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『メッセージ』 やられたー!ブレードランナー 2049の ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品!すべての映画ファンに観てもらいたい心を揺さぶる傑作

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『メッセージ』
Arrival

監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作 テッド・チャン「あなたの人生の物語」

2016年
アメリカ
116分




大変ご無沙汰しております。
二年ほどしか生きていない小さい人間は今日も大暴れで
ひっくり返って怪我をして泣いてと大忙し。
夫婦揃って一喜一憂しながら子育てに奮闘中です。
お子がグースカしたタイミングを見計らって
チマチマ映画を観ています。

その中でも群を抜いて面白かったのが
大傑作『ブレードランナー 2049』でメガホンをとった
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』という作品。
アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む主要8部門にノミネート。
今まで見たことがない新しいタイプの『考えさせられる映画』です。
これ本当にすごい。。。

SFの中では『ファーストコンタクト』と呼ばれるジャンルの映画。
異星人と地球人との接触を描く王道的な内容なのですが
この作品は『宇宙人がやってきた!どうしましょう!』という
単純なパニックものではありませんでした。


原作のタイトルが『あなたの人生の物語』です。

『あなた』に対し語りかけている人物。
語りかけられている人物。


『あなたの人生の物語』という言葉は
冒頭とラストシーンをつなぐ大きなキーワードです。



あらゆる常識が通用しない異星物に語りかける。『私は人間です』と


地球上の12カ所に謎の巨大な物体が到着する。
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目的は不明。あらゆるコンタクトを試みるが反応はない。
打開策がみつからないままの状態が続き、非常事態宣言が発令。
全世界はパニックとなり、略奪や暴動がおこる国まであった。


危機的状況を打開すべくアメリカ軍は
言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)と
物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)を招集。

ルイーズは最愛の娘を失った悲しみから
フラッシュバックに悩まされていた。
彼女は断片的に繰り返される記憶に苦しみながらも
異星物との接触という任務を引き受ける。

18時間おきに訪れる
異星物『ヘプタポッド』とのコンタクトのチャンス。
政府は言語の早期解読を要求するが簡単な作業ではなかった。
ルイーズは語りかけるのではなく
文字でのコミュニケーションを試みる。
ようやくヘプタポッドは反応を示し、謎の文字を描く。
ルイーズは、徐々にヘプタポッドの目的を理解していく。
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各国それぞれがあらゆる手段を使い異星物との接触を試みる。
しかし各国政府は情報を共有しながらも『機密情報』は遮断。
醜い競争意識。信頼関係は崩壊。
世界は『飛行物体との全面戦争』という危機へと向かっていく。




泣いた!
これはやられたー!(笑)


この作品は非常にインパクトのある
超大作のSFでありながら
一人の女性の生き方を描いた物語でもあります。
しかしながらここを深く書くとネタバレになります…
さて、どうしたものか(笑)



『使う言語が異なる=考え方・価値観が異なる』


世界が一つになることの難しさは
『考え方・価値観』の違いを
お互い尊重できるのかがカギとなります。

日本人は表現が曖昧なんてよく聞きます。
まあたしかに『いいです』とか『大丈夫です』って
YESという意味でもNOという意味でも使いますしね(笑)
行間を読む会話というのもありますし
それに空気を読むなんて要素が入ってきたりして。

『考え方』→『言語』なのか
『言語』→『考え方』なのか


世界各国から見たら日本人は
意味不明な生き物なのかもしれません。
しかし同じ人間であるならば
お互い分析しあう事でコミュニケーションは可能であり
いつかは価値観を理解しあえるでしょう。

しかし相手が宇宙からのお客様だったら?
高度な文明を持つ知的生命体だったら?
人間の常識である『時間』という概念もなく
始まりも終わりもない世界で生きているものだとしたら?


