じゃ芸がないなと思い
紹介してもらった作品がコチラ

『ドニー・ダーコ』です。

なんだ?ドニー・ダーコって?と思っていたら
すぐ主人公の名前だという事がわかりました。
しかしドニー・ダーコって凄い名前。
城戸真亜子(キド・マーコ)みたいな感じ?
なんの予備知識もなくDVDを再生します!


超難解なプロットで展開する 時空を超えたラブストーリー


感動。凄い映画でした。
凄く面白かったのですが
理解できなかった部分が多々あり
もう一度鑑賞する事に。
といのも この映画

超難解なんです。
難解…というか複雑。

映画は『終わり』から始まり
その『終わり』の先に
冒頭で見た『終わり』がある。


もう何のこっちゃわからないでしょうが
専門的な知識が必要な映画ではありません。
ただ、ちょっとやそっとでは理解できない
筋立てになっていまして
観る者を相当混乱させます。
当時はリバースムービーと呼ばれて
話題になった作品です。


世界の終わりまで28日と6時間42分12秒…


簡単なあらすじ

精神を患っている青年ドニー・ダーコ
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彼は夢遊病。
目が覚めるととんでもないところに倒れている。
医者から処方された薬は飲んだり飲まなかったり。
ある晩、心配する母を口汚く罵ってしまい
少し後悔しつつその夜は薬を飲んだ。

眠るドニーを呼ぶ声。
その声に導かれゴルフ場に辿り着く。
そこに銀色のウサギが立っていた
ウサギはドニーにこう告げる。

世界の終わりまで28日と6時間42分12秒…

ゴルフ場のグリーンで目覚めたドニー。
自宅に帰ると、自宅にジェット機のエンジンが落ちていた。
ちょうど自分の部屋のあたりに。
あそこに寝ていたら死んでいたのだ。

精神的にも不安定な日々が続くドニー
度々現れては『未来へ来い』とドニーを誘う銀色のウサギ
今過ごしている時間は現実ではないのか?
やがてドニーは『世界の終わり』の意味を理解する。



特典映像で見た監督のリチャード・ケリー
生粋の映画オタクっぽくて
『好きな監督は?』という質問に

『そうだな…
 テリー・ギリアム、ピーター・ウィアー
 ジョナサン・デミ、スピルバーグ
 キューブリック、ジェームズ・キャメロン
 デヴィッド・フィンチャー、ゴダール
 黒澤明、スパイク・ジョーンズ
 S・ソダーバーグ、ポール・アンダーソン
 タランティーノ、オリバー・ストーン
 マーティン・スコセッシ、コーエン兄弟…
 まだ続けるかい?』

多いよ!(笑)

本作はドリュー・バリモアが脚本を読み
その内容に惚れ込んで映画化にいたったとか。
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本人も教師役で出演してます。絶叫!

本作で一番面白かったのがパトリック・スウェイジ!
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『ゴースト/ニューヨークの幻』のアイツです!
本作では非常に胡散臭いセミナー講師。
超似合うな~!顔がイイ!

宗教チックな物言い。
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『愛』があれば全てうまくいくという
インチキくさいビデオに出演。

学校での講義でドニー・ダーコが挙手。
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『今日のギャラはいくら?』


素晴らしすぎるサントラ! 80's UK ニュー・ウェーヴ


道路に倒れていたドニーが目を覚まし
自転車に乗って家に帰るという
不思議なオープニング。
この映像にエコー&ザ・バニーメン
『キリング・ムーン』が!
Ocean Rain
初っ端からゾクゾクっとする選曲です。
歌詞も映画にピッタリ。

 運命
 それはあなたの意思に逆らう
 ずっと変わらずに待っている
 あなたが身を投げ出すのを


これってまさしくこれから巻き起こる
数奇な運命を暗示しているかのよう!


他にもジョイ・ディヴィジョン
『ラブ・ウィル・ティア・アス・アパート』
デュラン・デュラン『ノトーリアス』
80'sのUK ニュー・ウェーヴが気持ちいい!

そして、映画のクライマックスで流れる
『マッド・ワールド』という曲。
美しくも悲しげなメロディが素晴らしい。
この曲を聞くだけで泣けてきます。


同じ空気を感じる作品は『ジョジョの奇妙な冒険』


この作品の良さを語るとすると
どうしてもネタバレしてしまいますので
具体的な記載はさけて
映画の面白さだけを伝えたいと思います。
物足りない内容になってしまいますが(笑)
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難解で複雑なプロット
ラストが近づくにつれて加速する展開
運命と戦う主人公
これって何かに似てると思ったのですが

ジョジョの奇妙な冒険!
荒木飛呂彦が描く
個性的な表現方法や
独特の不気味さ構築される世界観は
唯一無二の存在感があり
幅広い層から熱狂的な支持を得ている漫画。
現在は第八部『ジョジョリオン』連載中。


私も大ファンで全巻持っているんですが
非常に難解なプロットで
作品に置いていかれる事が多い(笑)
全てを理解して読んでいるファンって
どれくらいいるんだろう?

例えば第4部。
吉良吉影という殺人鬼が
バイツァダストというスタンド能力で
自己都合のみで時間を戻す事ができます。
吉良以外の人間は、多少の違和感はあれど
時が戻ったという自覚はなく
もう一度同じ運命を繰り返します。

また6部のプッチ神父
無限に時間を加速させる能力を持っています。
加速した世界は一度終わりをむかえ
一巡した世界が再び始まります。


そしてジョジョの奇妙な冒険の主人公達は
運命と向き合い、時には戦い
突破口を切り開く強い心を持っています。

文章だけ見てもさっぱりわからないですよね(笑)
そうなんです。パッと見だと全然意味がわからない!
ですが、何度か繰り返し物語に触れる事で
完全ではないにしろ『物語の道筋』が見えてきます。
この映画もまさにこれ。

このように常識を超えた時間軸で
物語を逆再生するような展開は
本作の『リバースムービー』の手法に似ています。
さらに自分の運命を受け入れながらも
自らの手で失われた時間を取り戻し
『あるべき世界』を作り上げようとする姿は
観る者の胸を打ち、非常に感動的。

ジョジョもドニー・ダーコも
『よくわからない』と毛嫌いする人が多そうですが
確かに『よくわからない』んですよね(笑)
映画だけじゃなく漫画でも小説でも
完全に理解する事って必要じゃないと思います。

この映画は魅力的ですし
とても良くできた映画です。
登場人物も個性的で見ているだけで楽しい!
この先、一体どうなってしまうんだろう?と
どんどんのめり込んでいくのがわかりました。

そしてラストシーン。
二人の女性のちょっとした仕草で終わる
とても印象的な終わり方の映画です。
個人的には超絶に感動してしまったのですが(笑)

この物語にはどんな意味があるのか?
これは人それぞれの見解がありそうですし
私なりに『結論』はあるのですが
今回は書くのを控えようと思います。
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『ドニー・ダーコ』はジャンルの特定が難しい。
時間を超える展開はまさにSFですが
若者の心の葛藤を描いた青春映画であり
恋人と家族を守ろうとする男の物語であり
ちょっと笑える部分もありつつ
サスペンス・ミステリーの要素も。
そして最後には感動させてくれるという
まったくもって不思議な作品です。
傑作。

あ、どこらへんがハロウィン?って事ですが
ちゃんとハロウィンパーティーやってます(笑)









[ 2013/09/30 23:22 ] SF | TB(0) | CM(2)

『スカーフェイス』 アル・パチーノ&デ・パルマの大傑作!史上最強のギャング!その名はトニー・モンタナ!

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『スカーフェイス』
Scarface


監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 オリヴァー・ストーン

1983年
アメリカ
170分



アル・パチーノ主演のバイオレンス映画です。
ゴッドファーザー1~3を観たら
他の作品も見たくなっちゃったので買いました。
ゴッドファーザーのマイケルで魅せた
知的で冷血な男とは真逆の人物を
見事に演じている、ギャング映画の大傑作です。
監督ブライアン・デ・パルマ
脚本オリヴァー・ストーンってのも豪華!


どん底から這い上がり 頂点まで一直線の物語


簡単すぎるあらすじ

キューバから逃げるように移民してきた
貧乏チンピラのトニー・モンタナ(名前最高!)が
暗黒街でのし上がっていくギャング映画です。
全てを手に入れて、全てを失っていく…

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いやー凄いですよこれ。
滅茶苦茶やってます。
スプラッターなリンチ!
ラストの銃撃戦!衝撃の結末!

公開当時はカルトな扱いをうけ
相当評価が低かったらしいのですが
深夜のテレビで繰り返し放送されて
いつしか黒人の若者たちの間で話題になり
熱狂的に支持されるようになったそうです。

アロハがカッコイイんですよ!
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デ・パルマ独特の色彩!毒々しい!
キューバ訛りでスラング連発です。

強いハングリー精神で
どん底から這い上がり
暗黒街の王に成り上がるという
トニー・モンタナの生き様は
ギャングスタ・ラップのアーティストに絶大な支持を得て
今ではアル・パチーノの代表作って言う人も少なくないようです。

ちなみに全世界で大ヒットした
Rockstar Games社のゲーム
『Grand Theft Auto: Vice City』
『スカー・フェイス』の影響を受けたのだとか。
このゲームやりまくりました。。。
洋ゲーにありがちな
理不尽すぎる難易度のミッション!
チート使いまくりでした。


トニー・モンタナの運命を決定づける 大忙しの1日!


ゲス刑事が金を要求。
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言う事がいちいちセコい。

可愛い妹がヤクをキメ
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男にケツを触らせてるところを発見。
お兄さん激怒!

息つく暇もなく殺し屋に狙われる
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ズガガガガガガ!

猛ダッシュ!
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この時、殺し屋を雇ったのはボスだと確信。

ボスあっさり白状&命乞い。
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もちろん許しません。

ついでにゲス刑事も殺します。
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身内殺し&刑事殺しで一気に麻薬王に。

かねてから心を寄せていたボスの情婦
エルヴィラに求愛。
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荷物をまとめろ。ここを出る。

エルヴィラを待ちながら外を眺めると
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そこには飛行船が。
"The World is Yours"
(世界はあなたのもの)と書かれてます。

それをぼんやり眺めるトニーの上では
エルヴィラが大急ぎで準備をしてます。
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このシーンが印象的。

もう後戻りはできないってのが
痛いほど伝わります。


妖艶!ミシェル・ファイファー


ミシェル・ファイファーが最高なんです。
ため息がでるほどの美しさ。。。
生意気な猫のような存在感
真っ直ぐな目
そしてタバコ吸いまくり!
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ブロンディのデボラ・ハリーっぽいなと思ったら
劇中のディスコでデボラ・ハリーの曲が!

Debbie Harry - Rush Rush


これって偶然なんでしょうか?



極悪人トニー・モンタナという生き方


トニー・モンタナは
自分を『悪人』だと理解しています。
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※山盛りコカインを
 顔を突っ込んで吸引するトニー。
 アメ食い競争かよ!


そんなトニーにも人間らしい一面が。
例えば妹ジーナへの愛情
彼はジーナの幸せを心から願っています。
自分がいる世界に巻き込んではいけない。
妹を汚したくないという強い気持ち。
自分が下劣な人間だと理解しつつ
それでもジーナの面倒をみてやりたい。

また決して女、子供を殺しません。
一家皆殺しを企む冷血な殺し屋を
激怒するシーンがあり
極悪人でありながら
強いポリシーを持っている事がわかります。

そこそこ金が手に入るようになった頃
ボスに『目立ちすぎるな』と言われます。
暗黒街は『出る杭は打たれる』世界。
あまり派手に稼ぎすぎると
同業者の反感を買い
さらにゆすり・たかりをする連中も増える。

しかしトニーは我慢できません。
自分の欲に対して正直に突っ走ります。
他人に気を配る余裕なんてありません。
誰かの機嫌を伺うような真似はしません。
相手が誰だろうが思った事は言う。
そのかわり責任逃れなんかしない。
言い訳もしない。

これは簡単な生き方ではありません。
トニー・モンタナの前しか見ない生き方
どん底から頂点を目指し一直線の生き方は
人間として魅力的です。
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破滅へ一直線 名作を決定づける衝撃のラスト15分


トニー・モンタナは
欲しいものを手に入れていく度に
人を疑うようになり
友人ですら信用できなくなって
どんどん孤独になっていきます。
事態は悪くなるばかり。
しかしもう止まる事も戻る事もできない。
彼には破滅の道しか残っていません。
しかし最後の最後まで抗う事をやめない
名作を決定づける衝撃のラストシーンでは
『あのゴギブリ野郎ども!ブチ殺してやるぜ!』
なんて絶叫しながら撃ちまくるイカレっぷり!
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say hello to my little friend!

キックアスでこのシーンのパロディがあります。


トニー・モンタナは孤独。
『男の映画』ってのは悲しい作品が多いなぁ。










[ 2013/09/28 12:22 ] マフィア・ギャング | TB(0) | CM(4)

『ゾンビ』 キング・オブ・ホラー!恐怖映画の最高傑作!これを観ないで何を観る!

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ゾンビ
Dawn of the Dead
Zombie


監督  ジョージ・A・ロメロ

1978年
イタリア アメリカ
127分(米国劇場公開版)



以前紹介した、元祖ゾンビ映画
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から
10年の歳月を経て発表された
ロメロ監督のゾンビ映画
タイトルはもズバリ『ゾンビ』
無名だったロメロを一躍有名監督にした
超センセーショナルな作品です。
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完璧なゾンビ映画プロット『ゾンビが出現!原因不明!』


ロメロが作り上げたゾンビ映画のプロット

ゾンビが出現(原因不明)

命からがら建物に逃げ込む人々

身勝手な奴がいてチームワークを乱す

人間同士で仲間割れ

大勢のゾンビが一気に押し寄せ大ピンチ!



今作も見事にレールに乗っかっております。


簡単なあらすじ

全米各地で突如死体が蘇り
人間を次々と襲い
社会は大パニックに陥った。

テレビでは科学者達が討論しているが
事態は悪化するばかり。
一体何の意味があるのか。
テレビ局に勤めるフランとスティーブンは
現状に見切りを付け
ヘリで都市からの脱出を決意する。
二人の友人でSWAT隊員のロジャー
同じく隊員のピーターが合流。

ヘリはショッピング・モールに到着。
モール内はゾンビの巣窟と化していたが、
食料や物資は申し分なく揃っていたので
しばらくここに留まる事にする。

打開策を見出せぬまま
閉塞感に満ちた日常を続けていたある日
略奪グループがモールを襲撃。
安全だった状況は一変する。

増え続けるゾンビ
強欲な略奪グループ
そしてスティーブン達
三者入り混じっての乱戦が始まる!



とにかく冒頭のスピード感が凄い!
5分くらいで一気に心を鷲掴み!

