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『ヒドゥン』1年半振りの更新!若き日のカイル・マクラクラン出演!地球のものとは思えないほど(?)美しい!超おすすめB級SF!身体がボロボロなら今すぐ取り替えよう!

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『ヒドゥン』
The Hidden

監督 ジャック・ショルダー

1987年
アメリカ
95分





今回紹介する映画は『ヒドゥン』(The Hidden)という作品です。

1987年のアメリカで公開されたジャンルでいうとSFホラー(?)なのかな。
アクション盛沢山なので印象としましてはホラーテイストってな感じ。
若き日のカイル・マクラクラン(ツインピークスのクーパー捜査官ね!)が出演。
かつて日曜洋画劇場(淀川さん!懐かしい!)で何度か放送されたこともあり
知る人ぞ知る隠れた名作として今でもコアな層に人気のある作品です。


しかしながら『ヒドゥン』ってタイトル。
気になりますねー。だってヒドゥンですよ?
なんでしょうかねヒドゥンって。
初めて口に出した言葉。ヒドゥン。
翻訳してみると『隠された』と出てきます。
なにがヒドゥンなのか観てみましょう。


ロス市警は大混乱!凶悪犯罪勃発、犯人は死亡、なのに続く凶悪犯罪??


ロス市警叩き上げの刑事ベックは、カーチェイスの末、凶悪殺人犯を逮捕する。
逮捕されたデヴリーズという男を調べると
近所での評判もよく温和な紳士だった。
平凡だった男がなぜ突然に殺人、銀行強盗など
数々の凄絶な事件を引き起こしたのか?
混乱するベックだったが、重傷を負ったデヴリーズは搬送先の病院で死亡。
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ある日、ロイド・ギャラガーと名乗るFBI捜査官がロス市警を訪ねてくる。
シアトルで起こった連続殺人犯を追ってきたというギャラガーは
見た目は真面目なエリート風だが、どこか奇妙で浮世離れしたところがある。
ベックは煙たげに彼を追い返そうとするが、ギャラガーは強引に居座るのだった。
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ギャラガーは『事件は解決していない。必ず次の事件が起きる』と言う。
彼の言葉通り再び凶悪事件が発生。犯人のミラーは射殺されたのだが
実はこのミラーという男、デヴリーズが死亡した病院で同室だった男だった。

信じがたいことだが、この凶悪事件のすべては『同一犯』の犯行であり
人から人へと体に乗り移る、『異星人』によるものであった。



次のボディを手に入れろ!小賢しいヒドゥンの大抵抗!


な に こ れ 面 白 い !

こんなに面白い作品をスルーしていた自分をぶん殴ってやりたい!


この作品はちょっと特殊なバディ物ですね。
『メン・イン・ブラック』のウィル・スミス&トミー・リー・ジョーンズ
『リーサル・ウエポン』のメル・ギブソン&ダニー・クローバー
『48時間』のニック・ノルティ&エディー・マーフィーなどなど
性格が真逆の二人が喧嘩をしながらも事件に挑むパターンの作品。
ベタっちゃベタですが、このヒドゥンは一味違います。


まあ何が違うかっていうと犯人は異星人なんですね。
じゃあ『メン・イン・ブラック』と一緒じゃないかって話ですが
異星人が人間に化けているわけではなくて
人間のボディを拝借して、好き放題やっているわけです。
真人間だった奴が突然凶悪犯になったっていうのは
異星人に寄生されちゃったから・・・というわけです。


異星人っていうのも何となく回りくどいので
異星人=ヒドゥンとしまして
乗っ取られた人のことを『ヒドゥンされちゃった状態』という事にしますと
最初にヒドゥンされたデヴリーズは銀行強盗を行ったあと
黒いフェラーリで爆音で音楽を聴きながらカーチェイス。
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街中大暴れして結局は車が爆発。やがて病院に担ぎ込まれます。
ボロボロの状態で虫の息のデヴリーズですが、ヒドゥンは元気いっぱい。
たまたま病室で隣り合わせたミラーはネクスト・ヒドゥンのターゲットに。


ヒドゥンされちゃったミラーは凶暴な性格に豹変!
再び凶悪な(しょうもない)犯罪を繰り返します。
これがまたやっかいなことばかりします。
つまりヒドゥンを直接退治しないとこの事件は解決しませんよってことです。


話はそれますがこのヒドゥン。
本体は『かたつむりのお化け』みたいな生物。
かたつむり?っていうかサザエの気持ち悪い部分みたいなやつ。
性格は凶暴中の凶暴。すぐに殺す。躊躇なし。即殺人。
高級車が好きだったり、なぜかB級パンクが好みだったり
なかなか癖の強い性格の持ち主。
レコード屋でテープやラジカセを万引きしたり(店主を殺すから強盗殺人)
高級車を見つけては手に入れたりと欲望のままに行動するのですが
なにをするにも唐突なので思わす笑っちゃうほど。
すぐ人を殺しちゃうのですが、なかなか憎めないところがあります。


それを踏まえてヒドゥン真っ最中のミラーですが
まあやりたい放題で大暴れ。
ファースト・ヒドゥンであるデヴリーズの硬派なノリは皆無で
シュッとしたデヴリーズとは打って変わって普通のおっさんミラー。
言っちゃ悪いが凶悪犯罪が似合わない!だからこそ突拍子もない行動が笑える!
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どこにでもいそうなおっさんが盗んだラジカセ爆音でレストランで食事!
高級車欲しさに人殺し!もうそのギャップに萌えまくり!
もう前半だけで名作決定の面白さであります。


ネクスト・ヒドゥン・ターゲットとなるのはセクシーなストリッパーなのですが
それはそれでまたなんとも魅力的なヒドゥン。こいつも大暴れです。
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顔色一つ変えずにぶっぱなす系。やっかい。


その後、犬ヒドゥンを挟んで
何度かヒドゥンを繰り返し(ツッコミどころ多すぎて書ききれない)
最終的にヒドゥンするのが警察の同僚だったりするのですが
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こいつがまたヒドゥンされがちな顔で(もはや勝手な基準)
乗っ取られ感が最高!彼こそベスト・オブ・ヒドゥン!


