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『NINIFUNI』 わずか42分!我々は何を見たのか?を感じる映画 ※ももクロも出演!

eiga066.jpg
『NINIFUNI』
ににふに

監督  真利子哲也

2011年
日本
42分



2011年公開の短編映画『NINIFUNI』を紹介します。
『世界は僕に気づかない。』というコピーが印象的。
42分という短さです。

第64回ロカルノ国際映画祭招待作品と書かれていましたが
ロカルノ映画祭には短編部門がありますね。
ちょっと難解だったり普通の感覚で鑑賞できない
鑑賞者に対し挑戦的な作品が多く選出される映画祭です。

さてどのような映画なのか?
今回はネタバレありです。
ネタバレしないと自分の乏しい文才では
感想が書けないような映画でした。。。


主人公にセリフなし。使い分けられたカメラ。観るのではなく感じる映画。


簡単なあらすじ

殺風景な地方都市の国道沿いで強盗事件が起こる。
※二人組の犯人が従業員を脅し金を奪った。

犯行に及んだ青年(宮崎将)は車を奪い逃走。
あてもなく彷徨っているようでもあり
何かを探しているようでもあり。
ninifuni06.jpg
やがて人気のない海岸にたどり着いた青年は
練炭に火をつける。

数日後、ある男(山中崇)が車を発見する。
彼は何事もなかったかのようにその場から少し離れ
彼の指示のもと、ももクロのPV撮影が開始された。




この映画、一番の特徴は
主人公にセリフがない事。
主演は宮崎将
女優・宮﨑あおいのお兄さんです。
一人で歩き、一人で飯を食う。そして一人で死んでいく。
彼に言葉を発する機会はありませんでした。
本作の異質な雰囲気はまずこの『沈黙』にあります。

そして気になったのがカメラ

最初は手持ちのカメラがぴったりとくっついて
まるで自分が撮影しているかのような映像。
つまりその場にいるような錯覚になる目線。
しつこいくらいに長回ししています。
sashie131.jpg
男の足音、国道を猛スピードで走るトラックの音
無音の車の中でのラーメンをすする音など
日常よく耳にする音をそのまま録音。
そのリアリティがやや不気味です。

そして突然映画の雰囲気が変わります。
ninifuni07.jpg
山中崇が登場するシーンでは複数のカメラが
シーンをつなぎ合わせるという
いわゆる映画的な映像になります。
やっと映画が始まったような気分になります。

それから犯行が映し出された防犯カメラ

もう一人の犯人が連行された際の定点カメラ

そして最後は上空から見下ろす国道。

初めは人間が撮影している生々しさがあったのに
やがて人工的なカット割りを使用する映像になり
防犯カメラ、定点カメラでは人間らしさのない
機械の冷たさを感じます。
そして最終的には上空からの映像。
空中にいることでしか見る事ができない神様目線

だんだん人間らしさから離れていくような
実験的なカメラの使い方。
意図したものかはわかりませんが
個人的には面白い魅せ方だなと思いました。



本作の主人公がただ歩く長回し映像を観て
何かに似ているような気がしたのですが
1971年に放送された『さすらい』という作品でした。
ninifuni09.jpg
佐々木昭一郎が脚本・演出を担当した単発ドラマで
NHKアーカイブスで再放送していたのを観ました。

主人公が看板屋で働いたり、サーカス団について行ったり
米軍ハウスをまわったりという自分探しの旅を
これといった大きな展開もなくただ映しているような作品。
友川かずきや遠藤賢司が出てたので観たんですが
脚本ではなく『今起こっている事』を見せる事で
物語を感じさせるという、不思議な作品でした。
そのアングラっぽい雰囲気がツボで
再放送を録画して何度も観ました。

作品そのものは似ていませんが…
本作のさびれた街を彷徨う主人公の姿は
脚本や演出で動く俳優というよりは
ただの男として画面に存在しているよう見え
『さすらい』の主人公を思い出させました。
一見ダラダラしているような長回しも
根底にあるテーマと監督の狙いが重なり合うと
必然性を持つんだなぁと思いました。