SWAT隊員の先輩が若手に対し
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『無闇に発砲するなよ』とアドバイス。

次の瞬間
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暴漢が発砲!

!!!!!
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若手死亡!

驚くなかれ
この一連の流れが約5秒!



一人目のゾンビ登場
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そこから
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5分足らずで
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画面いっぱいゾンビ!
もう暴力的と言っていい怒涛の展開!

ちなみに今紹介したシーンは
完全に前置きみたいな話で
後半に全然関係ないんですが(笑)

さあヘリで出発だ!


嗚呼!憧れのショッピングモール生活!まさにユートピア


子供の頃、デパートに行くのが大好きでした。
衣食住の全てが揃う夢の百貨店!
レストラン
おもちゃ売り場
ゲームセンター
お菓子

ああ…帰りたくない…
毎日通いたい…
住みたい…


そんな風に思ってた人も多いのでは?
あれ?私だけ?

『無人のデパートでやりたい放題』という夢
それを魅せてくれるのが本作『ゾンビ』!
見よ!この満喫っぷり!
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食料に洋服、おもちゃにお菓子
手当たり次第もらっちゃう!
瓶詰めをその場で食べたり
ゴルフをやったり
洋服も着替え放題!
お菓子の量り売りも詰め放題!

初めてこの映画を観た時
震えるほどの羨ましさを感じました(笑)

あーあー毛皮なんか着ちゃって
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やりたい放題です

うわーお前もかー
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高そうな革のコート

・・・ってお前もか!
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なぜ毛皮をチョイスした!


しかしこの映画
楽しいだけじゃ終わりません。
平和だったショッピング・モール(ゾンビ無視)に
タチの悪い略奪グループが襲撃してきます。
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これがまた品が無い。
まさに欲の塊で
ゾンビ狩りをレジャー感覚で楽しむような輩。
俺らにゃ法も情けも通用しねぇ
時はまさに世紀末って感じ。

略奪者の暴れっぷりを見ながらこの一言
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お前の物でもねーけどな。

ここからがこの映画のクライマックス!
『欲と欲のぶつかり合い』が始まります!

もうここあたりになると
ゾンビが完全に脇役。
だって弱すぎるし…
人間どもに邪魔扱いされてて可哀想。。。
そのトボトボ歩く姿には哀愁を感じます。
ゾンビ忘れんなよ!
ゾンビとも戦ってやれよ!

ってゾンビ寄りで観てました(笑)
人間の醜さを浮き彫りにする手法は
皮肉屋ロメロの真骨頂。


数々のバージョンが存在するが『米国劇場公開版』一択


本作は非常に多くのバージョンが存在します。
ファン泣かせな映画でもあります(笑)
現在購入可能な3つのバージョンをご紹介。

『米国劇場公開版』
北米で劇場公開されたバージョン。
最も完成度が高く
見事に編集されていて
ロメロ本人もお気に入りのバージョンです。
なんだかんだでこれ一択だと思います。
本編127分。


『ディレクターズ・カット版』
本編は139分と少し長いのですが
映画祭開催に間に合わせる為、
細かい編集ができていないのだとか。
確かに間ノビしているシーンや
音楽にも派手さがない印象。
ロメロ的には「不満足な出来」だとか。
ユルい仕上がり。嫌いじゃないです。


『ダリオ・アルジェント監修版』
ダリオ・アルジェントは本作で音楽を監修。
彼自身もカルト的に有名な映画監督であり
芸術的ホラー映画『サスペリア』は傑作!
アルジェント版はアクションシーンを軸に編集。
音楽もゴブリンの曲が全面的に使われて
派手すぎる印象。完成度もやや低め。
もはや別の映画と言っていいかも。
マニア向けのバージョンです。


個人的には『米国劇場公開版』一択です。
この映画の基本となるバージョンなので
まずはここから観てくださいね!
他の2つは興味があれば…といった
マニア向けのバージョンと言えます。
なんとノーカット版は約3時間だとか!
きっとゾンビをダラダラ撮影してるんでしょう。
見たいような見たくないような。



ホラー映画を
『怖さ』『グロさ』で毛嫌いする人は多いでしょう。
しかしホラーでしか成し得ない
『ブラックユーモア』の究極のカタチが
本作『ゾンビ』にあります。
恐怖映画である事を忘れてしまいますよ。

荒木飛呂彦先生も推薦していた本作。
ホラー未体験で興味がある方は
ここからスタートしてみてください。

この映画を超えるゾンビ映画は存在しません。










[ 2013/09/26 12:19 ] ホラー | TB(0) | CM(0)

『惑星ソラリス』 睡魔との戦い?映画通が推薦する超難解SF

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『惑星ソラリス』
Солярис


監督 アンドレイ・タルコフスキー

1972年
ソビエト連邦
165分



絶対に眠くなってしまう授業がありました。
その先生が嫌いなわけではなく
その教科が嫌いなわけでもない。
先生の喋り方と、教室に漂う空気感が一体となり
『眠りのスイッチ』をポチっと押されたように
まぶたがどんどん重くなってしまう…

それと同じく何故か寝てしまう映画があります。
私の中では『イージーライダー』
この『惑星ソラリス』です(笑)

イージーライダーは何度か挑戦し
無事に眠らず鑑賞できました。
どうにかこの『惑星ソラリス』を鑑賞したい!

ポーランドの作家スタニスワフ・レムの
『ソラリスの陽のもとに』を
タルコフスキーが映画化。
ソ連製SFの代表作と言われています。
『100人の映画通が選んだ本当に面白い映画』
ランクインしている
映画ファンなら必見の作品です。


超難関!第一部の壁 迫り来る睡魔との戦い


久しぶりにDVDを再生します。

メインテーマ曲
『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリスト』が流れ
タイトルロール。タイトルロール。。。
タイトルロールが長い(笑)
早くも嫌な予感がします。


未知の惑星ソラリスを調査中の宇宙ステーション。
そこで異常事態が発生する。
原因究明のため科学者クリスが派遣される。
到着したステーション内は荒れ果て
先発していた科学者は狂気の淵に立たされていた。
そしてクリス自身も衝撃を受ける事となる。
数年前に自殺したはずの妻ハリーが現れたのだ。
だがそれは、人間の意識を反映して具現化させる
ソラリスの海の仕業だった……。

というお話です。(かなり省略しましたが)

さて、この映画は二部構成になっています。
一部は地上での現実、宇宙への旅立ち
ソラリスで起こっている異常事態を知るまで。
二部は、惑星ソラリスの謎と
死んだはずの妻を愛してしまうクリスの苦悩
そして衝撃の結末までを描いています。

…とは言ってもキチンと分かれているわけではなく
割といいところで急に二部が始まります。
この二部構成って意味あるのかな。。。

さて一部ですが…

この一部が大きな壁です。

一個一個のシーンの長さが凄い。
間を恐れない大胆な長回し!
全然話が進まない!

眠くなる原因

・登場人物の説明がない(こいつ誰?)
・会話が難解(科学者ですから)
・モジョモジョしたロシア語(気持ちいい)
・物語の後先が不明瞭(いつの間にか宇宙に到着)


意図的に退屈させようとしてる?

例えばこのシーン。何故か首都高。
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・・・

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・・・

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・・・

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長い!

後で調べてみたら
大阪万博会場を撮影しようと思ったら許可が下りず
仕方なしに首都高で撮影したものだとか。
ってことは…つまり
全く物語に関係ないシーン!

夜に観始めると寝ちゃう恐れがあったので
今回は早朝から鑑賞したのですが
見事に睡魔がやってきました!
寝てはチャプターを戻し
寝てはチャプターを戻し…
やばい!2時間経っても1部が終わらない!
どんどん不安になってきました…。
これがもし監督の意図した退屈だとしたら
見事に退屈してます。

ここでようやく物語に転機。
宇宙ステーションに到着したクリス。
そこで数年前に自殺したはずの妻ハリーに遭遇。
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凄い美人!


ここから二部。(急に)


ごめん!舐めてた!凄い映画だった!


なんとか2時間半ほどで一部を観終えまして
ここから二部です。

二部は最初から凄い展開!

死んだはずの妻に出くわし
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恐怖に耐えられず
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妻をロケットに乗せて飛ばすという奇行!
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しかも逃げ遅れてこの有様!
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ボロボロです。

あー怖かった・・・
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ゲェー!部屋にいた!


部屋に閉じ込めると
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ドアをぶち壊して出てきます。
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一人にしないで。。。って怖いよ!

この妻、人間ではありません。
人間の意識を反映して具現化させるという
ソラリスの海の仕業。
つまりクリスの意識が作り出した複製です。
表面的には妻にそっくりですが
記憶も思い出もない悲しきコピー。


幻想と現実の間で苦悩する人間を描く残酷な物語


この映画、写真が重要なアイテム。
クリスは宇宙ステーションに旅立つ前に
思い出の写真を燃やしたのですが
自殺した妻の写真は燃やせませんでした。
それは自分と喧嘩した直後に自殺した妻への
罪の意識でしょうか。

妻のコピーであるハリーが
その写真を偶然見つけ出しますが
ハリーは自分の写真である事に気がつきません。
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その後、鏡と写真を見比べて
ようやく『自分の写真』だと理解します。
このハリーは外見は本人そっくりですが
あくまで複製であって
記憶や内面は欠如しているのです。

やがて自分がコピーである事を知ったハリー。
ここから彼女の苦悩が始まります。
人間としてクリスに愛されたいのです。
泣ける。。。
彼女は人間らしくなっていくのですが
記憶もなく思い出もない自分に
存在理由を見失っていきます。

発作的に液体窒素を飲んで
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自殺を図りますが
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…不死身です。死ぬ事もできないのね…

クリスはハリーが複製だと知りながら
彼女を愛し始めていました。
しかしここでしか生きられない彼女を
愛し続けてもいいのかと苦悩します。
これは自分の意識が作り出したコピー。
本来科学者なので割り切って考えるべきなのですが
彼女への罪の意識がそれを許しません。
彼もまた精神的に追い詰められていきます。
観るのが辛くなるほど。
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ああ。。。大丈夫かお前。。。



この映画は
幻想と現実の間で苦悩し
精神的にギリギリまで追い詰められていく
もの凄く残酷な物語です。
複製の妻を愛する事が間違っていると知りながら
自分をコントロールできなくなっていく葛藤。
いったいどうなっちゃうんだろう?と
最後までハラハラしました。
そんなに難解じゃないかも?
何回も寝てごめん!


そしてなんと言っても驚愕のラストシーン!
なんと言うか…この喪失感は凄いです。
タルコフスキー監督。参りました。








[ 2013/09/24 19:36 ] SF | TB(0) | CM(8)

『悪魔の手毬唄』 横溝正史の世界を完璧に映像化した奇跡の映画!

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『悪魔の手毬唄』
あくまのてまりうた

監督  市川崑
原作  横溝正史

1977年
日本
144分


フジテレビ
『金田一耕助vs明智小五郎』はご覧になりました?

若かりし金田一耕助(山下智久)
VS
精悍な明智小五郎(伊藤英明)

さすがフジテレビ!
衝撃のキャスティング!
思わず『えええ!』って声が出ました。
山ピーの『あしたのジョー』もびっくりしましたが
結構面白かったんですよね(笑)
録画したので後でじっくり見ます!


こういった有名なキャラクターって
それぞれお気に入りの俳優が決まってますよね。

わたくしの場合、明智小五郎といったら…
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嶋田久作!
実相寺昭雄監督 『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』



そして金田一耕助と言ったら
やっぱりこの人
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石坂浩二です!



金田一耕助を演じた俳優

片岡千恵蔵、岡譲司、河津清三郎、池部良
高倉健、中尾彬、渥美清、西田敏行
古谷一行、三船敏郎、鹿賀丈史
豊川悦司、船山裕二、金内吉男
愛川欽也、小野寺昭、中井貴一
片岡鶴太郎、役所広司、上川隆也
稲垣吾郎、長瀬智也

他多数


こんなに大勢の俳優が金田一をやってます。
そして山ピーが加わったわけですね。


石坂浩二が演じる金田一の代表作は
市川崑監督の大傑作
『犬神家の一族』です!
この作品、私の中では
『ルパン三世 カリオストロの城』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じで
『何度観ても最高』という作品。

ですが

今回はあえて・・・

あえてこちらで行きたい!



『悪魔の手毬唄』!


金田一耕助の事件簿 第二弾!シリーズ最高傑作と言われる理由


今回紹介する『悪魔の手毬唄』
横溝正史原作・市川崑監督による
石坂浩ニ主演の金田一耕助シリーズの第2作。
前作『犬神家の一族』の豪華絢爛な作風とは異なり
山奥の村で繰り広げられる連続少女殺人事件という
若干地味な印象をうける物語ですが
本作が最高傑作というファンは大勢います。


簡単なあらすじ

山に囲まれ文明から隔離された鬼首村(オニコベムラ)。
村では仁礼家と由良家という二つの旧家が対立していた。
20年前、この村で殺人事件が起こった。
被害者の男性は顔が囲炉裏で焼かれていた。
しかし犯人は未だに不明。
20年が過ぎ、時効になった今も
執念の捜査を続ける磯川警部(若山富三郎)は
謎を解明するため、古き友人である
金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼する。
磯川は被害者の妻リカ(岸恵子)に想いを寄せていた…

調査をすすめ真相に迫る金田一だったが
次々と少女が殺される事件が発生する。
金田一はこの連続殺人が
村に伝わる手毬唄になぞらえている事に気づくのだが…


という横溝作品ではお馴染み見立て殺人ものです。
これがなんとまあ芸術的な事。。。


もはや芸術 文句のつけようがない脚本・映像・音楽・演技


『犬神家の一族』と言えば美しい風景と
晴れ渡る青空です。
その美しさとは裏腹に
残酷な連続殺人が巻き起こるという
エンターテイメント性が高い作品でした。

しかし本作『悪魔の手毬唄』は
前作とは打って変わって
どんよりとした曇り空が印象的。
モノトーンで重たい空は
物寂しい村をぼんやりと照らし
水墨画のような淡い映像を作り出しています。
閉鎖的な村人を感じさせる見事な映像です。

リカ(岸恵子)のセリフ
 仁礼の旦那さん…
 言わんでつかぁさい…
 思い出すのも耐えられんのですけん…
 あの沼の事は…

ここで間髪を容れずにタイトル!ドン!
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同時に哀愁の漂うメインテーマが流れます。
ここで一気にもっていかれるんです(笑)
ヘンリー・マンシーニの『ひまわり』くらい名曲!