どのヒドゥンでも言えることですが、ま~しぶとい!
最期の最期まで抵抗をするのですが、このバトルが痛快で面白い!
ヒドゥンのしぶとさ!生き残る執念!
『絶対に捕まるもんか!』これがこの映画の核になっています。


まあそうなるよね。マクラクラン。もう一人の異星人


主演レベルなのにずーっと無視してきたマクラクランさんですが
彼の浮世離れした発言に行動、それに端正なルックス!
地球のものではないなって予感はしていたのですが(早い段階から)
やはり彼も異星人でした。
地球に来る前から凶悪ヒドゥンと追いかけっこしていたという。
FBIに化けていたのも追いかけっこの中で止むを得ずという流れ。
ここらへんの雑な(失礼!)説明不足加減は嫌いじゃないです。


彼は『ヒドゥンを殺すにはこれしかない』っていう銃を持っているんですが
これがまた美術学校に行ってるやつが卒展で作ったくらいのショボめの光線銃!
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そしてそのズッコケデザインの光線銃の威力は絶大!
ここまでくると情報が色々渋滞してきて咀嚼が大変!


何が起こっても涼しげな顔をしているロイド・ギャラガーが面白くて素晴らしい!
マクラクランあんた最高だよ!
この演技が認められたのか、キャラクターに惚れ込んだのか
デヴィッド・リンチ『ツイン・ピークス』に大抜擢されたわけです。
めでたしめでたし。好きだったよクーパー捜査官。


ここまでの話をまとめて映画の内容を説明しますと
【異星人VS異星人】にロス市警が巻き込まれたって内容なわけです。
前半で書いた『特殊なバディ物の作品』ってのはそういう事です。
理解し合えていないので純粋なる相棒って感じではないんですね。
最後まで適度な他人感を維持しているというのが
この映画にプラスの作用をもたらしています。たぶん偶然。


あれ?面白さ伝わってない?観なきゃ体験できないよ!Let's・ヒドゥン!


この作品に関しましては分析するようなものは何もなく
とにかくひたすらに面白く興奮できる作品です。


なにがいいの?って言われたら『最後まで飽きない!』ってこと。
本当にテンポがいい!音楽もいい!演者も楽しそう!
アクション映画としてもSF映画としても中途半端なところはありますが
この時代にどこの誰がこんな面白い映画作れるの?って思います。
まさに目からウロコ。


あ、あとオープニング!
防犯カメラ映像みたいな演出がカッコイイ!
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ザラついた映像。なにかとんでもないことが起こる予感。
タイトル出てくるところだけ何度も見ちゃった。


そうなんだよ!これだよ!こういうのが欲しかった!
色々面倒くさい事を言っている奴らが薄っぺらく見えます。
理屈じゃねーんだ!そうだよな?ヒドゥン?
そうだと言ってくれよ!ヒドゥン!










[ 2020/04/13 22:09 ] SF | TB(0) | CM(1)

『メッセージ』 やられたー!ブレードランナー 2049の ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品!すべての映画ファンに観てもらいたい心を揺さぶる傑作

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『メッセージ』
Arrival

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作 テッド・チャン「あなたの人生の物語」

2016年
アメリカ
116分




大変ご無沙汰しております。
二年ほどしか生きていない小さい人間は今日も大暴れで
ひっくり返って怪我をして泣いてと大忙し。
夫婦揃って一喜一憂しながら子育てに奮闘中です。
お子がグースカしたタイミングを見計らって
チマチマ映画を観ています。

その中でも群を抜いて面白かったのが
大傑作『ブレードランナー 2049』でメガホンをとった
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』という作品。
アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む主要8部門にノミネート。
今まで見たことがない新しいタイプの『考えさせられる映画』です。
これ本当にすごい。。。

SFの中では『ファーストコンタクト』と呼ばれるジャンルの映画。
異星人と地球人との接触を描く王道的な内容なのですが
この作品は『宇宙人がやってきた!どうしましょう!』という
単純なパニックものではありませんでした。


原作のタイトルが『あなたの人生の物語』です。

『あなた』に対し語りかけている人物。
語りかけられている人物。


『あなたの人生の物語』という言葉は
冒頭とラストシーンをつなぐ大きなキーワードです。



あらゆる常識が通用しない異星物に語りかける。『私は人間です』と


地球上の12カ所に謎の巨大な物体が到着する。
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目的は不明。あらゆるコンタクトを試みるが反応はない。
打開策がみつからないままの状態が続き、非常事態宣言が発令。
全世界はパニックとなり、略奪や暴動がおこる国まであった。


危機的状況を打開すべくアメリカ軍は
言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)と
物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)を招集。