腹が減る。
ninifuni03.jpg
マックのポテトを食う。
このマックのポテトってのがね。。。
なんとも虚無的です。

そしてまた腹が減る。
ninifuni04.jpg
カップ麺を選ぶ。悩む。

このカップ麺を選ぶ時間って
人生でもっとも無駄な時間に感じます。
私も凄く悩む派です。

結局、海鮮系をチョイス。
ninifuni05.jpg
車内に響くすする音が不気味。
こんな映像が続きます。



無関心という凶暴な行為 余裕のない人間の残酷さ


本作には『無関心』をテーマにしています。
無関心というのはとても残酷な事であるという事。
問題提起というとちょっと安っぽくなりますが。

しかしこの映画、もっと根深い何かがあるような気がします。

確かに主人公の自殺に無関心である登場人物達に
嫌悪感や不気味さを感じますが
それは『主人公の自殺』を軸に観ているからです。
でもこの主人公、冷静に考えると
全然可哀想じゃない!

主人公の自殺は身勝手な行動であり
強盗だって許される事ではありません。
さらに指名手配で世間を騒がせ
警察を振り回しているわけです。
コピーである『世界は僕に気づかない』
彼の身勝手な気持ちを表していると思います。

ラストシーンで運ばれていく車も
結局は他人の手を煩わせているという
象徴的な映像。


無関心の原因は『余裕の無さ』です。

 強盗で指名手配、生きる希望を見失い
 死に場所を探して国道を彷徨う男。

 死体を目の当たりにしながらも
 それを無かったかのように無視を決め込み
 今日のスケジュールを無事に終わらせたい男。
 ※山中崇が凄い!あの冷めた感じ

 少女という限られた時間を感じながらも
 大勢の視線を浴びながら
 必死に歌って踊るアイドルグループ。

 逮捕者が署内に入ってきても
 見向きもせずに働き続ける刑事達。


見る角度を変えると、誰もが余裕のない
ギリギリの生き方をしています。
この作品、全ての登場人物は
自分の人生を余裕なく生きているだけ。
余裕がない者は
他人への感心が希薄になり
時として人間らしさやモラルといったものが
単なるイデオロギーや綺麗事でしかなくなります。
言葉にすると残酷に感じますが
これは我々の日常として確実に存在します。


不思議なタイトル『NINIFUNI』に込められたメッセージ


『NINIFUNI』とは仏教用語の
『而二不二(ににふに)』という
『而二』『不二』の二つの言葉が合わさった言葉です。

而二は『表と裏』、『光と影』など
二つの面から物事を捉えること。

不二は、二つの面があっても、
その本質は一つであるという概念。

輝かしい未来を夢見ながら
必死に歌って踊るアイドルグループと
誰にも関心を持たれず
ただそこにあるものとして存在している死体を
同じフレームにおさめるシーンがあります。

主人公の『死』と、ももクロ『生』という
極端な二者を映す『而二』のシーンが
結果的に『不二』である事を感じさせるという
『NINIFUNI』というタイトルを象徴する
この映画のクライマックスといえる場面。
映画を観ている者に何かを感じさせようという
言葉のない強いメッセージがあります。

正直な話。。。
ここで終わってもよかったのでは?と感じました。
この先に待っているのは
事件の真相と犯人逮捕、裁判について
細かく丁寧に文章で説明します。
監督はどんな意図でこの文章を入れたんだろう?
確かにわかりやすくはなるんですが
十分伝わる映像作品なのに
ちょっと親切すぎると思いました。
短編、中編映画の難しさかもしれません。

エンディングで流れる『行くぜっ!怪盗少女』は名曲!
ninifuni08.jpg
ももいろクローバーはチョイ役ではなく
この映画で重要な役割を担っていました。

後味の悪さと不気味さ。
バッサリと切り捨てられるエンディング。
観終わった時に何を感じたのか?
この映画はそこで完成します。









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[ 2013/10/10 14:23 ] 短編 | TB(0) | CM(2)













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