アメリカ軍は藁にもすがる思いで
言語学者と物理学者を招集しますが
二人ともよくこんな過酷なミッション引き受けたな…(笑)

ルイーズとイアンは必死で分析します。
文字の形から『こういう意味があるのでは?』と推理し
何度も何度もコンタクトを続けます。

各国の政府は手に入れた情報は『機密』として
自国の手柄にしようと企んでいます。
やがて世界中の信頼関係は崩壊して情報は遮断されます。
同じ人間同士でも理解しあえないのに
巨大なタコみたいな生き物とコンタクトとれるのかねぇ。。
結局『攻撃せよ!』みたいな馬鹿も出てくるし。

あーもう全然うまくいかない!あとみんな自分勝手!
っつーかそもそもこれって正解あるの?
ヘプタポッドって喋るの?口あるの?

知れば知るほど深まっていく謎と
なかなか前に進まない言語の解明
人間たちのイライラが執拗に描かれていて
観ているこちらもモヤモヤ(笑)


ちなみに異星物『ヘプタポッド』が書く(?)文字
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こんな感じなのですが

単語・主語・述語という概念ではなく
この一文字に全てが表現されているとしたら??
宇宙の果てを想像できないように
見れば見るほど恐ろしくなってきます。

ルイーズはヘプタポッドを理解するため
あらゆる方向に思考を変化させ分析します。
そして徐々に相手のメッセージを理解していくのですが
最終的にはルイーズ自身が
時間という物理的概念を超えていきます。

そしてルイーズは気がつくのです。

過去と現在と未来
彼女の断片的な記憶
フラッシュバック


パーソナルな苦痛だと思い込んでいたそれらは
全て意味があったのだと。

世界の緊張が高まっていくのと同時に
ルイーズの心の奥底へズームしていくストーリー。
こういう物語ってあるようでなかったなと思います。
後半にかけて鳥肌立ちました。



難しい役を見事に演じているすばらしい出演者


派手さはないけど、見事な脚本とすばらしい演技!
たくさんの人に見てもらいたい!
そして観終わった後に「すごい良かったよねー!」と共有したい(笑)
本作に出演している役者さんを少しだけ紹介します。

言語学者のルイーズを演じるのはエイミー・アダムス。
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ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ザ・マスター』
スーパーマンの『マン・オブ・スティール』に出演してる女優さん。
人類の危機を救うべく頭脳をフル回転させながらも
未来に向かって歩き始める一人の女性。
非常に難しい役柄を見事に演じています。


物理学者のイアンを演じるのはジェレミー・レナー。
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『ハート・ロッカー』で主役を演じた俳優さんで
最近は『アベンジャーズ』シリーズのホークアイ役でお馴染みです。
ちなみに彼にはシンガーソングライターという一面もあり
歌は勿論のことギターにピアノ、ドラムまで叩いちゃうという多才っぷり。
本作ではルイーズのよき理解者であり
ヘプタポッド文字の分析に大きく貢献します。


二人を招集したアメリカ軍ウェバー大佐を演じるのは
名優のフォレスト・ウィテカーです。
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数々の作品に出演していますが
私の中では『スモーク』のサイラスの印象が強いです(笑)
軍人ならではの理不尽な物言い
ルイーズの研究の進め方を理解しながらも
軍人としての立場を曲げないという気難しさ。
確かな演技力で画面がピシーっと締まりますね。


本作の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
『ブレードランナー 2049』で注目を集めた監督です。
今のところハズレなしで面白い!
2010年の『灼熱の魂』という作品がかなり良さそうなので
近々観ようかなと思っています。



あなたもきっとルイーズの『人生の選択』に涙するはず


ラスト15分。
『メッセージ』というタイトルの意味と
原作がなぜ『あなたの人生の物語』というタイトルなのか
あなたは全てに気が付き
感動の涙が流れ
そしてもう一度この映画を観なくてはならなくなります。

過去と現在と未来は
今まさに同時に起こっている出来事。

ルイーズは未来へ歩いていきます。
いつか愛する人を失う日が訪れるとしても
心がグシャグシャになるほど傷つく未来が待っているとしても
その悲劇的な人生から逃げてはいけないと。

愛するものに出会えた喜びと
一緒に過ごした幸せな日々は
一生心の中で続いていくのだなと
とても大切なことを教えてくれる映画です。











[ 2018/11/16 11:51 ] SF | TB(0) | CM(0)