ルイーズは最愛の娘を失った悲しみから
フラッシュバックに悩まされていた。
彼女は断片的に繰り返される記憶に苦しみながらも
異星物との接触という任務を引き受ける。

18時間おきに訪れる
異星物『ヘプタポッド』とのコンタクトのチャンス。
政府は言語の早期解読を要求するが簡単な作業ではなかった。
ルイーズは語りかけるのではなく
文字でのコミュニケーションを試みる。
ようやくヘプタポッドは反応を示し、謎の文字を描く。
ルイーズは、徐々にヘプタポッドの目的を理解していく。
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各国それぞれがあらゆる手段を使い異星物との接触を試みる。
しかし各国政府は情報を共有しながらも『機密情報』は遮断。
醜い競争意識。信頼関係は崩壊。
世界は『飛行物体との全面戦争』という危機へと向かっていく。




泣いた!
これはやられたー!(笑)


この作品は非常にインパクトのある
超大作のSFでありながら
一人の女性の生き方を描いた物語でもあります。
しかしながらここを深く書くとネタバレになります…
さて、どうしたものか(笑)



『使う言語が異なる=考え方・価値観が異なる』


世界が一つになることの難しさは
『考え方・価値観』の違いを
お互い尊重できるのかがカギとなります。

日本人は表現が曖昧なんてよく聞きます。
まあたしかに『いいです』とか『大丈夫です』って
YESという意味でもNOという意味でも使いますしね(笑)
行間を読む会話というのもありますし
それに空気を読むなんて要素が入ってきたりして。

『考え方』→『言語』なのか
『言語』→『考え方』なのか


世界各国から見たら日本人は
意味不明な生き物なのかもしれません。
しかし同じ人間であるならば
お互い分析しあう事でコミュニケーションは可能であり
いつかは価値観を理解しあえるでしょう。

しかし相手が宇宙からのお客様だったら?
高度な文明を持つ知的生命体だったら?
人間の常識である『時間』という概念もなく
始まりも終わりもない世界で生きているものだとしたら?


アメリカ軍は藁にもすがる思いで
言語学者と物理学者を招集しますが
二人ともよくこんな過酷なミッション引き受けたな…(笑)

ルイーズとイアンは必死で分析します。
文字の形から『こういう意味があるのでは?』と推理し
何度も何度もコンタクトを続けます。

各国の政府は手に入れた情報は『機密』として
自国の手柄にしようと企んでいます。
やがて世界中の信頼関係は崩壊して情報は遮断されます。
同じ人間同士でも理解しあえないのに
巨大なタコみたいな生き物とコンタクトとれるのかねぇ。。
結局『攻撃せよ!』みたいな馬鹿も出てくるし。

あーもう全然うまくいかない!あとみんな自分勝手!
っつーかそもそもこれって正解あるの?
ヘプタポッドって喋るの?口あるの?

知れば知るほど深まっていく謎と
なかなか前に進まない言語の解明
人間たちのイライラが執拗に描かれていて
観ているこちらもモヤモヤ(笑)


ちなみに異星物『ヘプタポッド』が書く(?)文字
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こんな感じなのですが

単語・主語・述語という概念ではなく
この一文字に全てが表現されているとしたら??
宇宙の果てを想像できないように
見れば見るほど恐ろしくなってきます。

ルイーズはヘプタポッドを理解するため
あらゆる方向に思考を変化させ分析します。
そして徐々に相手のメッセージを理解していくのですが
最終的にはルイーズ自身が
時間という物理的概念を超えていきます。

そしてルイーズは気がつくのです。

過去と現在と未来
彼女の断片的な記憶
フラッシュバック


パーソナルな苦痛だと思い込んでいたそれらは
全て意味があったのだと。

世界の緊張が高まっていくのと同時に
ルイーズの心の奥底へズームしていくストーリー。
こういう物語ってあるようでなかったなと思います。
後半にかけて鳥肌立ちました。



難しい役を見事に演じているすばらしい出演者


派手さはないけど、見事な脚本とすばらしい演技!
たくさんの人に見てもらいたい!
そして観終わった後に「すごい良かったよねー!」と共有したい(笑)
本作に出演している役者さんを少しだけ紹介します。

言語学者のルイーズを演じるのはエイミー・アダムス。
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ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』
スーパーマンの『マン・オブ・スティール』に出演してる女優さん。
人類の危機を救うべく頭脳をフル回転させながらも
未来に向かって歩き始める一人の女性。
非常に難しい役柄を見事に演じています。


物理学者のイアンを演じるのはジェレミー・レナー。
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『ハート・ロッカー』で主役を演じた俳優さんで
最近は『アベンジャーズ』シリーズのホークアイ役でお馴染みです。
ちなみに彼にはシンガーソングライターという一面もあり
歌は勿論のことギターにピアノ、ドラムまで叩いちゃうという多才っぷり。
本作ではルイーズのよき理解者であり
ヘプタポッド文字の分析に大きく貢献します。


二人を招集したアメリカ軍ウェバー大佐を演じるのは
名優のフォレスト・ウィテカーです。
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数々の作品に出演していますが
私の中では『スモーク』のサイラスの印象が強いです(笑)
軍人ならではの理不尽な物言い
ルイーズの研究の進め方を理解しながらも
軍人としての立場を曲げないという気難しさ。
確かな演技力で画面がピシーっと締まりますね。


