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『ペーパー・ムーン』 心に広がる柔らかい感動!見逃せない名作!

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『ペーパー・ムーン』
Paper Moon

監督 ピーター・ボグダノヴィッチ
1973年
アメリカ
103分

10代の頃に見たような気がします。
本編の記憶が曖昧だった為、廉価版を購入しました。

二人は詐欺の名コンビ 笑いと涙のロードムービー


あらすじ

冒頭はお葬式のシーンから。
母親を交通事故で亡くした9歳の少女アディ。
そこにいかにも胡散臭いモーゼという男が参列。
どんな関係かと尋ねると『女友達(バーで知り合った)だ』という。
身寄りのいないアディを不憫に思う参列者たちは
モーゼに『遠く離れた叔母さんの家まで送り届けて欲しい』と依頼する。
(車を持っているという理由だけで)

嫌々ながらアディを親戚の家まで送り届ける事になったのだが
このモーゼはとんでもないペテン師なのだった。
その商売の手口は非常にしょーもなく
インチキ聖書を売りつけて小銭を稼ぐ程度。

詐欺師と旅をする羽目になったアディ。
心底『マジかよ・・・このおっさん・・・』です。
ところが彼女は9歳ながら非常に賢く、度胸もあり
天才的な詐欺師の才能があるのだった。
いつしか二人は名コンビになっていく。
アディはモーゼに『私の本当のパパじゃないの?』と何度も聞くが
その都度『違う』と答えるモーゼ。
笑いと涙の奇妙な旅がはじまる。


ペーパームーンに腰掛けて


タイトルにある『ペーパームーン』とは
読んで字のごとく『紙の月』です。
昔はカメラを持っている人なんてそうそういませんでした。
記念写真といったら写真屋が定番でした。
あとお祭り会場などで『写真はいかが?』と声をかける出店があります。
記念写真の背景として人気があったのが
三日月に腰をかけて撮影する『ペーパームーン』です。
実際には木で出来ていたという話ですが(笑)
基本的には家族や恋人同士で写すものですが
この映画ではアディが一人で写しています。
モーゼにも『一緒に撮ろう』と誘うのですが
『あとで』と冷たくあしらわれてしまいます。

アディは旅の別れ際、車の座席にその写真をそっと置いて行きます。
一人でつまらなそうに月に腰をかけているアディの写真には
『モーゼへ アディより』というメッセージが書かれていました。

映画を観終わってからDVDのジャケットに目をやると
二人が並んでペーパームーンに腰掛けています。
映画の結末のにある物語を感じさせます。

観終わった後の爽快感!完璧な作品


あえて『モノクロ』で撮影された作品なのですが
このモノクロの美しいこと!
光と影、乾いた砂けむり、微妙な表情の変化などが引き立ってます。
凝った演出や構図に頼らず
シンプルなストーリーを丁寧に描く事
カット無しの長まわしで得られる緊張感
それに物語を理解した役者。
当たり前の条件が揃う事で
こんなにも素晴らしい作品になるんだなぁと感動しました。

大それた事件がおこるわけでもなく
大げさに涙を誘う演出もありません。
それでも観終わった後の心地良さは極上
ある意味パーフェクトな映画のカタチがここにあります。

道中での皮肉たっぷりの口喧嘩も楽しく
二人が協力し合って詐欺をはたらくシーンも滑稽です。
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印象に残るセリフは多々あるのですが
『大人になっても男をだますような女にはなるなよ』なんてセリフがあり
まさに『どの口が言ってるんだ!』って感じですが
不思議と胸が熱くなります。

ちなみにモーゼとアディ、二人は実際の親子なんですよね。
アディ役のテイタム・オニール
わずか10歳でアカデミー助演女優賞(最年少受賞記録)。

ジャンルとしてはロードムービーになりますが
全てのジャンルを通してみても
これほど美しくまとまった作品はなかなかお目にかかれないと思います。
一度は観ておくべき作品。
これこそ映画。








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[ 2013/08/23 20:14 ] ロードムービー | TB(0) | CM(0)

『ひまわり』 メロドラマで描く反戦映画 感動的なテーマ曲は必聴

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『ひまわり』
I Girasoli

監督 ヴィットリオ・デ・シーカ

1970年
イタリア フランス ソビエト連邦
101分


前々から気になっていた映画『ひまわり』です。
マルチェロ・マストロヤンニソフィア・ローレンが主演する
『反戦映画』なのですが
戦争そのものではなく、戦争によって引き裂かれた夫婦を描く事で
戦争の残酷さを描いています。


戦争の残酷さを、『待つ側』から描くメロドラマ


簡単なあらすじ

第2次世界大戦の中、
ジョバンナ(ソフィア・ローレン)
アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は結婚するが
幸せの絶頂にいた二人を引き裂くように
アントニオは、極寒のソ連戦線へと送られる。
やがて戦争が終わり世の中は平和を取り戻すが
アントニオの生死はいまだ不明で
夫が生きている事を信じて疑わないジョバンナは
アントニオを探しにソ連へ旅立つ。
長い歳月をかけてようやく夫の居所を探し当てたジョバンナだったが
アントニオは現地で助けられた女性と結婚し子供までいたのだった。

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と、このように書くと
イタリア男浮気しただけの話に思えますが
そんなに単純な話ではないのです。