この美しい音楽を担当したのは
アルファレコード設立者、村井邦彦。
荒井由実をデビューさせたり
YMOを見出した人物として有名です。

壮大で美しいオーケストラサウンド
コミカルでモダンなビート
切ないアコースティックギターの音色
全てのシーンを見事に盛り上げるBGMは
岡山の村が舞台なのにも関わらず
まるでフランス映画のような雰囲気を感じます。
※葡萄酒工場があったりしますし。

俳優陣の素晴らしさはもちろん
その重厚で説得力のある演技
映像から伝わる村のジメっとした質感
切なくも美しい音楽とショッキングな効果音
もはや芸術的と言っていい『悪魔の手毬唄』は
横溝正史の世界を完璧に映像化した
奇跡の映画なのです。
市川崑って凄い。本当に凄い。


閉鎖的な村社会で巻き起こる 悲しすぎる連続殺人


この映画の何がいいって
物語がいいんです。
時代や愛に翻弄された者
男の欲望のはけ口にされた者
信じてた者に裏切られた者
一途に愛し続ける者
運命のいたずら
様々な人間ドラマが入り乱れており
深みのある作品に仕上がっています。
推理ミステリーであるにも関わらず
何度でも観たくなる映画です。

そしてもう一つ。
この村でおきた事件の影には
恩田という男の存在がチラつきます。
恩田は詐欺師であるという事以外は謎。
この謎の男というのが最後まで出てきません。
後に古ぼけた小さな写真は出てきますが
恩田を演じている俳優がいないんです。
なにこの意外すぎる脚本!


完璧なキャスティング 強烈な個性のぶつかり合い


この映画の主役と言っていい
磯川警部の若山富三郎!
ベテラン刑事の凄みのある顔
金田一とのトボけたやり取り
想いを寄せる女性の前で見せる優しい表情。
懐の深い演技は見事。圧巻です。
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この映画の根底にあるのは
真っ直ぐで不器用なラブストーリー。
顔見てるだけで泣けてきます(笑)

岸恵子の悲しみに壊れてしまいそうな存在感
仁科亜季子の凛とした美しさ
シリーズ常連の加藤武、大滝秀治のコミカルな演技
草笛光子、三木のり平、常田富士男、岡本信人
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大変!誰ひとり替えがきかない!

そしてやっぱり金田一を演じる石坂浩二!
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この飄々とした雰囲気、上品な言葉遣い
トリックに気がついた瞬間の表情
そして基本的には人見知りで変わり者。

そもそも金田一耕助っていうキャラクターは
決して完璧ではない人間臭い人物なんです。
犯罪を憎む気持ちはあっても
刑事のように熱くなったりしません。
警察のように犯人を探すだけではなく
事件に関わる人間の深い部分を覗き込み
なぜ事件が起こったのか?
冷静に調査します。
市川崑の『金田一耕助の事件簿』は
どの作品もキャスティングが見事で
安心して見る事ができます。
やっぱ石坂浩二なんだよなー。どうしても。
どこが優れてるって説明できないんですが(笑)


観ていない方は是非是非!
最高のラストシーンが待っています。
日本が誇る推理ミステリー映画の最高峰です。









[ 2013/09/23 20:20 ] ミステリー | TB(0) | CM(2)

『グレムリン』 キュートなギズモに悶絶!可愛らしさと絶妙なるグロさの大ヒット作

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『グレムリン』
Gremlins

監督 ジョー・ダンテ

1984年
アメリカ
106分


今回はグレムリンを紹介します。
可愛らしいギズモしか記憶にありませんでしたが
あらためてじっくり観ると
なかなか壮絶な映画です。


SFホラー?ブラックコメディ?世界が熱狂した不思議ムービー


ジョー・ダンテは『ピラニア』『ハウリング』など
古典的なホラーやSFの監督です。
本作もジャンルで言ったらコメディ色の強いSF。
ホラーの要素たっぷりです。

製作総指揮にはなんと
スピルバーグフランク・マーシャル!
これってバック・トゥ・ザ・フューチャーや
インディ・ジョーンズのコンビ!
脚本はグーニーズやホーム・アローンの
クリス・コロンバス!
名前だけでえらいこっちゃな超豪華製作陣です。
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オープニングのこのシーン。
見覚えのある街だなーと思ったら
バック・トゥ・ザ・フューチャーと同じセット!
同じ時期に撮影してたんですね。


この物語は変わり者のおっさんが
チャイナタウンにある怪しげな店で
息子のクリスマスプレゼントとして
変な生き物『モグワイ』を買った事で
街が大騒動に巻き込まれる
というお話です。
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つまり元凶はコイツです。
アホみたいな発明品を作っては
セールスに歩いている変人です。


その息子がビリー。この映画の主人公。
イラスト好きのさえない青年。銀行員です。
本作冒頭から職場に犬を連れて行くという
ゆとりっぷりを披露します。
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案の定バレて、クビ寸前でしたが
クリスマスに首を切るのは寝覚めが悪いという
上司の計らいにより一命を取り留めます。

あれ?左側のこいつって
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ビバリーヒルズ・コップのビリー!
ビリーが二人ってややこしいですが
なんか久しぶりに見たのでちょっと嬉しい。

ビリーの友達ピートはコリー・フェルドマン
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グーニーズ、スタンド・バイ・ミーでもお馴染み。
うーん可愛いなー。
っつーか小学生と遊んでる銀行員ってどうなの。

ちょっと話がそれましたが
モグワイを飼うにあたって3つのルールがあります。

・光に当ててはいけない。

・水をかけたり、濡らしてはいけない。

・真夜中(12時過ぎ)に食べ物を与えてはいけない。


このルールをやぶるととんでもない事がおこるというもの。
モグワイをもらったビリーは大喜び。
ギズモと名づけて可愛がっていましたが
偶然とは言え、これらのルールを
見事にやぶっていきます。

結果、モグワイは細胞分裂を繰り返して
手に負えぬほどの大群となり
やがて凶暴なグレムリンと化し
平和な街を襲い、街は大騒動!

これが大まかな筋書きですが
物語がどうとかいうタイプの映画ではありません。



グレムリンが人々を襲う!街は大混乱!


真夜中に食べ物を与えると
見た目も性格も凶暴な『グレムリン』に豹変!
このグレムリンってのが悪いこと悪いこと。
例えばこちら


猫と暮らす足の不自由な婆さん
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電動で階段を昇降するイスです。


グレムリンが電気系統にいたずら
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これは嫌な予感。


電動昇降イスに異常発生!
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猛スピードで上昇!


!!!!!
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婆さん・イン・ザ・スカイ!


動かない婆さん
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生死は不明。

グレムリンの悪戯はどんどんエスカレート。
街は壊滅的な被害。
『これ以上グレムリンの好きにはさせない!』
ビリーは映画館に集まったグレムリンを一掃すべく
建物ごと爆破するというテロ行為に出ます。

っつーか爆破って。
ストーリーもへったくれもない展開は
まさにB級ホラー映画そのもの。
日本人の感覚では到底ついていけない
道徳無視のブラックなノリが多々ありますが
そこはギズモの可愛らしさで見事に中和。
ここらへんが愛される理由かもしれません。
本当かよ。


驚愕!日本語吹替版ではギズモが喋りまくり!


この映画の最大の魅力はギズモの可愛らしさ!
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この映画は当時日本でも大ヒットしまして
ちょっとしたグレムリンブームでした。
感情表現豊かな表情や仕草は
ある意味暴力的とも言える愛くるしさ。
でも久しぶりに見るとちょっと不気味です。

子供向けの映画という事もあってか
日本語吹替版ではギズモに喋らせるという
大胆なアレンジを加えてます。
『マブシー!』
『タベタイ・・・』くらいならまだ我慢できますが
『タ・・・タイヘン!』とか『アブナーイ!』とか
『ボク ダイジョーブ!コノトーリ!』
喋りすぎだろ!

しかし本来ギズモは喋らない設定。
この設定を無視した代償と言える
大きな落とし穴が待っていました。
それは感動的なラストシーンです。

なんやかんやありまして
ギズモとは一緒に暮らせなくなったバカボン一家。
謎の中国人がギズモを箱に入れて連れて帰ります。
ギズモが何かを伝えたそうに箱の中から意思表示。
老人は『君に何か言いたいそうだ』とビリーに伝えます。

ビリーは驚いたように
『モグワイの言葉がわかるんですか??』って・・・

さんざん喋ってたじゃん!

別れ際に初めて喋ったギズモ。
その言葉は『サヨナラ ビリー』

それはそれは感動的であり
涙をさそうシーンなのですが
最初っから喋りまくりの吹替版だと
『今さら何を言ってやがる』です。

感動的なストーリーを犠牲にしてまで
ギズモに喋らせた吹替版…
まあなんというか、ある意味凄いことです。


母は強し。 本作の最大の見せ場は、母の戦闘シーン


何の役にもたたない発明を繰り返し
それを持ち前の明るさで売り歩くという
謎の商売をしている父

そんな父を献身的に支える
朗らかで優しい母

優しいだけが取り柄の
マンガとイラストが趣味の冴えない青年

これってまさにバカボン一家。

しかし一つだけ違うところがあります。
それは母が最強の女である事。
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無駄のない攻め、敵に立ち向かう勇気
安全を確保するには皆殺ししかないという
極端な発想ではあるが的確な判断!
特殊部隊の訓練を受けたかのような
圧倒的な戦闘スキルは、本作最大の見所です。


一匹目!
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『台所は私の縄張りよ!』とでも言いたげな形相で
ミキサーでミンチにします。残酷!

二匹目!
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『接近戦ではナイフが有利』という
実戦経験の豊富さを感じさせる無駄のない動きで
相手を壁に追い詰め、包丁でメッタ刺し!


三匹目!
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テロ対策として常備している催涙スプレー
…じゃなくてスプレー式ホイップクリームで
容赦なく相手の目を潰し
そのまま電子レンジに閉じ込めて加熱!
グレムリン爆死!


四匹目!
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四戦目ということもあり、
さすがに疲労の色を隠せない様子。
不意をつかれマウントポジションを許してしまい
キャメルクラッチを喰らう母。
しかしタイミング良く息子が帰宅
息子との連携で見事仕留める!
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暖炉で焼死!

数分で4匹のグレムリンを殺すというアサシンっぷり。
本来悪役であるグレムリンが気の毒に思えるほど。


グレムリン3の噂


空前の大ヒットを記録した本作。
『グレムリン2 新・種・誕・生』も大ヒット!
地上波でもガンガンに放送してました。
ギズモのぬいぐるみを持ってる人も多いのでは?
あれから24年もの年月が。。。
幾度となく最新作の制作が噂されていますが
今のところまだ正式な発表はされていません。
はたして新作の『グレムリン』は公開されるのか?

パペットだったからこそ、あの可愛らしさや
程よいグロさが出たとも言える本作。
CGで表現豊かに描かれるギズモや
3Dでド派手に暴れまわるグレムリンでは
持ち味である温かみが無くなってしまうのでは?という意見も。
ダンテ監督は続編については慎重なようです。
人形を使ってどこまでできるか?を考えながらの物語だったので
今の技術は自由すぎて物語を作る事が難しいと言っています。
『新作に僕は呼ばれないんじゃないかな?』とも。

ジョー・ダンテの根底にあるホラー映画魂が
グロさと可愛らしさの絶妙なる融合を実現し
グレムリンを大ヒットに導いたわけですから
なんとか新作もジョー・ダンテでお願いします!









[ 2013/09/23 09:24 ] SF | TB(0) | CM(4)

『バグダッド・カフェ』 映画通が選んだ本当に面白い映画にランクイン!

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『バグダッド・カフェ』
Out of Rosenheim

監督 パーシー・アドロン
1987年
西ドイツ
95分



TSUTAYAで
『100人の映画通が選んだ本当に面白い映画』
という企画をやっていまして
そこに『バグダッド・カフェ』が入っていました。
ミニシアターブームを作り上げた本作は
幾度となくリバイバル上映されて
『完全版(少し長い)』
『ニュー・ディレクターズ・カット版(映像が綺麗)』

進化を続け、未だに新しいファンを増やしている伝説の作品です。

何がそんなに魅力的なのか?
世界中の映画ファンを虜にした
『バグダッド・カフェ』を紹介します。


変なオバさんややってきて、みんながちょっとだけ幸せになる物語


ドイツのローゼンハイムからの旅行者ジャスミンは
夫と喧嘩して車を降りてしまいます。
ジャスミンはトランク一つを引きずって
砂漠の中にあるさびれたモーテル(カフェとガソリンスタンドもある)
『バグダッド・カフェ』に辿りつきました。

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ところがこのカフェ、全然やる気なし。
昔は繁盛してたかもしれませんが
現在では通り過ぎる車もない有様。
コーヒーメーカーが壊れているのでコーヒーを作れず
免許がないからビールも出せない。
掃除もされておらず、女主人ブレンダが一日中ガミガミと不機嫌。
お店に集まる連中と言ったら変わり者ばかり。
そんな『バグダッド・カフェ』が
ドイツから来た変なオバさんの宿泊をきっかけに
ギスギスした心がだんだんとほぐれて
店の雰囲気が変わって行く
...というお話。


本作、抜群に面白いと思うのですが
この映画を否定的な人も多いです。
その原因は、この映画の特徴
『物語に中身がない』というのが問題かと。

ゆったりとした時間の流れの中で起承転結があるか?と言われたら
何もありません。THIS IS 退屈です。
この『何もない感じを愛せるか?』が鍵になります。
空気感や雰囲気を楽しむ映画なので
ヒューマンドラマを期待していると
あっと言う間に映画が終わってしまいます(笑)

『退屈な映画』=『つまらない映画』ではなく
退屈な映画だからこそ伝わるという事があります。
考えたり、深読みしたりと、文学に近い表現方法をとる映画は存在します。
そういう意味では好きな人は最高の評価をして
理解できなかった人は最低の評価をするタイプの映画と言えます。

この映画って何かに似てるなぁと思っていたのですが
ハーヴェイ・カイテル主演の『スモーク』でした。
ブルックリンにあるタバコ屋が舞台で
何が始まるわけでもなく(まあ多少はありますが)
タバコを買いに集まってくるある連中(曲者揃い)との交流や
ちょっぴり切ない話がのんびりと描かれた作品です。

『バクダッド・カフェ』『スモーク』
お洒落な人が『俺この映画好きなんだよね~』という感じに
『俺わかってますよ~』的に使やすい映画の代名詞となっていますが
この場合、映画には一切責任はなく、そいつが気持ち悪いだけです(笑)
まだ観ていない方は騙されたと思ってご鑑賞ください!
あなたもバグダッド・カフェに行ってみたくなるはず。


バグダッド・カフェに集う魅力的な変人たち


☆ジャスミン☆
旦那と喧嘩別れしてバグダッド・カフェに辿りついた
超太ったドイツ人のオバさん。
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基本的に素性は不明です。
何故、夫と喧嘩をしていたのか?
何故、ババリア地方の民族衣装を持ってるのか?
何故、間違えて持ってきたスーツケースに手品の道具が入っていたのか?
『子供はいない』とさみしそうに言うシーンも印象的。
そこに赤ちゃんを触りたがる理由があるんだろうけど
劇中では全然明らかになりません。
ある意味平和だった『バグダッド・カフェ』に突然現れた異邦人。
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ミステリアスというか不気味(笑)
ブレンダが怖がるのも無理はないです。

この映画で驚かされるのが
ジャスミンがどんどん女性として魅力的になっていく事。
最初は太ったオバさんくらいにしか思ってなかったのに
どんどん可愛らしくなっていくんです。
これはもう魔法としかいいようがありません。


☆ブレンダ☆
『バグダッド・カフェ』の女主人(ボス)
気に入らない者には100%の力でガミガミ怒鳴りつける鬼嫁。
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ただでさえ旦那が出て行った事で腹が立っているのに
ジャスミンが勝手にカフェやオフィスを掃除してしまったり
子供たちがジャスミンに懐いてしまったりと
神経を逆なでする事ばかりするジャスミンを怒鳴りつけますが
自分が他人の気持ちを顧みない生き方をしていたせいだと気づき
それを気づかせてくれたジャスミンを信頼するようになります。


☆コックス☆
ハリウッドからやってきた爺さん。
トレーラーハウスに住み、毎日カフェに顔を出します。
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バンダナがイカス

絵が趣味。
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独特のタッチ。

昔は映画の背景を描いたりしていたようで絵が得意です。
ジャスミンの魅力にとりつかれ
絵のモデルになってくれと頼みます。
ラストシーンでの頑張りが最高です。


☆サル☆
ブレンダの旦那。いかにも優しそうな男で
お人好しな性格の為かどうも商売が下手そう。
ブレンダにガミガミ叱られて家出中。
でもブレンダが気になって、いつも遠くから双眼鏡で見てます。
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ブレンダ・・・

オー・・・ブレンダ・・・
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帰れよ!