本作の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
『ブレードランナー 2049』で注目を集めた監督です。
今のところハズレなしで面白い!
2010年の『灼熱の魂』という作品がかなり良さそうなので
近々観ようかなと思っています。



あなたもきっとルイーズの『人生の選択』に涙するはず


ラスト15分。
『メッセージ』というタイトルの意味と
原作がなぜ『あなたの人生の物語』というタイトルなのか
あなたは全てに気が付き
感動の涙が流れ
そしてもう一度この映画を観なくてはならなくなります。

過去と現在と未来は
今まさに同時に起こっている出来事。

ルイーズは未来へ歩いていきます。
いつか愛する人を失う日が訪れるとしても
心がグシャグシャになるほど傷つく未来が待っているとしても
その悲劇的な人生から逃げてはいけないと。

愛するものに出会えた喜びと
一緒に過ごした幸せな日々は
一生心の中で続いていくのだなと
とても大切なことを教えてくれる映画です。











[ 2018/11/16 11:51 ] SF | TB(0) | CM(0)

『ブレードランナー2049』 【SF映画の金字塔】35年振りの続編!目の前に広がる2049新世界!お帰りなさいデッカード!はじめましてK!

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『ブレードランナー2049』
Blade Runner 2049


監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作総指揮 リドリー・スコット

2017年
アメリカ
163分



公開前からこんなにワクワクして待っていた映画って久々!
SFの金字塔『ブレードランナー』が実に35年ぶりに帰ってきた!

前作の監督リドリー・スコットは製作総指揮にまわり
本作はドゥニ・ヴィルヌーヴがメガホンをとります。
昨年『メッセージ』(残念ながらまだ観てない!)で注目された監督。

前評判やら予告などの情報を全てシャットアウトしつつ生活しまして
最高のコンディションで意気揚々と劇場へと向かいました。




心と記憶を持つレプリカント 人間との境界線はさらに曖昧に



前作の後の世界の説明と冒頭のあらすじ

タイレル社はレプリカントに4年の寿命年限を設定していたが
その後制限のないレプリカント『ネクサス8型』を開発。
しかしそれをきっかけに『人間至上主義運動』が勃発。
人間によるレプリカント狩りという暴動が頻発。
ネクサス8型は逃げ惑う。

アメリカ西海岸で核爆発が引き起こされ
電気通信と電磁気記録に壊滅的被害が出た『大停電』が発生。
時同じくしてレプリカントは法律で製造禁止となりタイレル社は倒産。

2036年、科学者ウォレスは旧タイレル社の資産を手に入れ
レプリカント禁止法を廃止させる。
より従順で寿命制御も可能なレプリカントネクサス9型を製造。

そして2049年
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地球の気象異常と生態系崩壊はますます悪化。
初夏でも雪が降り続くロサンゼルス。

新型レプリカント『K』(ライアン・ゴズリング)は
『ブレードランナー』として旧型レプリカントを処刑する職務に就き
家ではウォレス社製の家庭用AI(ホログラム)である
ジョイ(アナ・デ・アルマス)と恋人として過ごす日々を送っていた。

Kはロサンゼルス郊外で逃亡レプリカントを処刑。
アジトを調べると、庭の木の根元から箱を発見する。
中身は遺骨で、検死の結果帝王切開の合併症で約30年前に死亡した
女性型レプリカントであることが判明する。





素晴らしいーーーッッ!
期待を裏切らない名作!


前作のブレードランナーを見ている人なら
絶対に観て欲しい・・・
いや観ない理由がない作品です!
今回、何が素晴らしいって
ライアン・ゴズリング演じるレプリカント『K』!
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誰からも愛されない悲しきレプリカントの孤独な生き様。。
心から『頑張れ!』と応援したよ!(笑)

観終わってからよくよく考えてみると
前作から大きく変わったのは『主人公像』なのかも。

前作のデッカード(ハリソン・フォード)
何というか感情がよくわからないタイプの人物で
職務に対して真面目なのか不真面目なのかも不明で
行動にもムラがあったり(わりと過剰な行動が多い)
観ているコチラに感情移入させないタイプ。
それどころかいつのまにか
敵役のロイ・バッティ(ルドガー・ハウアー)
どっぷり感情移入してしまうという不思議な作品(笑)
人間として生きたいと願う4年寿命のレプリカントは
寿命間近となりギラギラとした輝きを放つ。
ルドガー・ハウアーの鬼気迫る演技はもはや伝説の域。


しかし本作のレプリカント『K』ですが
彼はデッカード、ロイ・バッティ両方の要素を兼ね備えています。

レプリカントを処刑するブレードランナーとして働き
誰からも愛されることなく職務をこなす孤独な日々。
これはまさしくデッカード。

人間と同じように認められたいという願い。
自分の存在理由を模索する姿はロイ・バッティと重なります。
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一緒に暮らすホログラムの彼女『ジョイ』との会話は癒しですが
所詮、プログラムによってご機嫌をとるAIです。
心を満たすことはありません。

前作のデッカードより
Kの方が人間的というのも不思議ですが
これにより主人公に対する感情移入がよりスムーズになり
本作の大成功につながっています。

人工的に植えつけられた記憶。
幼い頃の思い出。
これは作り物だと理解しつつも抗えない姿。。
どこまで可哀想なんだと(笑)
ラストシーンまで彼に持って行かれっぱなし!
まんまと泣かされました。。。