アントニオは過酷な戦地で倒れ
猛吹雪に埋もれて瀕死の状態でした。
『死んだ方がマシだ』と生きる希望を捨てた時
美しいソ連の娘マーシャに助けられます。
彼女の必死の看護のおかげで一命をとりとめたアントニオでしたが
記憶を失っていたのでした。

壮絶だった戦地、救出までの経緯を聞かされたとは言え
ジョバンナは納得がいきませんよね。
夫の帰りを待ち続け、絶対に生きてると信じ続けた結果がコレかと。
湧き上がる怒りと、裏切られた悲しみ。
だけどマーシャを責める事はできないというやり場のない思い。
アントニオの姿を見つけた瞬間、全てが終わったのだと絶望します。
そのまま汽車に飛び乗り、涙を流してその場を去りました。

アントニオはジョバンナを見つけた瞬間、言葉を失い
彼女をどれだけ傷つけてしまったかを悟ったような表情でした。
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この時点では記憶は戻っているようです。

彼女を見た瞬間に思い出したのか?

一時的に記憶を失っていたが
今では記憶は戻っていてそれを隠していたのか?

そもそも記憶を失ったというのは嘘だったのか?


今となってはどれが事実であるかは問題ではありません。
ジョバンナは去ってしまったのです。

かつての二人ではなくなっていたという悲劇


戦場でアントニオと一緒だったという男が
『地獄だった。助ける余裕なんてなかった』と語るシーンがあります。
その言葉に対しジョバンナが
『あなたは彼を見捨てたのね!』と男を責めます。
愛する夫を待つ切実さから出た言葉なのでしょうが
『平和な国で待っていただけの女』である事が露呈します。
彼女にとって戦争とは『異国』の話であり
新聞やニュースでしか知る事ができないものなのです。
『地獄』という言葉にリアリティを感じていない事がわかります。

また、事情はどうであれ
結果的にジョバンナを裏切ったアントニオですが
戦場という地獄で生死をさまよい
正気を失い、全く別人になってしまったしても
それはアントニオが悪いのではなく
戦争が引き起こした悲劇だと言えます。
『ジョバンナがどんな気持ちで自分を待っているのか』ではなく
『マーシャの優しさ』にリアリティを感じていたのでしょう。

愛し合っていた二人が戦争に引き裂かれた事は悲劇ですが
それだけではなく考え方や価値観を狂わせてしまい、
かつての二人ではなくなっていた事も悲劇でした。
ジョバンナにとっては『夫の死』を知らされるよりも辛い事でした。

この映画の一番の悲しさは『まだお互い生きている』という事かもしれません。

胸を締めつけるラストシーンとヘンリー・マンシーニのテーマ曲


タイトルである『ひまわり』ですが
夫を探してたどりついたソ連で画面いっぱいに映し出されます。
美しいひまわり畑の下には戦没者が埋葬されているのだとか。
鮮やかな黄色で埋め尽くされた圧倒的な風景です。

会いたいという気持ちだけで言葉の通じない異国をさまよい
ひまわり畑の中をあてもなく歩くジョバンナは
かつてのハツラツとした輝きを失っていました。
風に揺れるひまわりの美しさがそれを強調します。
そしてやっと会えたアントニオの裏切りが
さらに彼女を追い詰めます。
一緒に暮らしていたマーシャ(リュドミラ・サベーリエワ)の
眩しいほどの若さを見た時
どれだけ悔しかったかを思うと。。。
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また、印象的なシーンには必ず列車が使われています。
・戦地へ旅立つ夫を乗せた列車。
・帰還を信じて夫の写真を手に列車を待つジョバンナ。
・夫に妻と子がいる事を知り、逃げるように飛び乗った列車。
・再会しても感情がすれ違い、永遠の別れとなる列車。
特にラストシーンは胸を締めつける名シーンです。

エンドロールで流れるヘンリー・マンシーニのテーマ曲(名曲!)とともに
画面いっぱいに広がるひまわり畑の美しさ。
出会ったばかりの二人の幸せなシーンが思い出され
この映画の結末をより悲しく忘れられない作品にしています。

女性に人気のある作品ですが
単なるメロドラマではなく『反戦映画』としての存在感を感じる映画でした。








[ 2013/08/22 19:06 ] ヒューマン | TB(0) | CM(0)

『ベニスに死す』 切なくも悲しいおっさんの恋!頑張れおっさん!

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『ベニスに死す』
イタリア語 Morte a Venezia
英語 Death in Venice


監督 ルキノ・ヴィスコンティ
1971年
イタリア フランス(合作)
131分


ヨーロッパ映画の名作と言われる『ベニスに死す』ですが
この映画はかなり特殊な映画。
おっさんが美少年に恋をしてムラムラするだけの映画です。
ある意味カルトムービーと言ってもいいかもしれません。
『心に残る大傑作!』と賞賛された映画ですが
『退屈』『気持ち悪い』と否定的な意見も多い作品です。
その気持ち。。。凄くわかります(笑)

本作はトーマス・マンの小説が原作。
親交があった作曲家のグスタフ・マーラーの死に触発されて書いたそうです。
映画化するにあたり、主人公の職業を作家から作曲家に変更していますが
そもそもモデルが作曲家なので
原作者の意図に近い作品になっています。

h心を奪われた者の醜さと『老いる事』の悲しさ


簡単なあらすじ

心臓発作で倒れた作曲家のアシェンバッハ(ダーク・ボガード)は
静養の為、イタリアのベニスにやってきた。
そこでタジオ(ビョルン・アンドレセン)という名の美少年に目を奪われる。