☆デビー☆
刺青の彫師。バグダッド・カフェに長期滞在している客。
一匹狼的な雰囲気があり、ジャスミンを受け入れようとしません。
揉め事が好きなのか、何かある度に必ず見切れている(笑)

今読んでいるのは
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『ベニスに死す』!

揉め事が好き
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物陰からチラ見。

通り過ぎついでに
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チラ見。

隣の部屋で
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盗み聞き中。

お化粧中と見せかけて
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鏡越しのチラ見。

急に出て行くと言い出すデビー。
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バグダッドカフェの人々に家族のような絆が芽生えた時
『仲が良すぎるわ』と言い残し出て行ってしまいます。
個人的には大好きなキャラクターで、
甘ったるい展開に対してのスパイスのような存在です。
みんなで仲良くなってハッピーエンドにしないところが最高ですね。


☆サロモ☆
ピアノばっかり弾いてる青年。ブレンダの息子。
子供っぽいがなんと子持ち!

怒られるサロモ。
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すげーへこむ。

バッハを弾くサロモ。
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聴くジャスミン。 

カフェにしかピアノがないので
客がいるところでは弾くなとブレンダに言われている。
彼が弾くピアノを気持ちよさそうに聴くジャスミンが印象的。
バッハの故郷はドイツ。故郷を思い出していたのかもしれません。


☆フィリス☆
モテモテの女の子。ブレンダの娘。
メンズに胴上げされるほどモテモテ。
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過激な男友達とコンサートに行ったり
男達に家まで送らせたりと
遊んでばかりの印象がありますが
客室の掃除などお手伝いもしている様子。
ジャスミンと一番最初に友達になれた子でもあります。


☆カヘンガ☆
バグダッド・カフェの従業員
インディアン系の心優しい男です。
やる気がなさそうに働いてはいるが
バグダッド・カフェに集うみんなを気遣っています。
ジャスミンが帰ってきた時に
ポットに濃い目のコーヒーを作るシーンが好き。
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※ジャスミン曰く、アメリカのコーヒーは『茶色いお湯』


☆エリック☆
テントを背負ってやってきた旅人。
タンクトップに短パンでひたすらブーメランを練習する青年。
ストイックな印象もあるが、絶対に変人!
後半ではショーの照明を楽しそうに手伝ってました(笑)

誰がなんと言おうと
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ブーメランが青春

ショータイムでは
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楽しそうにお手伝い!

本作はブーメランを映し出すシーンがとても多く
『元の場所に戻ってくる』という意味を含む描写なのかもしれません。


☆バグダッドカフェ ファン第一号☆
どんなショボイ手品でも全力で喜ぶ!
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古くからの常連ぽい雰囲気があります。
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やがてこの店の手品が評判になり、客が増えていきますが
たぶんコイツが宣伝したんでしょう。
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クライマックスでは何故か歌いだす!ウケる!

この他にも奇妙で不思議な連中が登場します。
どうにも気になるキャラばかりです。


コーリング・ユーの美しい歌声


『バグダッド・カフェ』の魅力は
映像の美しさや、心温まる物語だけではありません。
なんと言っても音楽!
ジュベッタ・スティールが歌う主題歌『コーリング・ユー』が素晴らしい!
この映画を観終わると、頭で何度もリピート再生されてしまいます。
砂漠の中にポツンと存在する『バグダッド・カフェ』が目に浮かびます。
オリジナルサウンドトラックは超おすすめ!
コーリング・ユー~バグダッド・カフェ オリジナル・サウンドトラック
くたびれた時に聴きたくなるので、iPodに入れています。


細かい演出や、心憎いユーモア
なんとも美しい色合いの映像と、それを盛り上げる音楽。
ギスギスした心が少しずつ癒されていくような物語。
アイスクリームがゆっくり溶けていくような時間。
この映画にしかない魔法を感じました。
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何かが抜きん出て絶賛できる映画ではありませんが
自分の中に足りていない何かを満たしてくれるような
不思議な作品だと思います。

ちょっと前向きになるだけで
イライラばかりだった毎日が違って見えるという
『小さな幸せ』を教えてくれる『バグダッド・カフェ』
なんかイイ映画観たなって思えるはず。
是非。











[ 2013/09/20 15:22 ] ヒューマン | TB(0) | CM(4)

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』 正真正銘 元祖ゾンビ映画!天才ロメロの大傑作

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『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』
Night of the Living Dead

監督 ジョージ・A・ロメロ

1968年
アメリカ
96分


『もしゾンビが襲ってきたらどうしよう?』
一度は想像した事があるのでは?

走って逃げる
建物に隠れる
頭が弱点だからとりあえず戦ってみる

色々な選択肢がありますが
同じ状況でライオントラに襲われたら
生きのびることは難しいですよね?

ところがゾンビだったら…

ゾンビ…
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何とかなりそうじゃありませんか?

ゾンビは足が遅く、知能も無いので
割と簡単に逃げる事ができます。
腕っ節に自信がある男性なら
バットの一本もあれば問題なく勝てるでしょう。
例え襲われても、どうにかなりそうな『希望』
この希望というやつがゾンビの魅力を支えているといっていいでしょう。

ところが10人、20人とゾンビが増えて
100人のゾンビが襲ってきたとしたら?
建物の周りをゾンビが取り囲んだとしたら?

生き残った者たちは、なんとか助かろうと知恵を働かせ
複数であれば協力し合い、打開策を模索する。
これがゾンビ映画の面白さであり、定番のプロットです。

この基本を作ったのがジョージ・A・ロメロ監督であり
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』です!


これぞ元祖ゾンビ映画!ゾンビはここから始まった


『死者が蘇り人を襲う』というモンスターは
1932年の『ホワイト・ゾンビ』(ベラ・ルゴシ出演!)
1966年『吸血ゾンビ』など過去にも存在しましたが
悪に仕えるザコキャラのような扱いでした。
また、蘇った理由も『呪い』だとか『ブードゥー教』など
オカルト的な要素が強い『蘇った死者』です。

ロメロはこれらの設定を完全に無視!
死者が蘇った理由は不明です。
ニュースでは『放射能の影響か?』と言っていますが
具体的な原因は謎のまま。
さっきまで一緒にいた奴が突然ゾンビになって
自分を食べる為に襲ってくる
という
全く新しいタイプの恐怖映画を作り上げました。
ゾンビには生前の記憶が無いわけですから
愛する恋人だろうが兄弟だろうが関係なく食べる!
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ちなみにメガネの彼は、後に姉であるバーバラを食べようとします。

理由もわからず襲われる恐怖!よく思いついたなぁ本当に。
偉大なる発明です。

元祖ゾンビ映画と呼ばれる本作で完成した
『リビング・デッド』すなわち『ゾンビ』の設定はこちら

・何らかのきっかけ(放射能とか)で墓から蘇った死体である。

・人を襲い、さらに襲った人間を食べる。

・ゾンビに咬まれてしまった者もゾンビになる。

・知能なし。生前の記憶なし。

・頭が弱点なので脳を破壊すれば倒せる。

・非常に凶暴だが動きはノロノロ。走れない。

※と言っても本作ではちょっと小走りしちゃうゾンビが(笑)
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どうです?みんなが知っているゾンビそのものですよね?
これらの要素を定着させたのが
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』なのです!


完璧な様式美 『ロメロ節』


時代劇の代表的なプロットは
偉い人が身分を偽って事件に首を突っ込み
最終的には自分の正体を明かし、力尽くで悪を撃退。

※『暴れん坊将軍』『水戸黄門』『遠山の金さん』など
このようなパターンが多いですよね。

制作陣はマンネリを打破する為に
『実は金さん銃の名手』『黄門様は妖術の使い手』などといった
無理なアレンジを加えることは絶対にありません。
世の中の時代劇ファンは誰ひとりそんな変化を望んでいません。
これ以上でもこれ以下でもない完璧な様式美です。

ゾンビもの第一作目である本作で
すでに完璧な『ロメロ節』というプロットが完成しています。
ゾンビ映画の核となる基本的プロットはこちら

ゾンビが出現(原因不明)

命からがら建物に逃げ込む人々

身勝手な奴がいてチームワークを乱す
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人間同士で仲間割れ

大勢のゾンビが一気に押し寄せ大ピンチ!




ロメロは調子に乗ってひたすらゾンビ映画を作り続けますが
どの作品もこれ以上でもこれ以下でもない作品です。
まあ多少新しい要素が入ったりしますが
基本的には全部一緒。
職人芸とも言える圧倒的マンネリリズムはもはや芸術。
完璧な様式美であると言って過言ではありません。

おじいちゃんやおばあちゃんが
毎週同じような内容の時代劇を観続けるように
ロメロファンは新作が出る度に劇場へ足を運びます。
そして『またこのパターンか』と微笑むのです。


そうそうゾンビ映画と言えば『頼りになる黒人』
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何故か必ず出てきます。


タブーな内容を使って描く 社会への皮肉


ゾンビが人間を襲い、肉を喰うだけでもかなりショッキングですが
噛まれた者がゾンビ化してしまうという設定のおかげで
子供が親を襲って肉を喰うという、さらに恐ろしい内容に。
モラル崩壊の映画に仕上がってます。

さらに劇中には『ゾンビ狩り』をする集団が現れ、
さっきまで人間だったゾンビを容赦なく撃ちまくります。
その様子はレジャー感覚で鳥や鹿を撃つかのようで
非常に嫌な気分にさせられます。

ネタバレを避ける為に詳細は控えますが
ラストには『え!!??』っという結末が待っています。

ロメロの映画は『社会への皮肉』が感じられるものが多く
本作も『人種差別』『人間狩り』『ベトナム戦争』などの
人間が犯した罪への皮肉と取れる要素があり
人間の愚かさを描く事に成功しています。
いや、偶然かもしれません(笑)

ゾンビは恐ろしいモンスターですが
人間はさらに恐ろしい生き物なのかもしれませんね。
ゾンビの方が余程平和に見えます。
ゾンビは差別しません。生きている者の全ては食料です。


この映画がなければ『バイオハザード』『28日後…』も存在しません。
現在ではニューヨーク近代美術館にも所蔵される
カルト・クラシックとなっています。

ナレーションが最高すぎる予告編はこちら!







[ 2013/09/18 14:59 ] ホラー | TB(0) | CM(0)

『ノーカントリー』 第一回!映画座談会!(基本的には飲み会)

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『ノーカントリー』
No Country for Old Men

監督 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン

2007年
アメリカ
122分



第一回 映画座談会 コーエン兄弟の傑作『ノーカントリー』


『もっと映画な生活!』50本目の作品は『ノーカントリー』!

今日はちょっと趣向を変えまして
映画好きのメンバーに集まってもらい
お酒&晩御飯を食べながら
ワイワイと座談会を行いました。

『ノーカントリー』は、コーエン兄弟製作のスリラー映画。
アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に
麻薬取引の大金を巡って追いつ追われつの逃亡劇が繰り広げられます。
公開直後から世界中で大絶賛された大傑作です。


参加メンバー

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 ニルコビチ

 当ブログの管理人。



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 ハーツ

 映画と酒を愛する男。仕事は音楽・映像関係。
 豊富な知識は酒を飲む事で崩壊する。


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 ポ コ

 映画はもちろん、漫画・小説・サブカルにも造詣が深く
 幼少期からスタローンを尊敬している変わり者。


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 ワズカ

 ニルコビチの嫁。レシピブログ『かてmemo』管理人。みんなの御飯担当。




全員そろったところでDVDを鑑賞。
観終わったところでもう一度再生しながら乾杯!
ワイワイと賑やかな座談会となりました。


ニルコ   コーエン兄弟の作品って観ている最中に『スゲェ!』って言うんじゃなく
観終わると同時にジワジワくる感じがあるよね。
ポ コそーだね。たしかに全部そんな感じ。面白いよね。
ハーツこの作品は何年前?
ニルコ公開が2007年。
ハーツあ、最近なんだ。
ニルコそうそう。アカデミー賞で4冠とった作品。
※作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞

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殺し屋アントン・シガー登場
ハーツそもそもこいつってなんで捕まったの?
ニルコ  荒野でボンベっぽいの持ってたからじゃない?
テキサスの荒野をホースがついたボンベ持ってたら怪しいよね(笑)
ポ コマズイなぁそれは(笑)顔もヤバイしね。
ニルコ出身地不明な顔ね(笑)
ハーツイタリア系かな?アングロサクソンではない感じ。
ニルコ何気に超アメリカンな格好してるよね。襟が長くて靴も尖ってるし。
これは彼なりの変装なのでは?っていう説もあって。
アメリカ人になりすます為にファッション誌で勉強したけど
テキサスでは流行ってなかったから逆に目立った感じ(笑)
ポ コあははは(笑)