新しい試みと構築された新世界 単なる続編では終わらない



世界中から注目を浴び
批評家からも高評価のレヴューを得ていたにもかかわらず
本作が全米で封切られた最初の週末の興行収入は
事前の予想を大きく下回ったのだとか。

まずは2時間43分という上映時間。
たしかに長い!(笑)
派手なアクションが少ないSFもの。
どちらかといえばサスペンスものですからね。
25歳以下の客層は寂しい数字なのだとか。
たしかに会場年齢層高かったな。。。

でもこれって前作『ブレードランナー』と一緒。
ハリソン・フォード主演のSF新作と聞いて
スターウォーズのような作品を期待して
観に行ったファン達から
総スカンを喰らったと聞きます。

しかし超絶に構築された近未来の世界観と
知れば知るほど深みにはまっていく魅力的な物語
レプリカント達の強烈なキャラクター
土砂降りの雨の中で輝くギラギラしたネオン
じっくりと時間をかけてファンを増やし
今ではカルト映画・SFの金字塔と呼ばれる程の人気作に。

この作品の影響力は凄まじいもので
『ブレードランナー』以降
未来の描き方が完全に変わってしまったと言っても
過言ではありません。

さて、話を新作に戻しましょう。
本作『ブレードランナー2049』は
前作の影響を丸出しにした作品ではなく
あくまでベーシックな世界観の延長上に
独自の美学を構築した作品といえます。
続編にふさわしい新しいブレードランナーの世界。
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例えば前作の印象的な『雨』の描写。
もちろんオマージュ的なシーンは多々あるのですが
本作では、より静寂を増した『雪』へと変化。
さらに核爆発後のラスベガスを『真っ赤な砂漠』に。
地球だとは思えないほどの風景です。。。
どちらも本当に美しいのです。1カットが芸術作品。
特に奇をてらった演出ではありませんが
この気候の変化は本作の物語をより深いものにしています。




出演者についても少し。

ホログラム彼女のジョイの可愛さは反則(笑)
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まさに究極の電影少女。
この子の健気さも痛々しく悲しい。

一生触れ合うことができないと思っていたKと
唯一繋がれる方法を見せてくれますが
ハッとさせられるほど美しく切ないラブシーンです。



デッカードの老いぼれ感!!
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大丈夫かよ!と心配になるほどでしたが
心配ご無用!
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めっちゃくちゃ強い!!
パンチが重い!体重全部のせるタイプのパンチ!
Kが『話を聞いてくれ』と言っても撃つわ殴るわ(笑)
ある意味昔と全然変わっていませんでした。

『デッカード=レプリカント説』というのがありましたが

例 1
 デッカードの記憶に出てくるユニコーン
 ユニコーン=架空の生き物
 架空の生き物の記憶=人工の記憶


本作でもそれは不透明な描き方をしていますね。
個人的にはあんな強いジジイいてたまるかって感じです(笑)



前作のレイチェル(ショーン・ヤング)が
スクリーンにあの当時のままの姿で現れた時の衝撃!
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これは背格好が同じ人に演技してもらい
過去の映像を駆使して作成したものらしいです。
もうそんな事ができる世の中なのか。。。



本作のラスボス的存在はこのラヴさん
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カワイイ名前とは裏腹に冷酷な殺人マシーンです。
誰よりも社長に褒められたいという女子力高めな一面もアリ。
まー・・・強い。本当に強い。すげー怖い。





極力ネタバレなしで書いたつもりですが
最後に一言。

過去・記憶に突き動かされて生きてきたKですが
過酷な旅のラストに『人間として本当に大切なこと』を悟ります。

『過去・記憶なんてものは所詮幻のようなものである』
『人としての価値は自分の行動で決まる』


彼の勇気ある行動と決断に感動しない人はいないでしょう。
もう涙なしでは。。

ラストシーンの美しさ。
どうかご自身の目で確認してください。









[ 2017/11/29 15:27 ] SF | TB(0) | CM(0)

『遊星からの物体X』 SFホラーの大傑作!寒い!怖い!逃げられない!だってここは孤立した南極基地!仲間の中にモンスターがいるかもしれない…!

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遊星からの物体X
The Thing


監督 ジョン・カーペンター
原作 ジョン・W・キャンベル『影が行く』

1982年
アメリカ
109分


今回紹介する作品は『遊星からの物体X』です。
ジョン・カーペンター監督は以前紹介した
スプラッターホラー映画『ハロウィン』の監督です。
ハロウィンを低予算かつ短期間で作成し、大ヒットさせる事に成功した後
ハリウッド進出第一弾として発表したのがこの作品です。
1951年の『遊星よりの物体X』のリメイク的な位置にある作品ですが
原作である短編小説『影が行く』を忠実に映像化しているという意味では
まったく別物と言っていいでしょう。
現在話題になっている『寄生獣』も本作の影響を強く感じます。

実はこの作品、存在は知っていましたが観たことがなく
最近テレビで放送していたのを観て衝撃を受けました。
あらためてレンタルし直してノーカットを鑑賞。
続けてコメンタリー入りで観たので合計3回観てしまいました(笑)
いやー素晴らしい作品であります。


怖い!寒い!逃げられない!未知なる生物との戦いがはじまる!