つねに『芸術とは?』『美とは?』という
芸術家の永遠のテーマを背負ってきたアシェンバッハだったが
タジオの驚異的ともいえる美貌を目にした瞬間から
完全にタジオの虜になってしまう。
タジオへの憧れは日に日に大きくなり
異常ともいえるほど彼を求めるようになるが。。。


恋が止まらない!ダーク・ボガードの名演と見事な脚本


美少年に心を奪われてしまったアシェンバッハ。
一方的かつ圧倒的に盛り上がっていくタジオへの愛!
その愛情表現は不器用にもほどがあり
ただただ見つめるという粘着質っぷり!
最初は遠くで見つめるだけでしたが
だんだん大胆になっていくさまは
まるでコントのようです。
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脂ぎったおっさんが目をハートにしてるわけですから
とんでもなく無様で醜いのですが
あまりに一途に思いつめているので
『ほら!なにやってんの!話しかけるチャンスだよ!』
いつの間にか応援したくなってきます(笑)

ただひたすら美少年を追い求める老人ですが
若く美しいタジオは残酷なほど輝いていて
強くなる憧れと比例するように
自分の老いを痛感していきます。
やがてどんどん衰弱していき
生命の輝きを失っていくアシェンバッハ。
見ていて切なくなります。

表面的に観るとこれほど馬鹿馬鹿しい物語はないのですが
愚かで醜く思えていたアシェンバッハが
やがて自分の事のように感じ始め
最終的には『老いる事の悲しさ』が重くのしかかってきます。
ダーク・ボガードの名演と見事な脚本に拍手!
特別な何かを感じる映画です。

タジオの美貌 下品で不純な世界


『ベニスに死す』を語る上で
タジオの美貌について書かないわけにはいきません。
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いや~よく見つけてきたな~と思うほど
ビョルン・アンドレセンの性別を超えた美しさは驚異的。
少女漫画に出てくる美少年そのもの!

そのタジオの美しさを強調するかのように
彼以外の人々やベニスという街が
やたらと下品に描かれているのが面白いです。

例えば、アシェンバッハはベニスにたどり着くまでに
違う方向へ進みたがる船頭と口論になったり
蒸気船では顔を白く塗った不気味な老人にからかわれたりと
さんざん不愉快な思いをします。

また、宿泊したホテルのサロンには
世界各国からの観光客が集まっているのですが
いかにも金持ちのバカンスといった雰囲気で
貴族のように豪華な服、宝石を身にまとい
大声で笑ったり、豪華な食事を楽しんでいる姿は
不思議と下品に見えます。

それから観光客をカモにする騒がしい4人の楽団。
道化師のように顔を白く塗り、前歯はかけています。
さんざんおひねりをもらっておきながら
帰り際に顔をしかめて舌を出して帰っていく下品な男です。

路地裏に入ると観光地とは呼べないほど汚く
おまけに大量の消毒液が撒かれている悪臭の街。
『何故消毒液を撒いているんだ?』と聞いても
誰も本当の事を言いません。
実は疫病が流行り始めているのですが
観光の街ベニスにとって旅行者に逃げ出されるのは死活問題
みんな口を揃えたように『知らない』と言います。

下品で不純な世界にひっそりと佇むタジオは輝いて見えます。
それは『若い』とか『純粋』なんて言葉では言い表せない
絶対的な『美』の象徴のように感じます。

気難しそうな母と、幼い妹たちとバカンスにきている事と
それほど楽しそうには見えない事以外は謎のタジオ。
セリフが少なく、どのような人物か知る事ができません。
彼は退屈そうにも見えますし
楽しんでいるようにも見えます。
そのミステリアスな魅力に
アシェンバッハは心を奪われてしまったのです。

映画史に残る『美しく』『醜い』ラストシーン


自分が老いていくのと止められないアシェンバッハは
理髪師にそそのかされて
髪を黒く染め、化粧を施します。
白塗りに口紅で道化師のようになったアッシェンバッハ。
まるで船で見かけた不気味な老人そのもの。
本人はそんな事に気がつく気配もなく
少しだけ嬉しそうなのが悲しいです。
もう見てられないほど痛々しいのです。

ここから一気にクライマックスへ。
『美しさ』『醜さ』が入り混じる残酷なラストシーンは驚愕。

数あるヨーロッパ映画の中でも
かなりクセのある内容だとは思いますが
40年以上経った今も『奥深くて美しい芸術映画』と愛される作品なので
映画ファンであれば一度は観ておきたい大傑作です。
に鑑賞するのがオススメです。







[ 2013/08/22 11:39 ] ドラマ | TB(0) | CM(0)

『ヴァージン・スーサイズ』 ソフィア・コッポラの初監督作品!