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ニルコ  あとこの手錠を使って首を絞めるシーン。天井からのカメラがいいよね。
ポ コちょっと回ってる感じ?
ニルコそうそう。これ完全に顔芸だけどね(笑)

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ボンベ銃が炸裂!
ハーツ  血煙が飛んでるね!こだわるね~。
ニルコ斬新だよね。武器が。重そうだし。

ここでモス(ジョシュ・ブローリン)登場。
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ハーツこれ意味わかんない。この犬?※足を引きずる犬が映る
ニルコ   足を引きずっている犬を見つけて
歩いてきた逆方向に何かがあると感じたんじゃない?
アホそうな顔してるけど実は優秀(笑)
ベトナムに二回行っているとか言ってたし
動物的な勘で戦地を生き抜いてきたんじゃないかな。
ハーツあーなるほど。

死体が転がる現場を発見。
ヤクの取引で揉め事があった様子。
その中の一人はまだ息があり『水をくれ』と声をかけてくる。
大金が入ったカバンとピカピカの銃を手に入れる。

帰宅したものの、どうにも現場が気になり
夜中に水を持って再び現場へ。

ニルコ  これがねー。現場から金持って逃げちゃえばよかったのに。
ハーツあれってヤクを取りに行ったんじゃないの?
ニルコいや、違うでしょ。水を飲ませる為に行ったんだよ。
ポ コそうそう。お人好しな部分。
ハーツついでにヤクも頂いてって感じじゃないくて?
ニルコモスは金さえ手に入れば良かったんだけど
水を欲しがってた奴がどうにも気になって寝れないんだよ。
ベトナムでのトラウマみたいなのがあるんじゃないかな。
あの時に水を飲ませてやりたかった…みたいな。
戦争行った奴しかわからない部分じゃない?
ポ コ余計な事しなきゃ良かったのにね(笑)
ニルコ本当だよね(笑)
ただ金持って逃げるだけじゃなく
お人好しな部分があるから感情移入しやすいというか。
奥さん大好きっぽいし。
銃は欲しかっただけっぽいよね?
ハーツそりゃそうでしょ。ピカピカの銃って高かったりするから。
あと、ベトナム戦争とか行ってる奴は特にそうだけど
アメリカ人って45口径信者だから。
向かってくる人間を止められる銃なんだよね。
戦争での肉弾戦では貫通するタイプの銃よりは・・・
(内容がマニアックすぎるので省略)

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ここでワズカの晩御飯が完成。

ワズカ  『カリオストロの城のパスタ』です。

美味しそう!!!
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一同拍手!何故か撮影会が始まる。

↓詳しいレシピはこちら!↓
『かてmemo』カリオストロの城のミートボールパスタ


忘れちゃいけない! 主役=トミー・リー・ジョーンズ


ニルコ    おそらく保安官が主役なんだよね?
ポ コ主役はそうだよね。
ニルコDVDのジャケ見ると真ん中にコイツいるけど。
一 同あはははは(笑)
ポ コ原題が『No Country for Old Men』だし。
ニルコ老人が住める国は無いみたいな感じ。
最初から『俺に解決できる事件じゃねぇ』ってスタンスだもんね。
ポ コ小説で言う『何人称』みたいなのを結構上手く使ってるじゃん
ずっとモス視点でしょ。逃げてる人みたいな
逃げればいいなって思ってたらあっさりぶっ殺されて。
そこで一気に保安官目線に戻ってる。
ニルコあーそうか。
ポ コそこらへんがすごく面白いっていうか上手いよねー。
ニルコ実は物語は保安官目線でずーっと続いてるんだけど
『一方その頃』ってノリでモス目線の逃亡劇と、殺し屋目線があって。
ポ コただそれが凄く長いから(笑)保安官が脇役に感じちゃうっていうか。
ニルコ保安官を脇役として観ちゃうと、この映画の面白さが減っちゃう。
ポ コうんうん。『あ!そっか!保安官が追いかけてる映画だった』って気付く。
一 同あははは(笑)
ポ コ保安官は全然追いついてる感じしないから
ニルコ随所に鋭い推理を見せるけどね(笑)
でも『うーんわかんねぇな』で終わるし
一 同あはははは(笑)
ポ コこんな保安官の映画ってないよね。
もうやめるってずっと言ってる感じ。
ニルコそもそも現場でも馬に乗ったままで『うわ~ひでぇなぁ』とか(笑)
ハーツ現場を荒らしまくってね(笑)
ニルコ麻薬と金が絡んだ事件って動機みたいなのがほとんどないから
こういう理不尽な事件は老人には無理だって事なんだよね。

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ニルコ  この3人って劇中で一度も出会わないよね?
ポ コあーそうだね。保安官とシガーは会ってないし
ニルコモスとシガーもだよね。
ポ コいや銃撃戦があるでしょ。
ニルコあー。でも直接対面してはいないっていうか。
ポ コそっか。
ニルコお互い撃った弾があたっただけ(笑)腹とか足に。
あとは電話か。
ハーツうーん確かに。
ニルコ逃げるモス、追うシガー、なかなか追いつかない保安官。

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笑っちゃうほど強すぎる個性!殺し屋シガーの美学


ニルコシガーの体型もいいよね(笑)
ポ コだらしねぇ身体(笑)
ニルコ 全裸でトイレ。ギリギリ見えない感じ。
ポ コ気持ち悪いなー。

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ハーツシガーって余計な殺しはしたくない感じあるよね。
最低限ルールがあるっていうか。
ニルコ  最低限どころかルールでガッチガチなのかも。
ハーツがんじがらめになってるのか(笑)
ニルコ例えばどうしても車が必要だったらすぐに殺しちゃうけど
ガソリンスタンドではコインで相手に決めさせたり。
ワズカ最後の奥さんにコインを選ばせるシーンは?
あれって最後まで選ばかなったって事?
ニルコうーん。たぶん選ばなかったのかな。
結局殺したんだと思う。家を出る時に靴の裏を確認してたし。
ハーツあーそれは俺も思った。
ニルコ計画とは関係のないイレギュラーな場面では
相手にコインの表裏を選ばせて殺すかを決めていたのに
今回は選ばない相手を殺してしまったんだよね。
その帰り道に自動車で事故っちゃう。
ポ コジンクスみたいな感じね。
初めて観た時ここ巻戻して観たよ
あれ?赤信号だったのかな?って思ったら青信号で(笑)
普通に進んでるだけなのに事故ってるんだよね(笑)



セリフの少なさ、音楽の少なさについて


ニルコ  この映画ってセリフが少ないけど
まあ普段生きていて一人で行動してたら喋らないか。
ポ コあーそうだね。リアルっちゃリアル。音楽も無いし。
ハーツそうそう音楽がないってのが珍しいよね。
無いように思えて、実は音が鳴ってるっていう映画もあるけど。
ポ コ店でコインを投げるシーンでちょっとだけ音楽ありましたよ。
ハーツあ、マジで?
ポ コうん。音楽ってよりは『ふわぁ~』っとした音(笑)
ハーツちょっともう一回観てみようよ。
凄いね。洞察力。
ポ コあははは。


チャプターを戻し、お店のシーンを鑑賞中
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ポ コほらここ。
ハーツん?鳴ってるけど・・・
ポ コまあ曲っていうか効果音っぽい感じ。
ハーツあー鳴ってる鳴ってる。
ポ コヒリヒリしたシーンに合ってる(笑)
ハーツよく気づいたなぁー。
ポ コ音楽がない映画だからちょっと目立ったのかも。



印象に残ったシーンや気になった事


ワズカ  カラスを撃つシーンかな。あれはなんで撃ってるの?
単純に『鳥を見たら撃つ練習してます』って感じ?
一 同あはははは(笑)
ニルコなんなのかねー?確かによくわかんないなー。
俺はモスが泊まるホテルにシガーが追いつくシーン。
モスが危険を感じてホテルから脱出して
そのまま逃げるのかな?と思ったら
すぐにホテルに戻るでしょ?
一 同あぁー。
ハーツ確かに軍人っぽい動き。
ニルコそうそう!馬鹿みたいに逃げるんじゃなくて
まずは相手の動向を見るみたいな。
ハーツ発信機が仕掛けられてる事に気がついたのに
あえて捨てない。捨てないで待ち構える。
ニルコ発信機があろうが俺は軍人だから負けないって感じ?
ハーツうんうん。
ニルコモスがホテルに戻った時、まず猫を見るじゃん?
ポ コうんうん。
ニルコ餌がこぼれてるんだよね。
それから受付にいた男の姿がなくて
背後のドアが開いてる。
それを見て『そこに死んでる』って気付く。
この無駄のない動きがいいなーって。
ハーツでも二人の撃ち合いは余裕ない感じだよね(笑)
ニルコそうそう(笑)必死!
ポ コどっちも負傷するし(笑)
ハーツ気になったっていうか全然関係ないけど
殺し屋が『マンハッタン無宿』に出てくる凶悪犯に似てる(笑)
ニルコマンハッタン無宿?

ここで全員でyoutubeチェック。

※マンハッタン無宿とは?
イーストウッド主演のハードボイルド作品。
ダーティーハリーの原型と言われている。
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一 同 あああー!(笑)
ポ コ似てる似てる(笑)
ハーツだからなんだって感じだけど。


THE END



細かい演出が散りばめられていて
何度も観たくなる『ノーカントリー』
観るたびに気付く事がたくさんある
大変見ごたえのある作品です。
というわけで今回はここまで!
みなさんお疲れ様でした!








[ 2013/09/16 00:15 ] クライム | TB(0) | CM(4)

『許されざる者』 日本版リメイクが話題に!本家はアカデミー賞作品!

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『許されざる者』
Unforgiven

監督 クリント・イーストウッド

1992年
アメリカ
131分



渡辺謙主演『許されざる者』が公開されました。
渡辺謙は『硫黄島からの手紙』に出演した事で
現在でもクリント・イーストウッド監督と交流があるようで
今回のリメイクが決定した時もイーストウッドに連絡したとか。

そもそも時代劇と西部劇の相性は抜群で
黒澤明の代表作『七人の侍』『荒野の七人』に、
また『用心棒』『荒野の用心棒』として海外でリメイクされてます。
荒野の用心棒クリント・イーストウッド主演です!

日本版『許されざる者』は逆リメイク的な感じですね。
『ピストル』『日本刀』
『娼婦』『女郎』といった具合に
設定は見事に明治時代の日本に変換されています。

それよりなによりこのポスター!
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ここまでやるか!って感じですよね(笑)

日本版の評価が気になるところですが
今回はオリジナルの『許されざる者』をおさらいします。


イーストウッド最後の西部劇


この映画が公開されたのは1992年。
この頃の映画といったら
『ターミネーター』『リーサル・ウェポン』『ダイ・ハード』といった
難しい事は一切なしのド派手なアクション作品が話題になっていた時代です。
その中で異質な存在感を放っていたのが今作『許されざる者』です。
初めて観た時は、あまりの重たい内容にショックを受けました。
それと同時に『映画の面白さ』を知った作品でもあります。
やたらとおすぎが絶賛していたような気が(笑)
今作は第65回アカデミー賞で
作品賞、監督賞、助演男優賞、編集賞を受賞。
数々の名作西部劇に出演していたイーストウッドの
最後の西部劇としても話題に。


あらすじ

1880年のワイオミング州。
細々と牧場を営んでいるウィリアム・ビル・マニー(イーストウッド)
3年前に妻に先立たれ、現在は二人の子供と暮らしていた。

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彼は過去に列車強盗や殺人で名を馳せた
伝説的なアウトローであったが、
妻に出会った事で改心。酒も止めていた。

ある日、若い賞金稼ぎがマニーの家を訪れた。
彼が持ってきた話は
 泥酔したカウボーイが娼婦の顔を切り刻んだが
 保安官は、賠償金を支払うという約束だけで釈放。
 納得のいかない娼婦たちは1000ドルを用意し
 カウボーイの首に賞金を出す。

といった内容。
幼い子供の為、無念の娼婦の為に
再び銃を持つ事を決意するマニーだったが
彼は11年のブランクが。
銃の腕は落ち、馬にすら上手に乗れない有様。
マニーはかつての相棒ネッド(モーガン・フリーマン)を訪ね
街を目指す。

保安官は徹底した暴力で
自分こそが法律であり正義であると街を牛耳っていた。
そんな彼が賞金稼ぎの存在を許すはずがなかった。




主役のマニーはもちろんクリント・イーストウッド。
アウトローから足を洗った初老の男が
友の為に再び殺人鬼となる姿は圧巻。
死神に怯える姿
子供達や被害者の娼婦に見せる優しい目
躊躇なく人を殺せる冷酷な表情
非常に難しい役どころですが
文句なしに最高の演技を魅せてくれます。
役者イーストウッドの集大成と言える作品です。
できれば吹き替えは山田康雄が最高なんですけどね・・・



保安官ダゲットを演じるのはジーン・ハックマンです。
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悪を憎み、街の平和を守る保安官ですが
反抗する者に対しては容赦なく殴りつけ蹴り上げます。
その暴力は徹底していて一切の迷いがなく
息の根が止まるまでムチを打つ姿は悪魔のようです。
この歪んだ正義は、ならず者だけでなく市民を怯えさせています。
その反面、休日には自分で家を建てたりと、そのギャップが怖い(笑)
今作に登場する全ての人間には善の要素があり
この保安官も街を守るという意味では優秀ですが
完全に人間を踏み外しています。
今作でジーン・ハックマンは助演男優賞を受賞しました。



マニーの古い友人ネッドを演じるのはモーガン・フリーマンです。
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少しトボけた所もありますが、銃の腕は超一流。
一緒にいて心強い男です。
優しくて冷静、友情に熱く一本気。
モーガン・フリーマンにハズレなし!



被害者女性の無念を晴らすため
賞金を用意する娼婦アリスを演じた
フランシス・フィッシャーも印象的。
人間としての誇りを捨てない強い女性を見事に演じています。
ちなみに彼女とイーストウッドとの間にがいます。
イーストウッドのプレイボーイっぷりは半端じゃなく
他にも5人の女性との間に7人の子供がいるという話。
すげぇ。。。


繊細な演出で魅せる 極上のヒューマンドラマ


『噂には尾ひれがつきやすい』なんて事をよく言いますが
この映画でもちょっと面白いシーンがあります。

『泥酔したカウボーイが娼婦の顔を切り刻んだ』という噂は

マニーの耳に入る頃には
『女の顔を切り刻み、目をえぐり出し、耳を切り落とし、乳首を切った』
よくもまあここまで盛れたなぁというほど大げさな事に!