あらすじ

1982年 アメリカ南極観測隊第4基地。

ノルウェー隊のヘリが、1匹の犬を追って着陸。
銃や手榴弾を使い犬を狙うが誤ってアメリカ隊員が負傷。
たかが一匹の犬のためにライフルを乱射するノルウェー隊員を危険とみなし
アメリカ基地の隊長は躊躇せず射殺する。

何故ノルウェー隊は犬を追っていたのか?
真相を究明すべくノルウェー基地へ向かった。
そこで目にしたものは、破壊された基地と
自殺し凍りついた隊員の死体
何かを取り出したと思しき氷塊
そして未知なる生物のおぞましい焼死体だった。

一方、逃げのびた犬は犬小屋に入れられた。
夜が更けるとともに犬はグロテスクな生物に変形。
異常を察知し駆けつけた隊員たちは、そのおぞましい生物に恐怖し
火炎放射器によって撃退。
隊員たちはこの異常事態にノルウェー隊に何があったのかを感じとる。

調査の結果、その生き物は取り込んだ生物に同化・擬態し
更に凄まじい勢いで増殖できることが判明する。
そしてその生き物はすでに隊員に寄生し始めているのであった。



これは凄い!
時代を超越した面白さ!

この映画のモンスターのセンセーショナルなビジュアルは
後のホラー映画に絶大なる影響を与えました。
あまりに独創的!あまりにおぞましい!

しかーし!
この作品はモンスターで怖がらせるタイプの映画ではありません。
あくまでも主役は人間!
閉鎖された南極の基地内で巻き起こる
未知なる生物との戦いがテーマなのです。
その生物の『あらゆる生物に変身する』という特性は
言葉にすると単純ですが
いざ敵になるとここまで厄介な生物はいません。
もしかしたらこの中にモンスターがいるかもしれないという不安。。。
『疑心暗鬼』という言葉がピッタリの作品です。
そういう意味ではSFでありホラーであり上質なサスペンスとも言えます。



疑心暗鬼が人間関係の崩壊をまねく いったい誰が…?


この映画の特徴と言えるのが『重要人物の多さ』です。
全員を把握しておくことが大切。
というわけで簡単ですが登場人物をまとめてみます。


マクレディ
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カート・ラッセルが演じる主人公。
ヘリの操縦士。
裏の設定では『ベトナム帰り』ということらしく
昼間からスコッチを飲みまくっているのはその為でしょう。
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一匹狼タイプの性格ですが、どのような危機的状況でも冷静で
感情に流されずに正しい選択ができる男です。
後半はリーダー的存在になりますが
決してリーダー向きじゃないんですよね。
止むを得ず先頭に立つといった感じ。



チャイルズ
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キース・デイヴィッドが演じる機械技師。
やや血の気の多い黒人です。
感情的になるとデカい声を出してしまうので
大男なだけあって手におえない感じ(笑)
マクレディとは対立してしまうのですが
生き残りたいという強い気持ちは同じです。



ギャリー
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ドナルド・モファットが演じる基地の隊長です。
融通の利かない性格で興奮すると適切な対応ができないタイプ。
映画のオープニングで犬(正体は物体X)を射殺しようとしていた
ノルウェー基地隊員を『頭がおかしい奴』と判断し射殺する。
やがて他の隊員から不信感を抱かれる事件をおこし
物体Xではないかと疑われはじめます。



ブレア
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A・ウィルフォード・ブリムリーが演じる生物学者。
コンピューター(時代を感じる)で
物体Xが地球を乗っ取るまでの時間を計算したり
物体Xの検死解剖でその恐ろしい生態を解明。
クルーの中で一番先に物体Xの脅威に気づきます。
物体Xの恐ろしさに耐えられなくなったブレアはパニックに陥り
基地内で大暴れの末、拳銃を乱射!
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他の隊員達に取り押さえられ小屋に監禁されます。
その暴れっぷりは凄まじいもので笑えます。



クラーク
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リチャード・メイサーが演じる犬飼育係
キャップに髭面の大男です。
犬とは心を通わせていますがどうも人間嫌いな雰囲気。
問題を運んできた犬と接触していた時間が長かったため
ブレアは『クラークが物体Xだ』と疑います。



コッパー
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リチャード・ダイサートが演じる医者。
全員の血液を管理していたのですが
すべての保管血液を床にぶちまけられる事件発生。
当然コッパーが疑われることになりますが
ギャリーも出入りできたという事実から
もう誰も信用できないという
隊員たちの不協和音が強まっていきます。



ノールス
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T・K・カーターが演じる調理師。
細身の黒人で、スティーヴィー・ワンダー大好きな若者コック。
なぜかローラースケートで移動しています。
モンスターにビビる顔は絶品。
日本語吹き替え版では何故かおネェ言葉(笑)
彼のビビり顔はなかなか絶品。



パーマー
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デイヴィッド・クレノン演じる第2ヘリ操縦士&機械技師
タバコ(マリファナ?)を吸う仕草や
言動がどこかチンピラ風です。
特にモンスターを見た時の
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『you gotta be fucking kidding(冗談キツいぜ)』は名言!