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『ヴァージン・スーサイズ』
The Virgin Suicides

監督 ソフィア・コッポラ
2000年
アメリカ
97分


『ヴァージン・スーサイズ』

テレーズ、メアリー、ボニー、ラックス、セシリアという
美しい5人の姉妹の物語なのですが
直球な青春映画ではなく
ちょっと変化球な作品。

ソフィア・コッポラの初監督作品


原作『The Virgin Suicides』はアメリカの作家、
ジェフリー・ユージェニデスが1993年に発表した小説。
放題は『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』です。

ソフィア・コッポラは個人的に好きな監督なのですが
好きな理由の一つは音楽センス!
彼女の作品はいつも音楽が注目されます。
例えば『ロスト・イン・トランスレーション』では
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインを使ったりと
いかにもロック好き(サブカル寄り)なのが伺えます。
ちなみにソニック・ユースとは個人的な親交があるのだとか。
たしかに仲良さそうな感じがしますね!(雰囲気)
実は今作、ソニック・ユースのサーストン・ムーアが
彼女に原作の本を渡した事がきっかけだそうで
彼が映画化を知った時
『彼女が映画化するほど気に入るとは思わなかった』と思ったとか。

四女ラックスを演じたキルスティン・ダンスト
2006年公開の『マリー・アントワネット』で再びソフィア・コッポラとタッグを組み
マリー・アントワネットを演じています。

学園一のモテ男トリップを演じるのはジョシュ・ハートネット(若い!)
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なかなかのルックスで笑わせてくれます。
『パール・ハーバー』『ブラックホーク・ダウン』『ブラック・ダリア』
と話題作に出演して人気者になりました。
ちなみにシン・シティではザ・マンという殺し屋で出演しています。

女の子の心の闇は誰にも見つけられない


近所の男の子達の憧れの的である五人姉妹は
神秘的であり、魔性の女であり、幽霊のようであり
摩訶不思議な存在として描かれています。
まるで男の子の幻想がもたらした
浮世離れした存在のような雰囲気があります。

実際の女の子の心には闇があり
それは誰にも知られないひっそりとした領域に隠されていて
男の子はもちろん、大人たちにも見つける事はできないのです。

この作品は末娘のセシリアの自殺未遂から始まります。
バスタブに浮かぶセシリアの顔が映し出されます。
彼女は聖母マリアの絵を持って手首を切ったのです。
発見が早かった為、彼女は一命をとりとめます。
病室でドクターは彼女に問いかけます。

『何故こんなマネを?人生のつらさも知らん若さで』

セシリアはこう答えます

『先生は13歳の女の子じゃないもの』

この映画の鍵と言っていいこのセリフ。
『ヴァージン・スーサイズ』は
大人たちが知らない女の子の心の闇と
静かに崩壊していく家族を描いています。
それはセリフやナレーションだけではなく
微妙な表情や、ポップだけど空虚な映像
淡々とした音楽が続く事で表現されています。
その独特の空気感はソフィア・コッポラならでは。


ややネタバレあり。彼女たちに何がおこったのか?


セシリアはとても繊細な女の子でした。
厳しいだけで子供を理解しようとしない母親
そんな母親に遠慮している頼りない父親
男の子の前では下品なほどイイ子ぶる姉たちと
知的障害者の男の子を歌わせてゲラゲラ笑う男の子たち。
どこにも自分の居場所がないセシリアは
家族や友達からも浮いています。

セシリアは家の前にある大きなニレの木が好きでした。
しかしそのニレの木は病気で切られる事が決定していました。
関係あるのかはわかりませんが
この世の最初の女性はニレの木から作られたという神話があります。
汚染され、切られる運命のニレの木に対して
何かしらシンパシーを感じていたのかもしれません。

映画は途中から四女のラックスを中心に話が進んでいきます。
ラックスは学園で一番のモテ男のトリップと恋をしますが
突然に終わりをむかえます。

やがて彼女は誰彼かまわず男の子たちを連れ込み
近所に見せつけるように屋根の上で情事にふけるようになります。
それは別れたボーイフレンドへのあてつけか
理解しようとしない両親への反抗なのか。
彼女の中で少しずつ何かが壊れ始めているのがわかります。

ラックスだけでなく他の姉妹たちも
セシリアが何故自殺をしようとしていたのか
徐々に理解し始めているようでした。
やがて家族の関係は修復不可能となり
衝撃の結末をむかえます。

ボタンの掛け違いのように崩壊していく家族


真面目な数学教師である父親ですが
この家では誰も父親の言葉に耳をかたむけません。
娘の自殺未遂をきっかけに、家族との距離を縮めようと努力しますが
すでに父親の威厳はなく
やがて観葉植物に話しかけるようになり
自分の世界に閉じこもっていきます。
彼もまた可哀想な人物です。

それとは対照的に非常に厳格な母の存在。
もともと厳しい母でしたが、ある事件をきっかけに
娘たちへの態度はエスカレートしていきます。
アレはダメ、コレはダメと縛り付け
お仕置きとして大切なレコードを奪い
泣き叫ぶ娘を尻目に暖炉で燃やしてしまいます。
※キッスとエアロスミスなのが笑えます
ついには学校を休ませて家庭に閉じ込め
友人にも会わせない。
完全に外界から遮断します。

それはまるで美しい鳥を籠に閉じ込めて
餌と水を取り替えるだけのような育て方。

しかしこれは母の愛情からくる行動でした。
悪い虫がつかないように、怪我のないように。
ですが『娘たちを傷つけたくない』という強すぎる気持ちの裏には
『自分が傷つきたくない』というエゴが見えます。