そんなマニーもネッドに話す時に『指を切り落とした』と、一つ増やしてました(笑)

街から街へ、村から村へ何日もかけて噂が広がって
噂を流す人が、聞く人の関心をひくためにどんどん大げさになっています。
噂の大げさ加減からいって
かなり遠くで起こった事件なんだなという事がわかります。



もう一つ印象的だったのが、マニーがネッドを訪ねるシーン。

ネッドは古い友人マニーを歓迎して家に招き入れます。
そして奥さんに『馬を見ておくように』と伝えます。
マニーの馬にはが。
それを見つけた奥さんの不安そうな顔。

マニーは、ならず者二人を殺しに行く事を伝えます。
しかしネッドはこう答えます。
『奥さんが生きていたら許さないだろう』

きっと許さいないだろうとマニーは思いました。
そしてネッドの奥さんだって許すはずがないと。

本当は一緒に来て欲しいのですが
『来週にでも子供たちの様子を見に行ってやってくれ』と言い残し
マニーは部屋を出ていきます。

ネッドはそれを呼び止めます。
カメラがゆっくり移動してネッドが映し出されると
彼の背後にはスペンサー銃が飾られていました。

この一連の流れだけで
『俺の心は決まっている。一緒に行こう』というネッドの気持ちが伝わります。

感情表現が得意ではない二人ですが
お互いの過去を知る彼らには言葉はいりません。
そんな二人の友情に胸が熱くなります。
そしてこの直後の会話がいいんです!

『まだスペンサー銃を持っているようだな』

『ああ。今でも飛んでいる鳥の目を撃ち抜けるさ』


このあと、夕焼けをバックに馬に乗る二人のシルエットが。

映像の繋ぎ方が非常に丁寧で
セリフがなくても十分すぎるほど伝わります。
クリント・イーストウッドの上手さを強烈に感じるシーンの一つです。
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緊迫のラスト15分!


この映画は『正義は勝つ!』の西部劇ではありません。
善悪の境界線が非常に曖昧なのです。

泥酔して娼婦の顔を切り刻んだ男
暴力で街を牛耳る保安官
賞金欲しさに群がる賞金稼ぎ
暴力や犯罪を美化する作家


かつてはマニーも列車を襲い
女だろうが子供だろうが関係なく殺していた男です。

それぞれの人間は、当然自分の価値観で行動し
悪に対する認識もバラバラ。
この映画のタイトルである『許されざる者』
全ての登場人物に当てはまるような気がします。

どんな事情であれ人間が人間を殺すという事とは
殺した相手の何もかもを奪ってしまう事。
それは罪深い事であり、許される事ではない。
暴力を美化する事、見て見ぬふりをする事も同様。
今作はそんなメッセージが込められた作品であり
他の西部劇にはない異質な余韻が残ります。

この映画のクライマックスはラスト15分。
マニーは保安官への怒りが頂点に達し
やめていたを飲みます。
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酒を飲むという行為は
妻と出会う前の殺人鬼マニーに戻った事を表しています。
殺人鬼となったマニーは丸腰の人間も容赦なく撃ち殺します。
そして保安官にこう言います。

今夜はお前を殺しに来た。

ここから先は映画史に残る名場面です。
ご覧になっていない方は是非ご自身の目で!








[ 2013/09/14 16:51 ] 西部劇 | TB(0) | CM(0)

『ドライヴ』 クールに疾走するクライム・サスペンス!叶わぬ恋に泣け!

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『ドライヴ』
Drive

監督 ニコラス・ウィンディング・レフン

2011年
アメリカ
100分


上映直後からとにかく話題だった映画
『ドライヴ』をご紹介します。
この映画を観たばかりの頃は
『最近面白い映画あった?』と聞かれたら
『ドライヴ!』と即答していました(笑)




『ドライバー』と呼ばれる男には名前も過去も無い


ドライバー(ライアン・ゴズリング)
昼は自動車修理工場で黙々と働き
依頼があれば危険なカースタントの仕事もしています。
そして『逃がし屋』という危なっかしい仕事も。
逃がし屋とは強盗を逃がす専門の運転手。

『待つのは5分だけ』
『連絡は最初の1度だけ』
『銃は持たず運転だけ』


このルール範囲内の仕事であれば100%逃がしてやるという
プロフェッショナルな男です。
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彼の逃がし屋としての顔はオープニングで見る事ができます。
ハリウッド映画的ド派手なカーチェイスではなく
一気にトップスピードで走り出したと思ったら
暗闇の中に隠れ、息を潜めるという
忍者のようなドライヴテクニック!
これが妙にリアルで生々しいのです。
ギリギリの緊張感の中、警察の追跡を完璧に逃れ
人ごみに消えていくドライバー。
ゾクゾクします。

では簡単にあらすじを。

ドライバーは、隣の部屋に住む
子持ちの美女アイリーン(キャリー・マリガン)に惹かれます。
二人はドライブに出かけたりと休日を共に過ごすようになりますが
彼女には現在服役中でまもなく出所予定の旦那が。。。

ほどなくして夫のスタンダードが刑期を終え出所。
アイリーンは家族との生活が始まり
ドライバーの恋は終わ・・・ったかのように思われたのですが

ある日、ボコボコにされ血まみれで倒れているスタンダードを発見。
どうやらその夫、服役中に厄介な組織から借金をしており
『強盗をしろ』と追い詰められているのだとか。
ドライバーはアイリーンの夫を助ける為、逃がし屋となり
ギリギリのバランスで保たれていた人生が崩れていきます。
後日、強盗を決行するのですが
全ては組織の罠だと知り。。。


といったストーリーなのですが
非常にシンプルで『物語で魅せる』タイプの映画でありません。

淡々とした展開の中にエッジの効いた演出があったり
登場人物のちょっとした表情の変化が生々しかったりと
想像力を働かせて『行間を読む』タイプの作品です。

ちなみに彼の過去は一切語られません。
それどころか名前すらありません。
ただ劇中では『ドライバー』と呼ばれています。
自分の命に価値感じていないような仕事選び
感情の起伏を感じさせない表情
家族もなく何も語らない孤独なドライバー。
そのクールで謎めいた雰囲気は
なにか暗い過去があるのでは?と深読みさせます。
どこにでもいそうな冴えない青年が
完璧で超絶な運転技術を持っている不気味さ。
それが主人公を恐ろしい程に魅力的にしています。


2011年を代表する世界が絶賛した映画


監督はニコラス・ウィンディング・レフン
知る人ぞ知るといった監督でしたが
今作『ドライヴ』はあらゆる方面から大絶賛!
カンヌ国際映画祭・監督賞をはじめ
多数の賞を受賞!
この大ヒットきっかけに
過去の作品が相次いで劇場公開・ソフト化されました。
クールでバイオレンスな作風は
クエンティン・タランティーノあたりと比較されますが
デビュー当初から独特の世界感を構築していて
研ぎ澄まされた神経質なカメラワークや
光と影のコントラストを強調した映像美は
デヴィッド・リンチの影響も感じさせます。

主役のドライバーを演じるのはライアン・ゴズリング
現在32歳で、大注目されている俳優の一人です。
本作の演技は見事の一言!
この映画のおかげで彼の名前を覚えました(笑)
背中にサソリの刺繍が入ったジャケットに革手袋という
超個性的(?)なファッションの主人公です。

アイリーンを演じるのはキャリー・マリガン
アイルランド人の血を引いているのもあってか
どこか儚げで犯罪的に可愛いんですよねー。
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こんな女性が隣に住んでたら好きになるわ~と(笑)
彼女は本作で英国アカデミー賞の助演女優賞にノミネート。
最近ではディカプリオ主演の『華麗なるギャッツビー』
デイジー役を演じました。


男が行動で魅せる無償の愛 暴走するロマンス


この映画の魅力の一つは『ロマンス』です。
ドライバーの真っ直ぐな想い。
何故そこまで?と思うはず。
ほんの数回ドライブしただけなのに・・・。
自業自得でボコられた旦那なんてほっとけばいいのに
『アイリーンにも危険が及ぶかもしれない』
旦那を助けちゃうんです。
その行動で気付かされます。
彼にとってアイリーンはそれほど大きな存在だったのだと。

バランスを崩したドライバーは暴走していきます。
人を殺す事でさえ何の躊躇もありません。
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『全ては彼女を守る為』
この目的達成の為、クールに遂行される殺人の狂気!
そのリアリティあふれる残酷描写!

そしてこの映画の最大の見せ場と言っていいのが
『エレベーター』のシーンです。
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是非見て欲しいのでネタバレは書きませんが
超絶にロマンチックでバイオレンスな演出に腰を抜かしました。

ダーティーなヒーロー像


孤独でダーティーな主人公と言えば
タクシードライバーのトラヴィスが思い出されます。
トラヴィスは命をかけて戦ったベトナム戦争から帰還。
ところが帰ってきたアメリカは
麻薬と売春にまみれた腐れ切った国でした。
やがて彼はアイデンティティを見失い
社会への不満や孤独に追い詰められ
自分が生きる意味に飢えて狂人化していく自己中心的人物

しかし『ドライヴ』の主人公は決して狂ってはいません。
何かしら欠落した人間かもしれませんが
社会やアイデンティティには無関心であり
何事もクールに決断するブレない男です。
行動する事でしか表現方法を知らないという点では
自己中心的とも言えますが
何かに導かれるように突き進む
一直線に生きる姿は痛々しいほど。
彼にはトラヴィスには無い『ヒーロー像』を感じます。
それよりは西部劇の主役の方が近いかもしれません。

ドライバーは『一緒にいる事』ではなく
自分にしかできない方法で彼女を守ろうとします。
この切なさを是非感じ取っていただきたい!


■映画を盛り上げるサウンドトラックにも注目!
この映画の魅力を上げていくと

ライアン・ゴズリングの名演
無駄がなくスピード感溢れるカメラワーク
狂気に満ちたバイオレンス映像
切なすぎる恋


などなど注目すべき点が多々ありますが
忘れてはいけないのが
映画を盛り上げる劇中の音楽!
今作のサントラは超絶おすすめです!

Drive
Drive 【Soundtrack】

Night Call - Kavinsky & Lovefoxxx
Under Your Spell - Desire
A Real Hero - College Feat. Electric Youth
Oh My Love - Riziero Ortolani & Rina Ranieri
Tick of the Clock - Chromaticss
他 全19曲


どの曲も素晴らしく、頭から離れなれなくなります。
聴いているだけで夜の街をドライブしている気持ちになれる名盤!


ストーリーそのものは実にシンプルであり
凝りまくったプロットや
感動的な展開があるわけではないのですが
感覚へダイレクトに訴えかけてくる力強さがある作品です。

観終わる頃には
『何故この映画がここまで話題になったのか?』が理解できるはず。
男ウケする映画と思われがちですが
女性にも超おすすめの大名作です。
映画とサントラをセットでお楽しみください。










[ 2013/09/13 10:44 ] クライム | TB(0) | CM(0)

『カウボーイ&エイリアン』 ジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズが大暴れ!

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カウボーイ & エイリアン
Cowboys & Aliens

監督 ジョン・ファヴロー

2011年
アメリカ
118分


大問題作『カウボーイ & エイリアン』を紹介します。

タイトルからして何のこっちゃです。
もう少しどうにかならかなったのか。
トホホな邦題かな?と思ったら
原題からして『Cowboys & Aliens』だもの。

明け方のテンションで作ったようなタイトルですが
そもそも『なぜカウボーイとエイリアンなのか?』
観てみると『あーなるほど』と納得できます。
まあ納得できたからどうだって話ですが(笑)

無名の俳優ばかりだろうと思っていたら
主演はなんとダニエル・クレイグ!
その横にハリソン・フォードという
超ビッグネームが並びます!
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マジかよ!
ジェームズ・ボンドとインディ・ジョーンズ!
『スパイ&考古学者』じゃん!

超ビッグネームが並ぶ 豪華な撮影陣!


監督であるジョン・ファヴロー
大ヒットした『アイアンマン』シリーズ
監督・製作総指揮・出演までこなす人物です。
アイアンマン2の翌年に公開されたのが
『カウボーイ & エイリアン』です。
原作はスコット・ミッチェル・ローゼンバーグによる
同名のコミック。アメコミ映画だったんですね。

エグゼクティブプロデューサーには
スティーヴン・スピルバーグの名前が!
ロン・ハワードの名前まで!
大丈夫なのかこの映画??

ロケ地は『ヤングガン』(懐かしい!)や
新作では『ローン・レンジャー』などを撮影した
西部劇映画の聖地『ブラザ・ブランカ』
なかなかダイナミックで美しい風景が映画を盛り上げます。

さて・・・
そろそろ
内容について書きましょうか。


エイリアンが地球にやってきた。大昔に。


ネタバレを気にして書く事が苦痛になるほど
どこが重要なのかがわからない映画です。

そもそも西部劇ではありません。
かといってエイリアンとの死闘…ってほどでも。
まあカウボーイの武器はショボイ銃投げ輪。
最初から勝負になりませんから。
いったいどこらへんがターゲットなんだろう?
そういう意味では不思議な作品です。
あらすじを書きながら簡単に解説を。

1873年のアメリカ、アリゾナ
砂漠に倒れていた男
ジェイク(ダニエル・クレイグ)が目を覚ますと
腹を怪我しており、おまけに記憶がない。
左腕には謎の腕輪が。
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それから見知らぬ女性の写真。謎だらけです。

ボロボロのジェイクを3人のならず者が襲いかかりますが
見事に瞬殺!すげぇ強い!
とりあえず死体から服と武器、馬を手に入れます。
自分の正体は謎のまま、ある街にたどり着きます。

西部劇でありがちな設定ですが
この街を牛耳っている奴ってのがいるんです。
それがダラーハイド大佐(ハリソン・フォード)です。
いかにも権力者って感じの嫌な奴です。

謎の女(エラ)出てきたり
なんだかんだ揉め事がありまして
謎の宇宙船が襲いかかってきます。
長いロープ的なやつで人間を引っ掛けて
次々とさらっていきます。
そんな時、突然ジェイクの腕輪が光りはじめ
なんとなく宇宙船に構えてみたら何かが出まして
見事に撃墜成功!

ジェイクの正体は?
なぜ腕輪をしているのか?
この街では何が起こっているのか?
何かを知っている様子のエラという女は何者なのか?