ノリス
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チャールズ・ハラハンが演じる地球物理学者。
前に出るタイプではなく、おとなしく気弱。
ギャリーが疑われ始めた時、代わりに隊長役を依頼されるが
『俺は無理』と断ります。
正義感は強いようですがどうも心臓に痛みがあるらしく
発作のような状態になります。



ベニングス
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ピーター・マローニーが演じる気象学者。
ツルっとした頭とヒゲのオッサン。
ギャリーとは10年来の友人らしい。
映画最初のノルウェー人のライフルが足に当たったり
物体Xに乗っ取られたりと散々な男です。



フュークス
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ジョエル・ポリスが演じる生物学者助手。
つまりブレアの助手です。
ブレアの様子がおかしいことに気がつき
研究ノートを盗み出すことに成功。
そこに記された恐ろしい事実を知り
たまらずマクレディに相談します。



ウィンドウズ
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トーマス・G・ウェイツが演じる無線通信技師。
個人的にお気に入りキャラで
ビビりなので他の隊員から馬鹿にされるとムキになったり
皆がモメ始めたらパニックになって逃げだしたりと
人間っぽさがとてもいい感じ。
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いつもビクビク。。。


といった感じなのですが
うーんやはり多いですね(笑)

コメンタリーでカート・ラッセルが言ってましたが
『男しかいないから登場人物の見分けがつかない』というのがこの映画の難点。
そうなんですよね。。。最初は戸惑うはずです。
しかし以上のメンバーしかいない南極という名の密室劇。
中盤までくるとそれぞれの人間的な魅力に気づき
一気に加速していくストーリーに集中できるはずです。

これからどうなってしまうのか先の見えない展開
逃げ場のない南極基地での戦い
追い詰められた人間の恐怖
人間不信になっていく隊員たち
その心理状態と、難局を打開しようとする姿を
役者陣が見事に熱演しています。

そしてお気づきでしょうか?
そうなんです。
本作には女性が一人も登場しません。

当時男しか出ない映画っていうのがとても珍しかったようで
それが批判的な意見となったという話も。
ところがこの女性のいない南極基地という世界が
無駄な描写(女性の悲鳴・ラブシーンなど)を一掃していて
この映画の面白さを倍増させているのは間違いありません。
贅肉をそぎ落としたアスリートのような感じ。

あ、名優がもう一人(?)いました!

犬!
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狼の血が入っているシベリアン・ハスキーは
とても警戒心が強く、目つきが鋭いのですが
その警戒心の強さが見事な演技を魅せてくれます。
映るたびに『凄い!凄い!』と興奮しました。
いやー本当にいい演技なんですよ。



☆個人的に好きだったシーン

監禁中のブレアの様子を見にきたマクレディ
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すると・・・なんか缶詰食ってる。。。
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『すっかり正気に戻ったよ。戻らせてくれ。』モグモグ。
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残念ながら、もうしばらく監禁されます。


☆もう一つ

まるでタラバガニを食うかのように解剖するブレア
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いちいち面白いんだよなーこの人(笑)



映画通をうならせる見事な演出とカルト的人気


今となってはSFの古典と言える
リドリー・スコット『エイリアン』
スティーヴン・スピルバーグ『E.T.』(なんと二週間差で公開!)と
宇宙への関心が高まっている時代の中で公開された本作ですが
どうにも興行成績は芳しくなかったようです。
そりゃーまあ一般的には難しいでしょうね(笑)

マニアックな描写が強烈すぎて
劇場では目をふさぐ人も多かったのだとか。
まあホラー映画ですから当たり前なんですけどね(笑)
しかしながらCGに頼らないSFX(Special Effects)技術の凄み!
グロテスクなクリーチャーの造形はもはや芸術品!
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よくもまあこんなモノ作り出したもんだと感動しました。
カルト的な作品に思われがちですが
エンターテイメント性あふれるSFホラーです!

『気持ち悪いの無理』って人にはすすめられませんが
『誰も観たことがない凄い映画を撮ってやるんだ!』という
監督や制作陣の強い意志が感じられる映画です。
怖いだけじゃなく、ちょっと笑えるシーンもあったり
『あーなるほどー』と感心するシーンも。
ややB級扱いされがちな作品ではありますが
時代を超越した面白さがあり、全く古さを感じさせません。
これってやっぱり作品の持つパワーだと思います。
記事を書いてたらまた観たくなってきました(笑)








[ 2014/12/15 22:16 ] SF | TB(0) | CM(0)

『ビデオドローム』 デヴィッド・クローネンバーグ監督作品!80年代を代表する超難解カルトムービー!延々繰り返される悪夢のような展開に耐えられるか?

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ビデオドローム
Videodrome

監督 デヴィッド・クローネンバーグ


1982年
カナダ
87分




今回紹介するのは『ビデオドローム』という映画です。
監督はデヴィッド・クローネンバーグ。
『スキャナーズ』『デッドゾーン』『ザ・フライ』『裸のランチ』などが
代表作と言われていますが
この『ビデオドローム』ってのがまたとんでもない作品です。
あまりに難解なため、製作費の半分も回収できなかったという
興行収入的には大失敗作なのですが
ビデオ化されてカルト映画として人気に火がついたのだとか。

町山智浩『クローネンバーグのすべてが詰まっている』と言わしめた
80年代を代表する超難解カルトムービー。
さてどんな映画なのでしょうか?