母は娘たちの気持ちを知ろうともしません。
『傷つきやすいから守らなければ』
『間違った行動させぬよう大人が見張らなくては』

その理屈のみで育てられる娘たちは
皮肉にも心を蝕んでいきます。

娘たちは、その仕打ちが愛の形だと理解しているからこそ
『反抗』は母を悲しませる事だと知っています。
また、どんなに憎んだとしてもそれは罪悪感に変わり
やがて自分を責める結果となります。
逃げ場のない状況で絶望していきます。

どこかで掛け違えたボタンに気がつく人間はいませんでした。
それ以前に簡単に解決できないものが
この家庭にはあったのかもしれません。

おとぎ話のような後味 ソフィア・コッポラのセンス


本作に限らずソフィア・コッポラ監督は
女の子たちを可愛らしく撮る事にこだわっています。
美しい姉妹がふざけあったり、アイスクリームを食べたり
お揃いのドレスを着てワクワクしながら出かける姿。
部屋でゴロゴロしているだけでも可愛らしい!
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しかしこの姉妹
血の通った人間というより
可愛くて不思議なものの象徴として存在しています。

エンドロールが流れる頃には
それが遠い昔に起こった事のような気持ちになり
実際何があったのかを見失ってしまう
おとぎ話のような雰囲気があります。
実際この映画の全ての登場人物は
『いったい何が起こったのか?』を理解できていません。

セミの鳴き声が聞こえなくなった事に気がついて
そこでやっと夏の終わりを知るような
過ぎ去ってしまった季節に少しだけ後悔が残るような
ソフィア・コッポラのセンスが光る不思議な映画です。









[ 2013/08/21 15:14 ] 青春 | TB(0) | CM(0)

『ショーン・オブ・ザ・デッド』 ロンドンの街がゾンビだらけ!ベタなのに新しい傑作

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『ショーン・オブ・ザ・デッド』
Shaun of the Dead

監督
エドガー・ライト

脚本
エドガー・ライト
サイモン・ペグ

2004年
イギリス
99分

ゾンビ映画の大傑作『ゾンビ』をパロディにした作品です。
『~オブ・ザ・デッド』というタイトルには
どうしても反応してしまいます。
それほど期待しないで鑑賞したのですが
これが馬鹿にできない作品でした。

舞台はロンドン!新感覚ゾンビムービー


舞台はロンドン。
家電量販店に勤務するショーンは
何事にも熱くならない煮え切らない男。
つまり『のび太』的なグータラサラリーマン。
その無気力な性格が災いし
ついに3年も付き合っているガールフレンドのリズと破局。
振られたショックから同居人のエドとともに一晩中ヤケ酒。
二日酔いで目が覚めると街中にゾンビだらけ!(なぜ?)
まずい!こうしてはいられない!と
離れて暮らす母親と別れたばかりのリズを助け出す為
とりあえず倉庫で見つけた鈍器を片手にサバイバルが始まる。

ロンドンが舞台になっているのが大きなポイントです。
アメリカのゾンビムービーにある
暑苦しく埃っぽい空気や
ハイウェイなどの風景が見当たらず
テンションの高い登場人物がいません。
ロンドンっ子ならではの
『ちょっとひねくれた性格』が効いていて
熱くなりすぎないのが新しい感じ。
『イギリスだとこうなる』という映画に仕上がっていて
それが他のゾンビ作品にない個性になっています。
例えば名作『ゾンビ』ではスーパーマーケットに籠城しますが
今作ではイングリッシュパブに(笑)

またアメリカと違い銃社会じゃないので
銃以外で戦う姿も面白い!
ちなみに主人公のショーンはバットで戦うのですが
これが野球のバットじゃなくクリケットのバット!
※クリケットとは?
イングランドで生まれた
バットとボールを用いるスポーツ。

どこかお洒落な雰囲気があります。
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絶体絶命!・・・でもなさそうな映画


武器が見当たらず
ゾンビにレコードを投げつけるシーンがあるのですが
これがまた音楽ファンのツボをついた会話が繰り広げられます。

『おい!今投げたの何だ!』
『ブルー・マンデー』
『初回版だぞ!』
『じゃあプリンスのパープル・レインは?』
『絶対ダメ!』
『バッドマンのサントラ』
『要らない』
『ダイアー・ストレイツ』
『投げていい』
『ストーン・ローゼス』
『ダメ』
『セカンド・カミングは?』※ローゼスの2nd。賛否両論
『俺は好きなの!』
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ここらへんのマニアックな内容も含め
呆れるほど呑気なおしゃべりが多く
絶体絶命の緊迫感が台無しになっているのも面白い!
基本的に彼らの会話は全然重要な内容ではないので
意味がわからなくてもまったく支障はありません。

それから何といってもクイーンの曲の使い方!
これほど下らないシーンはゾンビ映画史にないでしょう。

ロメロも大満足の『ゾンビ愛』


『ロメロの大ファンが作った映画!』という事で
ゾンビ映画への愛が溢れる作品。
テンポの良い展開が続き、物語も練られており
ロメロ特有のグダグダ感がないので
映画としてはこちらの方が断然優れています。
(が、しかしロメロは映画界の宝なので注意)

ちなみにこの映画を見た元祖ゾンビ監督のロメロは
えらくご機嫌だったらしく(ゾンビが出てれば何でもいいのかも)
主演のサイモン・ペッグと監督のエドガー・ライトは
ロメロ作品『ランド・オブ・ザ・デッド』にて
ゾンビ役で出演したようです。
なんだか微笑ましい話ですね。
ホラー映画が好きな人って
一度はゾンビになってみたいなーと思うんでしょうね。

ゾンビ映画の面白さを凝縮!ツッコミどころ満載の傑作!