というのがザックリとした内容。
なんで急に宇宙船なんだ?と思うかもしれませんが
そんな所で引っかかっていたら最後まで観れません。
物語が進むにつれてエスカレートするとんでも展開。
基本的な設定を自ら裏切り続け
後半にかけては『え?なんで?』の連鎖です。

ダニエル・クレイグとハリソン・フォードが出ていますが
娯楽大作を期待してはいけません。
『カウボーイがエイリアンと戦うだけの話』です。
忘れないでください。


謎だらけの盛りだくさんな物語 というか映画そのものが謎


圧倒的なスケールと超豪華な出演者の今作。
娯楽大作のあらゆる条件が揃った映画ですが
恐ろしい程にチグハグな展開がてんこ盛り。
当たり前のように繰り広げられる
ハリソン・フォードの重厚な演技に
『理解できない自分は少数派なのでは?』
不安になるかもしれませんが
決してそのような事はありません。
この映画が変なんです。

最初から最後まで気になってしょうがなかったのが
謎の女『エラ』です。
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ジェイクと酒場で出会った時に
『何も覚えていないの?』
いかにも過去を知っているような口ぶりで質問してきます。
ところが、いくら映画を見続けても
それについての説明はなく…。
なんでそんな事聞いてきたんだ?という。

しかも直後に殴られます。何故か。わかりません。
おまけに『あなたの力が必要なの』などと言い出し
じゃあなんで殴ったのか?って話になるのですが
それについても語られる事はありません。

この女は最後までずーっとこんな調子です。

その後、エラは宇宙船に連れ去られるのですが
ジェイクが危険を顧みず宇宙船に飛び乗り
見事救出に成功しますが
あっさりエイリアンに殺されます。




え!!!死ぬの?????




っつーかお前なんだったんだよー!とガッカリしていると
アパッチ族の儀式(火葬)の最中に全裸で復活します。




生き返るのかよ!!!!!




まあ今さら何を書いてもって感じなので書きますが
エラは宇宙人なんです。
今地球を襲っているエイリアンに
滅ぼされた星からやってきたとか。
要するに『私、あのエイリアン許さない』です。

エラは言います。
『エイリアンは光に弱いから夜にしか活動できない』
なるほど。たしかに襲撃は夜ばかり。
じゃあ真昼に攻撃をしかけるぞ!って事になりますが
ダイナマイトで宇宙船の一部を破壊したところ
白昼堂々とエイリアンが反撃してきます。




今度は嘘かよ!嘘つくなよ!




それ以外にも未回収の伏線を
まるで無かったかのように物語は進み
観る者を不安にさせます。

エイリアンがまたショボイ!
巨大な宇宙船を見る限り
高い知能を持った生物という認識でしたが
いざ戦ってみるとデカイ虫レベル。
全然賢そうじゃない。。。
もうね。。。ツッコミどころが多すぎて
正気を失いそうになります。

そしてチョイチョイ出てくる
西部劇風ヒューマンドラマ。
これがまた割とガッツリ描くので
スピード感溢れるアクションシーンと
ゆったりとした人間愛が交互に展開され
なかなかのトゥーマッチ感。

とにかく一言だけ感想をと言われたら

『詰め込みすぎ』です。

・記憶を失ったジェイクの過去
・謎の女
・エイリアンの襲撃
・ダラーハイド大佐の親子愛
・西部劇


どれか一つにできなかったのか?
いや原作もきっとこんな感じなんでしょう。

とにもかくにも大問題作である今作。
ダニエル・クレイグとハリソン・フォード
二人の存在感はさすがです。
ジェームズ・ボンド&インディ・ジョーンズですから!
それなりに楽しめる事は間違いありません。

頑張って褒めました。










[ 2013/09/08 16:54 ] SF | TB(0) | CM(0)

『ランブルフィッシュ』 ミッキー・ローク、マット・ディロンだけじゃない!豪華出演陣に注目

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『ランブルフィッシュ』
Rumble Fish

監督 フランシス・フォード・コッポラ

1983年
アメリカ
94分


コッポラ監督の青春映画
『ランブルフィッシュ』を紹介します。
当時大人気だったミッキー・ローク
マット・ディロンが出演した事で
大きな話題となった作品です。


いちいち驚かされる 超豪華な出演陣


予備知識まったく無しの状態で鑑賞しましたが
開始3分で『ん?え?アァーッ!』衝撃!

うっそ!トム・ウェイツ出てるじゃん!
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しかも若い!まだゴリラっぽさ控えめ!


ちなみにこの映画ではカフェバーの店主役です。
高校を中退してピザ屋で働いてたってエピソードもありますし
こんなお店あったら言ってみたいなぁと思いました。
1983年と言ったら傑作『レイン・ドッグ』よりも前かぁ。
Rain Dogs
若いわけです。。。
…というか突然のトム・ウェイツ出現に
冒頭のセリフをほとんど見ておらず
結局、最初から見直しです(笑)


ザックリとあらすじ
エブリデー喧嘩の不良少年ラスティのもとへ
姿を消していた兄が帰ってきた。
兄はモーターサイクルボーイと呼ばれた伝説の不良。
『いつか兄貴のようになりたい!』と憧れるラスティ。
しかしモーターサイクルボーイはかつての荒々しさがなく
心を失ったような静かな男になっていた。


なるほどー。
不良たちのケンカや恋愛を描いた
青春映画なのかなー?
…って油断してたら

また出た!

How many いい顔

ニコラス・ケイジ!
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オイ! 顔! 勘弁してよ!
毛根が死んでない!というか邪魔なほど生えてる!
まぁ彼はコッポラの甥っ子なんで
出演してもおかしくはないっちゃーないんですが
不意をつかれてのニコラス・ケイジだったもので
何故かちょっとだけイラっとします。(嫌いじゃないんだけど)
しかも今回の役は、なかなかの最低男子。
『嫌いだわー』と思いながら観ました(笑)


あれ?この出っ歯の女の子・・・
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間違いない!ソフィア・コッポラだー!
ブ…あまり可愛くない!

娘まで出演させてるあたりコッポラの趣味全開。
子役なんで演技もへったくれも無いんですが

ダイアン・レインの妹役って!
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お姉さんの美女っぷりが異常なので
違和感が凄いです。

しかしながらデニス・ホッパー(アル中の親父)
ミッキー・ローク(伝説の不良)
マット・ディロン(兄に憧れるケンカ馬鹿)って
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どんな一族だよ!
ファンタジーすぎるよ!
濃厚な血筋に恐ろしさを感じます。

というわけで
出演者の豪華さに驚きすぎて
前半だけでちょっと疲れました。


色のない世界で泳ぐ闘魚


白黒映画ですが、一部カラーが使用されています。
この手法は、後に『シン・シティ』でも観る事ができますが
本作の『白黒』にはさらに大きな意味があります。

ミッキー・ローク演じるモーターサイクルボーイ
色の判別ができない『色盲』なんです。
色のある世界の記憶は残っているのですが
今、彼に見えているのは、色のない世界。

しかし彼が見つめる熱帯魚には鮮やかな赤と青が。
それは彼の心の中で着色したのだと考えられます。
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モーターサイクルボーイは
ペットショップの水槽で泳ぐランブルフィッシュ
飽きもせず、ずーっと眺めています。
※店主に警察呼ばれるほど

ランブル・フィッシュは闘魚。
水槽の中に二匹を入れると
どちらかが死ぬまで戦い続けます。

ラスティ(マット・ディロン)は
そんなランブルフィッシュを
『カッコイイ』と言いますが

兄はこう言います。

 魚は川で泳ぐものだ
 もっと場所が広ければ殺し合わずに済む


水槽のような狭い世界しかしらない弟へ
『もっと広い世界を見ろ』という
メッセージのような言葉が印象的。

白黒の世界で泳ぐ
色鮮やかなランブルフィッシュは
兄の心にある寂しさや優しさを見事に表現しています。


兄弟の絆と すれ違う会話の切なさ


ラスティは純粋に兄を尊敬しています。
『いつか兄貴みたいになってやる』と。

しかし強い光に照らされる者には
さらに暗い影が作られるもの。

ラスティには光り輝く兄しか見えておらず
影に気づきませんでした。

何か大きなものを失ってしまったような
力のない笑顔のモーターサイクルボーイは
弟がどんなに尻尾をふっても
それをフワリとかわします。
兄弟の会話の食い違いはとても切ないです。

がむしゃらに兄を慕う弟と
優しく語りかける兄は
まるで光と影の関係のよう。
この映画の一番の見所と言えます。

個人的に好きだったのは
兄が弟をバイクに乗せて夜の街を走るシーン。
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色が判別できない為、信号の変化がわからず
危うく事故になりそうになるシーンがあるのですが
ラスティは、なんとも言えない表情で
兄貴の背中に顔をうずめます。
二人は、まるで本物の兄弟のよう。

このシーンの音楽がまたイイんです!
音楽を担当したのはポリスのドラマー
スチュワート・コープランドです。
気持ちがすれ違ってばかりいた兄弟が
楽しそうに街を走る姿にピッタリなサウンドです。

このシーンだけじゃなく
スチュワート・コープランドが手がけた音楽は
ジャンルの特定が難しい独特な雰囲気で
つかみどころのない映画に上手くハマっています。


破滅的なラストシーンと、その先にあるもの


モーターサイクルボーイは
『自分がいたらラスティは成長できない』
感じていたに違いありません。

物語のクライマックスである『あの行動』
弟を未来へ導くための行動だったのでしょう。
ラスティが純粋に兄を尊敬していたように
兄も心から『弟の成長』を望んでいた…
なんとも切ない結末です。

ラストカットは
その先に希望があるのではないか?と感じさせる
美しい映像。

いやー観てよかったー。
というか何故今まで観てなかったのか(笑)
10代の頃に観たかったな。。。

なんと言ってもこの映画最大の魅力は
モーターサイクルボーイを演じる
ミッキー・ロークでしょう。

優しい声と、幽霊のような生命力のなさ!
影があるくたびれた笑顔は反則!
数々の出演作の中でも
ダントツに最高にカッコイイです。
『喧嘩にバイクに女!』みたいな映画だと思ったら大間違い!
とても切なくて美しいストーリーでした。
機会がありましたら是非ご覧下さい!








[ 2013/09/07 16:36 ] 青春 | TB(0) | CM(2)

『キック・アス』 続編の日本公開が決定!最低で最高な大傑作!

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『キック・アス』
Kick-Ass

監督 マシュー・ヴォーン

2010年
製作国 アメリカ イギリス
117分

2010年のベストムービーという人は多いのではないでしょうか?
超絶おすすめアクションムービー
『キック・アス』を紹介します。


馬鹿馬鹿しく感動的なサクセスストーリー!


主人公デイヴはスーパーヒーローに憧れる
天パー眼鏡の典型的なモテない青年。
彼は突然『本物のヒーロー』になろうと思い立ち
(本当に突然思い立つ)
通販で手に入れた全身タイツ的なスーツを装着!
たちまちヒーロー『キック・アス』に変身!
よせば良いのにその姿で街へ繰り出す!
しかし、スーツを着たからって強くなれるわけではなく
(そもそも何の特技も持っていない)
案の定、チンピラにボコられ
刺され、ついでに車に轢かれ
見事に病院送り!
普通はここで自分の弱小っぷりを痛感するんですが
何故か彼は止まりません。
やがて彼の活躍(?)はYouTubeにアップされて話題を呼び
たちまち時の人となります。


そんな偽者ヒーローがやがて大きな事件に巻き込まれ
『本物のヒーロー』になるまでを描く
青春?いやアクション映画です。

主役のキック・アスを演じるのは
アーロン・ジョンソン。
『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』
ジョン・レノンを演じ注目された俳優です。
実は凄い男前なんですけど
今作では頼りないオタクを見事に演じています(笑)

これといった特技もなく
基本的に殴られっぱなしのキックアス。
おまけに憧れの女性にはゲイと勘違いされ
恋愛相談されるというヘタレっぷり。
スーパーヒーローには程遠い存在です。
ところが不思議な事に
ゾンビのように何度も立ち上がる姿が
いつの間にか格好良く見えてきます。

ヒットガール絶体絶命のピンチ!
黒人の護衛がバズーガ砲をかまえ
『スカーフェイス』の名台詞
『Say hello to my little friend!』を叫んだ後に
突如エルヴィスの『アメリカの祈り』が流れて
度肝を抜く登場で救出にやってくるキックアス!
もう全然意味がわかならないんですが
何故か胸が熱くなりました(笑)


しかしこの映画と言ったら
ヒット・ガールを演じるクロエ・グレース・モレッツ!
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本作で魅せた小さな身体から繰り出す技の数々や
暴言だらけのクールなセリフで一躍人気者になりました。
可愛らしい顔でバタフライナイフ振り回して
汚い言葉を吐き捨てる姿は
主役が霞む強烈なインパクト(笑)
続編では少し大人になった
セクシーなヒット・ガールが登場します。


ビッグ・ダティを演じるのはニコラス・ケイジです。
大のアメリカンコミック好きでも知られ
息子にスーパーマンの本名であるカルエルと名付けたり
『まんだらけ』で40万のガメラを買ったり
かなりのオタク気質であるニコラス・ケイジ。
本作では娘を殺人マシーンに英才教育する
クレイジーな父親をノリノリで演じています!
前々から思っていたのですが
ニコラス・ケイジのって反則ですよ。
真面目な顔が面白いんだもん。
ビッグダディの『Oh my god!』
どんなに体調悪くても笑っちゃいます。
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あまり良い印象のない俳優でしたが
ビッグ・ダディはパーフェクト!

資金難だった自主映画がクチコミで大ヒット!


今でこそ大ヒット映画として知られる『キック・アス』ですが
完成までの道のりは大変だったようです。

その過激な内容にスポンサーが難色をしめし
まったく制作資金が集まりませんでした。
それでも諦めきれないマシュー・ヴォーン
私財を削り、見切り発車で撮影をスタート!
なんと『自主映画』として完成させた作品なのです。

製作にブラッド・ピットの名前がありますが
配給が決まらずにいた今作のプロデューサーを
彼が買って出た事で、ようやく公開になったのだとか。
ブラッド・ピット偉い!
あんた最高だよ!

日本では当初4館しか上映していませんでしたが
クチコミで人気に火がつき
最終的には70館以上で上映される大ヒット作に!
根性で映画を完成させたマシュー・ボーンに拍手!

映画を盛り上げるご機嫌なサントラ!


キック・アスは音楽も最高!
特にヒット・ガールのアクションシーンで流れる二曲は
迫力のあるバトルを大いに盛り上げてくれます!

Incredible Shrinking Dickies
The Dickies / Banana Splits

『tra la la tra la la la!』
ご機嫌なコーラスが楽しいディッキーズ!
疾走感がありポップで可愛らしいメロディが印象的な
Banana Splitsは彼らの人気ナンバーなのですが
まさか『キック・アス』で使用されるとは!!!
ラモーンズほど知名度は高くありませんが
LAパンクを代表するPUNKバンドです。
徹底的にふざけまくってる
超おバカなサウンドが大好きです。


Joan Jett and the Blackhearts Greatest Hits
Joan Jett and The Blackhearts / Bad Reputation

泣く子も黙るジョーン・ジェット!
わずか16歳でザ・ランナウェイズのギタリストとしてデビュー。
この『Bad Reputation』
彼女がザ・ブラックハーツ名義で発表した曲です。
血が沸騰する超ハイテンションなパンクナンバーは
ヒット・ガールのイメージにピッタリ!
映画『ランナウェイズ』の劇場公開に合わせて発表された
ベストアルバムは代表曲が網羅された決定版です。

ちなみに『キック・アス』のサントラには
Bad Reputation - The Hit Girlsと書かれており
『クロエが歌ってるのでは?』という噂がありますが
公式には発表されていないようです。
劇中ではJoan Jett & The Blackheartsのオリジナルが流れます。

他にもオリジナルサウンドトラックには
プライマル・スクリーム
プロディジー
ニューヨーク・ドールズ(!)
といった
ロックファンなら素通りできない名前が並びます。

待望の続編 2014年2月日本公開が決定!