観たら最後!ビデオドロームの世界から逃げ出すことはできない


ケーブルテレビ局の社長を務めるマックスは
視聴者を熱狂させる刺激的な映像を日々探し求めていた。
セックス、暴力などを扱った過激なものである。
ある日、『ビデオドローム』という番組の存在を知った。
内容はひどいもので、物語は無く延々と拷問や殺人を映し出すもの。
いわゆるスナッフビデオというジャンルのもの。
マックスは出処のわからないその映像に興味を持ち
何とか自分の番組として手に入れようと考えるが
何者が、何処で、どういった趣旨で作っているのかもまるで掴めず
全てが謎に包まれていた。
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彼とともにビデオを観たガールフレンドのニッキーは
被虐的な体験に対する興味から一人でピッツバーグに向かい
『ビデオドローム』に出演しようと試みる。
マックスは映像の生みの親と思しき教授に接触し
ニッキーを取り戻そうと目論むが
教授に会うこともできず取り合ってもらえない。
ところが後日、教授からビデオテープが送られてくる。
そこには驚くべき内容が記録されていた。





あー!もうわけわかりません!
難解というよりも映画として自由すぎる!
簡単に説明すると映像作品『ビデオドローム』を見たものは洗脳され
日常生活でも幻覚を見るようになり
やがてマインドコントロールされていくという内容…。
いや…たぶんそういう内容だと思います。
というのも何度観たところで理解できないんですよねー。
ややこしい話なのに説明不足&急展開に振り回されます。
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不条理で気味の悪い物語を
インパクト大のグロテスクな描写でぶっちぎる作品という感じ。
そいういう意味ではクローネンバーグ節が爆発
ちょっとでもグロがダメな方には絶対おすすめできません!
※時代が時代なので作り物感はハンパないのですが


主役のマックスはジェームズ・ウッズです。
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この俳優大好きなんです。
何がいいって顔がいい!
神経質そうで目つきが悪い!
72年、エリア・カザン監督『突然の訪問者』で映画デビューした後
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』などで注目され
『サルバドル/遥かなる日々』ではアカデミー主演男優賞にノミネート。
社会派、クライムサスペンスなどに出演する事が多く
名バイ・プレイヤーとして活躍する俳優です。
本当によく見かける顔なので知ってる人も多いのでは?
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凄く頭がいい事でも有名なジェームズ。
IQ180の高い知能の持ち主!
『世界で最も頭のいい10人』の1人に選ばれた事もあるのだとか。


ニッキーを演じるのはデボラ・ハリー!
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デボラといったら1976年にデビューしたロックバンド
ブロンディのボーカルです!
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ニューヨークパンク創成期のバンドで
CBGBというライブハウスで人気に火がつき
デボラのキャラクターとキャッチーなサウンドで
あっという間に世界中が注目するバンドになりました。
『ハート・オブ・グラス』『ラプチュアー』『夢見るNo.1』といった
ディスコ、レゲエなどを大胆に取り入れたサウンドは今聴いても新鮮。
バンド以外でもソロ活動で5枚のソロアルバムを発表して
その後、女優としても活動しました。

実はブロンディの大ファンなんです。来日公演にも行きました。
歌いながら観客に靴をぶん投げたのを覚えています(笑)
でも映画は観てなかったんですよねー。なんでだろう?
ようやく観てみたら激カルト映画で驚きましたが(笑)
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アブノーマルな趣味をもつ女を演じているのですが
妙に似合っていてハマリ役だと思います。
なかなか色っぽいシーンがあります。
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唇のアップもエロい!

ヒロイン役がブスって書いてる人もいましたが
ブスじゃないでしょーよ!
顔立ちはミシェル・ファイファー系だし!
あ、デボラの方が13歳も年上だけど…。


欠落や矛盾を無視して突き進む不条理映像


本作の見所といったらやはりこだわり抜いた映像でしょう。
クローネンバークのメッセージ(?)を感じる
なんとも奇妙でグロテスクな映像の数々!
特殊メイクはマイケル・ジャクソン『スリラー』でお馴染み
リック・ベイカーが手がけています。
それがもうリミッターを振り切っているので
時間とともにストーリーがどうでもよくなっていくという。
理解しようと真剣に観ていただけに絶望的な気分になりました。

例えばこういったシーンがあります。

粘土の壁の前で拷問をうける女性のビデオ。
※しかも粘土には電流が流れているのだとか。何故!

テレビを見せ続ける事で、救いを得る事ができるのではないかという
薄気味悪い宗教めいた組織。

※今で言うところのインターネットカフェみたいな感じ(?)

マックスの腹にあいた穴。
その穴に差し込まれるビデオテープは生き物のように脈打つ!

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※グロなのでモザイクかけました。

モゾモゾ動く血管が浮き出たテレビ。
そのテレビにムチをうちこむマックス。

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もうやめて!
笑っちゃうくらい悪夢!



本作では『テレビ』がテーマになっていますが
現代では『インターネット』が近いのではないでしょうか。
『人類に対する警告!』なんて言うとカッコよく聞こえますが
基本的には悪ふざけです(笑)
テレビが人間に及ぼす有害な部分を
彼ならではのグロ映像で延々と見せるという
SF要素の強いホラー映画なのですが
まーよくもこれだけ好き勝手に撮影したものだと感心しました。
根底には皮肉がたっぷりですが悪趣味そのものです。
このやりすぎ感がマニアにうけたのでしょう。
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この映画の怖さはグロ描写でも薄気味悪い物語でもなく
『この監督はいったい何を考えてるのだろう?』という不気味さ。
次々巻き起こるわけのわからない展開に恐怖しました。
観る勇気がある人は是非是非!
ちょっとやそっとじゃ理解できないので
覚悟して観てくださいね!








[ 2014/04/14 00:01 ] SF | TB(0) | CM(4)