ホラー映画に絶対必要な
『美女ではないが、なかなか塩梅のいい女』
『チームワークを乱す感情的な男』もちゃんと出てきます。
冴えない男がゾンビに襲われつつ
奇跡的に生き延びる様はなかなか痛快で
『そんな方法があったか!』という助かり方まで披露。
なかなかの緊迫感の中
超くだらない笑いが、そこかしこに散りばめられた馬鹿映画です。
ゾンビ初心者におすすめ!









[ 2013/08/16 14:18 ] コメディ | TB(0) | CM(0)

『ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春』 青春ロードムービーの大傑作!

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『ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春』
DeadHeads

監督・脚本
ブレット・ピアース&ドリュー・T・ピアース

2011年
アメリカ
95分

ここ最近観たゾンビ映画の中では
ぶっちぎりに面白かった作品です。
ゾンビ映画と言ってもホラー映画ではありません。
青春映画です!


ゾンビとしては半人前?ゾンビではなく半ゾンビとは?


冒頭のあらすじ
マイクは目をさますと、ゾンビになっていた。
森をさまよっているとブレントというゾンビ仲間に出会う。
彼が言うには我々は『半ゾンビ』といわれる状態で
ゾンビである事以外、普通の人間とさほど変わりはないのだとか。
マイクはプロポーズしようとしていた恋人がいた事を思い出し
渡すことができなかった指輪を持って彼女に会いにいく旅に出る。


半ゾンビとして蘇ったマイクは話すこともできますし
過去の記憶に胸を痛めたりと普通の青年となんら変わりありません。
人間としてのモラルも持ち合わせているので
人を食べちゃいけないという事もわかっています。

この半ゾンビという設定は絶妙で
ゾンビである事に縛られることなく
すでに死んでるので撃たれても平気だったり
腕がとれたら気合でくっつけたりと
『そんな馬鹿な』くらいのテイストで使われています。
なんと言っても
『彼女に会いたい。でもなぁ…俺ゾンビだし』
という切なさ!
これは青春映画なのです!


映画ファンが本気を出した傑作 スプラッタームービーの遺伝子


監督であるブレット・ピアース&ドリュー・T・ピアースの父は
『死霊のはらわた』の特殊効果に携わっていたらしく
劇中でも『死霊のはらわた』を主人公達が見るシーンがあります。
今作は気の利いたパロディやオマージュが散りばめられていて
映画が好きなんだろうなーと思わせるシーンが多々あります。
製作期間中は、スタッフが逮捕されたり(ゲリラ撮影などで)
資金難に苦しんだりしながら5年という歳月をかけて完成させた力作!
こんな下らない映画に本気になれる・・・最低すぎて最高です。

メガネがトレードマークの主人公マイクはマイケル・マッキディ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観て
役者を志すようになったと書いてありましたが
車が故障するシーンで『次元転移装置が!』と叫んでみたり
とっさに出た偽名が『ジョン・コナー(ターミネーター2)』だったりと
映画ファンである事が随所に見られて面白いです。
関係ありませんがグリーンデイのビリーにちょっと似てます。

マイクの親友となる半ゾンビのブレント(ロス・キダー)が本当にいい!
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下品で笑い上戸でお調子者だけど、いざとなったら友情に熱い!
恋愛話しながらビールをゴクゴク飲むゾンビって初めて観た!
こんな友人がいたらなーって思います。

ブレントはいわゆる普通のゾンビ(喋れない)に
チーズという名前をつけ、ペットとして飼っていているのですが
このチーズもいい奴なんです。ブレントの事が大好きで
危機的状況では頼りになる勇敢なゾンビです。
ロメロの『死霊のえじき』に出てくるバブみたいな存在ですね。

他にもゾンビハンター、ヒッチハイクで知り合う老人などなど
なかなか個性的なキャラクターが登場します。


恋人へ一直線!爽快なストーリー


恋人へ一直線!といったロードムービーなのですが
途中でゾンビハンター達の襲撃にあったりとなかなか順調にはいきません。
狙撃されたり、腕がとれたりと壮絶なバトルがあったりします。
※ゾンビなので死にません。
旅の途中、ヒッチハイクで知り合う老人クリフとの出会いと別れ
恋人との再会するシーンは驚く程切なくて
まさかゾンビ映画で泣くとは思いませんでした。

特にクライマックスの爽快さは素晴らしい!
エンディングテーマも気持ちいいですね。
※曲名は「Say Hi」で合ってるのかな?
この曲はスカッとしたギターサウンドで
ラストシーンまでの盛り上がりにバッチリはまってます。
サントラが出てないようなのですが
クレジットにWritten by Michael McKiddy
マイケル・マッキディ(マイク役)の名前があるので
この映画のオリジナルなのかもしれません。


同じようなテイストの映画としては
『ショーン・オブ・ザ・デッド』
『ゾンビ処刑人』

あたりがあげられると思うのですが
今作はゾンビ映画である前に青春ロードムービーであり
たまたま(?)主人公がゾンビだっただけなので
ゾンビ映画として期待して鑑賞すると
「あれ?」と肩すかしを喰らうかも。

下らなくて切なくて
最後には全力で主人公を応援してしまうような
痛快青春ロードムービー。
超おすすめ。







[ 2013/08/10 18:00 ] 青春 | TB(0) | CM(0)

『シン・シティ』 超人気アメコミをロドリゲスが実写化!美しすぎる映像に酔いしれる!