続編を撮影してるという噂からもう2年以上。。。
最近はコメディ系の作品が日本公開されない場合が多いので
『完成したとしても日本公開は難しい』という噂もあり
不安でいっぱいだったのですが
来年2月『Kick-Ass 2』日本公開される事になりました!
前作の主要キャストの続投はもちろん
ジム・キャリー出演というのが期待させます!
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ちなみに前作で監督を務めたマシュー・ヴォーンは
製作に専念しプロデューサーとして参加。
ジェフ・ワドロウが監督・脚本に就任。
監督の交代はちょっと気になりますが
予告を見る限り全然大丈夫っぽいです(笑)

ド派手なアクションはもちろんの事
暴言連発のセリフや、きわどい下ネタ
それから映画で使用される楽曲に期待!
うーん…公開が待ちきれない!







[ 2013/09/04 20:54 ] アクション | TB(0) | CM(0)

『小さな悪の華』 ホラー映画よりも恐ろしい!トラウマ映画の決定版!悪魔に憑りつかれた少女の美しくも凶暴な生き様を見よ!

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『小さな悪の華』
Mais ne nous de'livrez pas du mal

監督 ジョエル・セリア
脚本 ジョエル・セリア

1971年
フランス
103分

フランス映画なのに
なんと本国フランスで上映禁止!
イタリアやイギリスには輸出禁止!
上映されたのはアメリカと日本だけ!
その後ソフト化される事もなく
『まぼろしの映画』的な扱いを受けていた『小さな悪の華』
2008年にDVD化されたおかげで観る事ができました。

上映禁止の原因は多々あるのですが

・反宗教的な内容である事

・窃盗、動物虐待、悪魔崇拝、放火、殺人など
 徹底したモラル無視の内容である事

・少女の露出が多く淫靡な内容である事


ギリギリどころか完全にアウト。
タブーを詰め合わせたような恐ろしい作品です。

二人の少女が憧れたのは『純粋な悪』


あらすじ

黒髪のアンヌは裕福な家で育った暗い目をした少女。
ブロンドのロールは一般庶民の家で育った普通の少女です。
二人は家柄なんて関係なく、いつだって二人でいる大親友。

一見どこにでもいるような少女ですが
二人だけの秘密がありました。
それは悪への憧れです。
二人はカトリック系の学校に通っているにも関わらず
サタンへの忠誠を誓い、様々な悪事を働いていました。
屋根裏部屋から持ち出したボードレールを『悪の華』を読みふけり
完全に悪の魅力にとりつかれていきます。
二人は悪魔崇拝の儀式をきっかけに
悪事はどんどんエスカレートしていく。。。

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ホラー映画よりも恐ろしい!トラウマ・カルト映画


この二人の少女の恐ろしさは『純粋』である事。
男の子がヒーローに憧れるように
女の子がヒロインに憧れるように
この二人は『悪』に憧れを抱き
『悪いことってなんて清々しいのかしら!』とでも言わんばかりに
真っ直ぐな気持ちで悪事を重ねていきます。

修道女がキスをしている所をクスクス笑い
面白半分で神父にチクるあたりはまだ可愛いのですが
(それだって酷いけど)

『男の目の前で股を開きパンツを下げて見せつける』という
ド直球な誘惑をしておきながら
襲われた瞬間全力で抵抗!
ブラ&パンツもずり下げられてますが
絶体絶命の状況でギリギリ逃亡に成功!
体を張った捨て身の嫌がらせです。

また、庭番が飼っている小鳥に毒を飲ませて殺すシーン。
『殺す』という行為も残酷ですが、
殺した後、そこを逃げ出さず部屋に隠れてるんです。
小鳥が死んでいる事を知った庭番は悲しみ、亡骸を指で撫でます。
それを見て声を殺して笑ってる!鬼!外道!

完全なクソガキなのですが、少女の純粋な目!
『何も間違った事はしてない』といった顔で
ケタケタと笑いながら自転車を漕ぐ二人は
どこにでもいる女の子そのもの。
この恐ろしい程にピュアな悪。。。
背筋が凍ります。


ニュージーランドで起こった殺人事件がモチーフに


今作は実際の殺人事件がモチーフになっています。
事件を簡単に説明します。

1954年 ニュージーランド
ポーリーン・パーカー(15歳)とジュリエット・ヒューム(16歳)
二人の少女は小説家を目指す親友でしたが
空想と現実の区別がつかないほど
創作ファンタジーの世界に没頭するようになり
やがて性的な関係を持つようになりました。
この事を知った二人の両親は、二人を引き離すため
ジュリエットを南アフリカへ移住させようとしたのですが
これを『ポーリーンの母の仕業』と思い込んだ二人は
殺害を計画。レンガで撲殺しました。
事故死に偽装したのですが、あまりにも雑な計画だった為
警察の追及にあっさりと自供し逮捕されました。
逮捕後の二人は殺人を犯した自覚がまるでなく
空想の延長上での行動だった事が世間を震撼させました。

この事件はピーター・ジャクソン監督も
『乙女の祈り』として映画化しています。

タブーを恐れない圧倒的存在感 忘れられなくなる映画


これだけ反モラル的なカルト映画であるにも関わらず
そこはかとなく上品な作品に仕上がっているのが不思議。

古びた礼拝堂、ロウソクの灯り
密かに行われた悪魔崇拝の儀式は気品があり
とても神聖な儀式であるかのように感じます。
※悪魔崇拝なのに神聖というのも変な話ですが・・・
オルガンで奏でられるメインテーマも印象的で(名曲!)
ゴシックな世界感を作り出しています。

少女が襲われるシーンにも不思議とエグさがありません。
エロティックな描写がたくさんあるにも関わらず
性的な興奮を煽るものにはなっていません。
『男を興奮させておきながら拒絶する』という
儀式的なものなので少女にまったく同情できず
『ほら言わんこっちゃない』という印象になります。
まあ男の方がよっぽど被害者なわけですが(笑)
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大人になりかけている少女の裸体のタブー感は凄まじく
見てはいけないものを見ている罪悪感が。

自転車で田園を走るシーンはいかにも子供らしく
夏休みを楽しむ二人は、そこらへんの子供と同じく
キラキラと輝いています。
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それが更なる恐怖を煽るギャップ効果になるのですが。。。

これらの要素のバランス感覚は奇跡的で
ホラー映画級に怖いトラウマ映画であるにも関わらず
二人の少女に翻弄されながら物語は進んでいきます。
あとフランス語ってのがデカイです。
フランス語ってずるいですよね!
ゴニョゴニョ喋る女の子の可愛らしさったらないです。

絶対に子供には見せたくない映画。
しかし封印するにはあまりに惜しい傑作です。
伝説となっているラストシーンは強烈。

個人的には大満足の映画でした。








[ 2013/09/03 15:16 ] カルト | TB(0) | CM(0)

『バーバー』 髪型を変えるように少しだけ人生を変えたい

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『バーバー』
The Man Who Wasn't There

監督
ジョエル・コーエン

脚本
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン

2001年
アメリカ
116分


コーエン兄弟の傑作『バーバー』
1940年~50年代後期にかけてアメリカで製作された
フィルム・ノワールの影響を感じさせる白黒映画です。
原題『The Man Who Wasn't There』を直訳すると
『そこにいなかった男』

白黒映画といっても光と影のコントラストが強いわけではなく
淡いグラデーションが美しく、とても柔らかい映像です。
これはカラー用のフィルムで撮影したものを
あえてモノクロに変換した為に生まれた効果です。

本来カラーで表現できるものを犠牲にしているわけで
退屈な映像になってしまうという可能性があったと思うのですが
そのリスクを補うように構図が冴えまくりの
まるで絵画のような映画です。

劇場公開されたのはモノクロのヴァージョン。
現在はカラー版も存在します。
どちらも観たのですが、カラーも素晴らしく美しいので
できれば両方観て欲しい!

髪型を変えるように 少しだけ人生を変えたい


あらすじ

エドは、義理の兄が経営する床屋で働いていた。
妻ドリスは彼女の上司であるデイヴと不倫関係にあるようだった。
エドは床屋を訪れた胡散臭い男(オカマ)から
新時代のビジネスといった投資話を聞く。
初めはペテン師の戯言と思っていたが
『他の人生が待っているかも?』という気持ちが芽生え始める。
投資の資金は1万ドルを工面する為に
妻の不倫相手のデイヴを恐喝する事を思いつくが
その行動がきっかけで人生の歯車が狂っていく。


主人公エド・クレイン
ビリー・ボブ・ソーントンが演じています。
曲者な雰囲気とハードな存在感で
数々の話題作に出演しているベテラン。
本作の演技は最高で
何も喋らなくても映画が成り立ってしまう存在感は凄い!
まだ未見なのですが
インデペンデント映画『スリング・ブレイド』では
監督・脚本・主演を務め、アカデミー脚色賞を受賞してます。
この作品はレビューでの評価が高いので
観てみようと思っています。

エドの妻ドリスフランシス・マクドーマンド。
コーエン兄弟の作品ではお馴染みの女優さんです。
主演した『ファーゴ』が世界的に成功したことで
彼女はジョエル・コーエンの奥さんなんですね!
ミラ・ジョヴォヴィッチやヘレナ・ボナム=カーターみたいに
監督と結ばれる女優さんって多いんですね。
後半にかけての『表情だけで伝える』上手さ!
大女優だなぁと感心してしまいます。

レイチェル・“バーディ”・アバンダスを演じるのは
スカーレット・ヨハンソンです。
セクシーな女優と認知されている彼女ですが
『バーバー』は、素朴な少女だったヨハンソンが
大人を感じさせる女優として成長した姿が見れる貴重な作品。
特に後半にかけて難しい役を大胆に演じています。
当時15歳(!)なんですけど驚きの色っぽさです。

変化球で人間の愚かさを描くコーエン兄弟の上手さ


この映画を『面白くない』という人が少なからずいるようですが
たしかに面白みには欠ける作品ではあります(笑)
個人的には大好きな映画で
皮肉っぽい展開の中にユーモアを感じさせる
味わい深い映画だと思います。

この映画の主人公は
どこにでもいるような
くたびれたオッサン。凡人。

彼の熱のない眼差しは
人生に諦めのようなものを感じさせます。
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主人公であるエドの心の声がストーリーの語り部です。
感情は無く、ボソボソと語り続けます。
しかしエド本人はほとんどセリフがありません。
気難しそうに煙草を吸って(吸いすぎ!)
感情もなく仕事をこなし
自分以外の人間を軽蔑し
かといって争うのも柄じゃないので
日々、無関心を演じて生きています。

妻の不倫に気付いても無関心なエド。
完全に冷えた関係でしたが
胡散臭い儲け話をもってきた
ペテン師との出会いをきっかけに
妻の不倫相手のデイヴを恐喝する事を思いつくのですが
それは妻への復讐というよりは
ちょっとした『いたずら心』に近い行動でした。
ところが、それをきっかけに
彼の退屈な人生に大きな波が押し寄せ
それを避ける術を知らないエドは波に呑まれて行きます。
自分の行動に責任を感じているようにも見えますが
転落していく事に関心が無いようにも見えます。

それからバーディ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い。
彼女が弾くベートーベンのピアノ・ソナタ『悲愴』
エドは心を奪われます。
今まで居場所の無かった人生に
小さな灯火を見つけたような感情が芽生えます。
やがて彼女の存在は、エドの心の拠り所になります。
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しかし『彼女に幸せになってもらいたい』という気持ちが
皮肉にも悲劇に拍車をかけてしまいます。
清楚でおしとやかに見えたバーディですが・・・
これがなかなかの曲者!
人は見かけによらないって事なのでしょうが
そこまでやるか!コーエン兄弟!

基本的に重たい映画ではありますが
時々入ってくるユーモアが笑いを誘います。
『未確認飛行物体』のエピソードって必要?って思いつつも
まんまとコーエン兄弟の罠にハマり笑ってしまいました。

金持ちばかりが得をする時代と根深い人種差別


客の髪を切って、髪の毛をゴミ箱に捨てる毎日。
エドはアメリカンドリームとは縁のない人物。
憧れているわけでもなく
むしろ嫌悪感を持っているように見えます。
たまに『他の人生があったのかも』と考えたりする程度。

それに比べて他の登場人物は
自信過剰な金持ち(決まってデブ)だったり
見栄っ張りで口ばっかりな人物が目立ちます。

例えばディナーの最中に
『日本兵は虫やら草の根っこやらを食っていた』
『ガリガリでニキビ面のアメリカ兵が日本兵に食われてた』

なんて品のない小話で大笑いするシーンがあったり
ドリスの従兄弟の結婚式に向かう途中
『イタリア人は大嫌い』と顔をしかめたり
人種差別丸出しのセリフがあります。

また裁判のシーンでは大げさな弁護士が登場し
陪審員のお涙を頂戴する大芝居をします。
とてもじゃないけど裁判とは言えない感じです。
簡単にねじ曲がる不条理な正義は
いかにも当時のアメリカ人といった感じ。
これらのシーンは
『どこにも属せない男』であるエドの孤独を強調して
魅力的に感じさせるエッセンスになっているような気がします。

エドはゲイなのでは?という説もあります。
たしかにそう感じさせるほど異性への興味を感じません。
妻の浮気にも無関心で
夫婦の関係は冷めきっているという事実や
女子高生からの色っぽい目線も拒絶したり。
でもゲイではないと思います。
エドにとってはセックスは厄介事なのでしょう。
興味がないわけじゃなく、面倒はごめんだという事。

あっさりとした幕切れと深い余韻 何度も見たくなる映画


ネタバレは避けたいので結末は書きませんが
とても急ぎ足で美しいラストシーンが訪れます。
実にあっさりとした皮肉な結末。
エドの言葉が走馬灯のように思い出され
不思議な余韻が残ります。

流れに身を任せるクラゲのような人生のエドですが
厄介事から逃れるような生き方をしていても
他人を不幸にしてしまう可能性がある
という事でしょうか。

『ちょっとしたきっかけで人生の歯車が狂っていく』
これこそコーエン兄弟の真骨頂です。








[ 2013/09/01 13:42 ] クライム | TB(0) | CM(0)