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『シン・シティ』
sin city

監督・脚本
ロバート・ロドリゲス
フランク・ミラー

特別ゲスト監督(?)
クエンティン・タランティーノ

2005年
アメリカ
124分


ここまでアメコミの世界感を再現できている映画はありません!
『愛』が溢れる究極の作品と言えます!


監督が3人!エゴのぶつかり合い


原作者で監督のフランク・ミラーはコミックライター兼アーティスト。
ハードボイルドな男を描いた作品は世界中で人気があります。

ロバート・ロドリゲス『デスペラード』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』など
スピード感溢れるバイオレンスシーン
勢い任せのバカっぽい展開
涙が出るほど下らない小道具を使った演出などで
絶大な人気を誇る監督です。

皆さんご存知クエンティン・タランティーノ
『パルプ・フィクション』『キル・ビル』など
複雑なプロットと、馬鹿馬鹿しい物語
まったく意味のない会話や、ド迫力の暴力シーンが特徴ですね。
超がつくほど映画オタクで、ロドリゲスとは大の仲良し。
映画好きであれば知らない人はいない有名監督です。
特典映像で確認したところ
タランティーノは、あるシーンのみメガホンをとってます。
これがいかにもなシーンで笑っちゃいます。
この二人、本当に仲良しだなぁ。

この三人に映画を撮影させたらどうなるか?
大体想像できる自分が嫌になりますが(笑)

実際見てみると、いい意味で期待を裏切る作品でした!
三人の個性が上手い具合に融合して
豪華な俳優がそれぞれ最高の仕事をしているという
なんとも贅沢な作品です。


命を賭ける男達 シンシティの世界


この映画は
『同じ街でおこった3つのエピソード』で構成されています。

EP1「ハード グッバイ」

EP2「ビッグ ファット キル」

EP3「イエロー バスタード」


3話に直接的な関連性は無い(?)のですが
どれも女性のために命を賭ける男達のストーリーです。
彼らは様々な陰謀に巻き込まれ、奇妙な運命を辿ります。


圧倒的な映像美!ただのモノクロ作品とはワケが違う!


この作品は全編に渡ってコントラストの強いモノクロ映像なんですが
部分的にビビッドなカラーが使用されています。
光と影だけの世界に
口紅の赤や、グリーンの瞳などの鮮やかな色が
突如挿入されるのですが
これがまた溜息が出るほど美しいのです。

この技法はこの物語にバッチリはまっていて
血みどろのバイオレンスなシーンを
あえてモノクロ映像で描く事で残酷さを薄めたり
それとは逆に、絶妙なタイミングでカラーを使用する事で
その場面が印象的なものに変化して
リアルに感じるという不思議な効果があります。
実験的な試みですが、
コミックスの登場人物が実際に動き出したような
独特の世界観に仕上がっています。
お見事の一言です。


セリフで魅せる男の美学


カッコイイ男と美女。徹底的にハードボイルドな演出。
そして何よりも男たちのセリフが素晴らしい!
これがもう鳥肌が立つほどのかっこよさ!

長い時間をかけて悲鳴を上げさせ殺してやる
その時そいつが味わう苦しみに比べたら
死んだ後に落ちる地獄など天国に感じられるはずだ


よくもまあこんな言い回し思いつくなーという名セリフがたくさん!

とは言ってもロバート・ロドリゲスです。
渋い映画にする気配はなく、
ありえない展開を繰り返すB級映画の醍醐味が満載!
毎回斬新な殺し方を披露するロドリゲスですが
今作も素人にはなかなか思いつかない殺害方法を魅せてくれます。



個性派揃い!豪華すぎるシン・シティの住人


ブルース・ウィリスが演じるハーティガンが主役ではありますが
ミッキー・ロークが演じたマーヴという大男のインパクト!
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このマーヴが最高なんです!
と、偉そうに書いていますが、
素晴らしすぎる特殊メイクのおかげで
最初ミッキー・ロークだと気がつきませんでした。

ナンシー役のジェシカ・アルバは相変わらずキュートです。
ロドリゲスの『マチェーテ』にも出演していましたが
こちらの作品の方が彼女に合っているような気がします。

娼婦街の女王ゲイルを演じたロザリオ・ドーソンがいい!
強くて美しい!魅力的に演じていました。

殺人兵器・ミホ役はデヴォン青木。
セリフなしではありますが、凄い存在感!(特に顔)
たしか彼女もマチェーテにも出てたなーと思って調べてみたら
シェリル・チンという別人でした。。。そっくり!
全然気がつかなかった。。。

他にも癖のある俳優陣がシン・シティで大暴れしています。
でも不思議とぶつかり合う印象はなく
それぞれが見事に映画の世界に染まっているのは
みんなノリノリで演じているからでしょう。

そうそう『ブレードランナー』ルトガー・ハウアーも出演!
ルドガー・ハウアーが出てると『おおお!』と思ってしまいます。
なんというか・・・顔がいいですよね。好きな俳優です。


続編『シン・シティ: ア・デイム・トゥ・キル・フォー』が10月4日公開!


『シン・シティ』の続編である作品
『シン・シティ: ア・デイム・トゥ・キル・フォー』の公開が決定!
現時点で発表されている公開日は2013年10月4日!
延期が続いているので、ちょっと不安ではありますが。。。
今回出演が決定している俳優を見るだけで期待しちゃいます!

ジェシカ・アルバ
ジョシュ・ブローリン
ロザリオ・ドーソン
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット
エヴァ・グリーン
ジェイミー・キング
ミッキー・ローク
ブルース・ウィリス


おお!凄い名前がたくさん!
これは期待させますねー!

監督はもちろん
フランク・ミラーとロバート・ロドリゲス!
脚本ももちろん
フランク・ミラーとロバート・ロドリゲス!

そして。。。

音楽 ロバート・ロドリゲス!
撮影 ロバート・ロドリゲス!!
編集 ロバート・ロドリゲス!!!









[ 2013/08/09 12:14 ] アクション | TB(0) | CM(0)

『イレイザーヘッド』 カルト映画の巨匠はデビュー作からぶっ飛んでます!

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『イレイザーヘッド』
Eraserhead

監督 デヴィッド・リンチ
1977年
アメリカ
89分


製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果
すべてデヴィッド・リンチ!
彼の長篇映画デビューがこの『イレイザーヘッド』です。

ちなみにイレイザーヘッドとは
鉛筆に付いている消しゴムの事らしいのですが
主人公ヘンリーの髪型はまさしくイレイザーヘッドといった感じ。
でもそれだけじゃなさそうな意味深なタイトルです。


奇才・デヴィッド・リンチの原点


デヴィッド・リンチといえば
登場人物の感情や、物語の時間軸が不明瞭で
さらに現実の明確な線引きをしない事で
見る者を不安にさせて、深読みさせて
独特の世界観を描くという作品が多いのですが

この長編デビュー作『イレイザーヘッド』は、
その後のリンチ作品の原点とも言える
不安、恐怖をあおる耳障りなサウンドと
馬鹿馬鹿しくもショッキングな展開、
意味不明だが淫美でグロテスクな物語という
リンチの個性を強引に詰め合わせたような
怪物のような作品です。


これはまさに『悪夢』そのもの


寝ている時に見る夢って
たまに夢だと気がつく事ってありませんか?
もの凄く怖い夢を見ていても、
あまりに突飛な展開や、ありえない登場人物の出現に
『あれ?これは夢でしょ?』って気がつき
そこで微妙に軌道修正されて夢がまた続いていくという。

この映画はまさに『悪夢』そのものです。
物語が暴走して、これ以上進みようがない行き止まりが見えて
これからいったいどうなっちゃうの?と思っていたら
ストーリーは強引に軌道修正され
『一方その頃』といった感じに物語が再開されます。
結果、物語は超難解なものとなり
支離滅裂な結末へと向かっていくのですが
これだけ滅茶苦茶な展開なのに
なぜか最後まで目が離せないのが不思議です。
『夢なら覚めて欲しい』と願う人をあざ笑うような
不気味な魅力があります。


悪趣味なキャラクターが勢ぞろい


奇形に精神異常者
悪趣味な登場人物ばかりの映画ですが
個人的に一番印象に残ったキャラクターは
ラジエーターの女(ローレル・ニア)です。
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主人公ヘンリーがラジエーター(暖房器具)を覗き込むと
そこには小さなステージがあり
両頬に大きなコブを持つ女が
サーカスみたいな音楽にあわせて
恥ずかしそうにチョコチョコと横移動するという場面があります。
まったくもって意味不明ですが
最高に不気味でゾクゾクします。

彼女が歌うシーンもあるのですが
現実逃避讃歌とも言える、なんとも薄気味悪い歌です。

 天国ではすべてがうまく行く
 天国には悩みなんかない
 天国では何でも手に入る
 あなたの悦びも私の悦びも
 天国では何もかもいい気持ち


これがまた耳から離れなくなる名曲!
オルガンのみで演奏されて
ボンヤリとした声で歌われるこの曲は
いかにもデヴィッド・リンチ的なサウンドで
この映画のハイライトと言っていい場面だと思います。

後にツインピークスでこれに似たイメージを使っているので
デヴィッド・リンチ作品の入門編とも言える作品です。
いや・・・入門編にしてはカルトすぎるかもしれませんが。。


深読みさせる天才 正しきカルト映画の世界


ソニックユースの音楽や、ピカソのスケッチのように
雑音や落書きにしか思えないものが
恐ろしく美しいものに感じられる瞬間があります。
リンチのぶっきらぼうなストーリーと独特な映像美は
それぞれの捉え方によって違う解釈を生み出し
世界中を熱狂させています。
デヴィッド・リンチは深読みさせる天才。
この映画も驚くほど様々な解釈がありますが
リンチ本人でさえ説明のつかない映画なのかもしれません。

観る者にとっては完全なる駄作であり
今後の人生に全く必要のない作品でしょうが
一度彼の魅力を知ってしまったら最後。
さらなる地下へ地下へと潜って行きたくなります。

というわけで万人に推薦できる作品ではありませんが
カルト映画の金字塔とも言える『イレイザーヘッド』
デヴィッド・リンチ作品をもっと知りたい方は必見です!








[ 2013/08/08 18:12 ] カルト | TB(0) | CM(0)













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